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2007年11月 5日 (月)

大きな声でモノを言うことの価値

先日の記事「ビッグイシュー」に寄せられた岸さんのコメントにインスパイアされてしまいました。この部分です。

>イギリス版は特にミュージシャンのインタビューが面白く、他の雑誌では書か(け?)なさそうな過激な意見が読めるのはビッグイシューならではでしたから。日本版を読んでみて、影響力の大きい人が他のメディアで言わないことをわざわざ言う事自体が大きな協力貢献なんだなと気付きました。

大きな声でモノを言うことの価値というのは、やはりあるんだなということだ。

企業との人とCSRについて話をしていると、ほとんどの人は決まってこう言う。
「我が社はCSRをちゃんとやってますよ」
たしかにやっているようだ。企業案内やCSR報告書を見ると、いろいろ書いてある。大企業になると、ホントに多種多様な分野で社会貢献活動をやっている。しかも、本業を活かしたCSR活動をやってますと明言するのもいまや定番のようでもある。その中身については今回は考察しない。考えたいのは、アナウンスの考え方だ。企業の人が、CSRをちゃんとやってると主張する度に僕はたずねる。
「社会に対して良いことをやってるなら、それをちゃんとアナウンスすればいいじゃないですか?」
すると企業の人はこう答える。
「良いことは地道にやってればいいんですよ。声高に叫ぶものじゃない。そんな下品なことは我が社ではやりません」
つまり、陰徳の美学だというわけだ。
僕も日本人なので、その精神はよく分かる。しかし、今の世の中、陰徳の弊害というモノも多くなってると思うのだ。
例えば、ホントに社会に役立つCSR活動をやってる企業が、陰徳の考えからそれをアナウンスしなければ、生活者には何も分からないわけで、CSRに不熱心な企業との差別化が出来なくなる。差別化が出来ないとなれば、企業はCSR活動なんかやっても効果がないと判断して、熱が入らなくなる。結果、CSR関連部署も日陰の存在になり、営業部や商品開発部などのプロフィット・センターから冷たい目で見られるようになる。企業のトップも、CSRなんかは口うるさいマスコミやNGOに対する言い訳になれば良いと考えるようになる。つまり、CSR自体がネガティブ思考のスパイラルに陥ってしまう。
もう一つは、町田先生に示唆されたことだが、陰徳だと大きく考えなくなるので、大きな社会貢献が出来なくなるということだ。これについては、ウェブサイトの町田先生のインタビューをご覧下さい。

だから、立派なCSR活動をやってる企業は、積極的に自分たちがやってる活動をアナウンスして欲しい。大企業やビッグ・アーティストなど、社会的に発言力のある人たちは、積極的に大きな声で叫んで欲しいのだ。

昔、とあるクルマ雑誌で自動車評論家の徳大寺有恒さんが「トヨタは良いことをたくさんやっている。でも、それを社会に向かって言いたがらない」という趣旨のことを言っていた。ところが最近のトヨタは、自分たちのCSR活動をCFでも語り始めている。これはとても良い傾向だと思う。

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