これもグローバル化の恩恵か?
2006年事務年度の法人申告所得が、バブル期の1990事務年度の53兆円を上回り、過去最高の57兆円になったらしい。黒字申告一件あたりの所得金額は6250万円で、これも過去最高。景気回復もホンモノとも見えるのだが、本当にそうなのだろうか?
バブル期までの日本の企業と、今のそれとの最大の違いは、利益に対する考え方だろう。分かりやすく言えば、バブル期までの日本の企業は、それほど大きな利益を出す必要はなかった。むしろ、ギリギリのところで赤字決算して税金を払わないようにするところで勝負していたとも言える。堤義明氏などは「黒字を出して税金を納めるような経営者はバカ」くらいのことは平気で言っていた。儲けた金は税金に取られるくらいなら使っちゃえというのが、バブル期までの日本企業のスタンダード。だから、バブル期にはどこの企業も、広告費や販促費をバンバン使ったし、若手社員だってタクシーを使いまくっていたし、狂ったように交際費を使っていたのだろう。(そういえば、あの頃の大企業の交際費処理ってどうなっていたのだろう?)
今は、上場企業などは利益を出さないと投資家から突き上げを喰らうし、下手したらハゲタカに喰われてしまうから、必死になって利益を出そうとする。
とにかく利益を出さないでおこうとした時代の申告所得と、何が何でも利益を出そうとする時代の申告所得を比べて、過去最高と言ってもどうなのだろう? 本当に過去最高の利益を出せているのだろうか? どれだけ数字が好調でも、景気回復の実感が伴わないといわれているのはそのあたりにも理由はないだろうか?
ところで、企業が利益を出さなければならなくなった理由は、経済のグローバル化だ。
グローバリズムには光と陰があるが、企業が積極的に黒字決算するようになれば税収は増えるわけで、これはグローバル化の恩恵かもしれない。
交際費を全額損金算入できれば、企業はもっと交際費を使うようになって景気が良くなるという意見もあって、それも一理あるのだが、バブル期のようなお金の使い方は不健全だし、社会的な投資につながるのか?というと疑問でもある。
企業の儲けは、銀座のお姉ちゃんやドンペリ、ヘネシーにつぎ込むより、税金として納めて社会投資に回すという方が健全で正道だろう。
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