また韓国に負けてるよ
病児保育のNPO法人を運営している駒崎弘樹さんのブログで、韓国の社会起業家支援法と言える「社会的企業育成法」のことが紹介されている。
リンク: Days like thankful monologue
病児保育のNPO法人フローレンスを運営している駒崎弘樹のblog: 【業務日誌】「韓国に負けてるよ、日本のソーシャルビジネス業界」の巻.
最近、韓国事情に疎くなりつつあるので、この記事を読むまで知らなかったニュースなのだが、今年の7月に施行されていたのですね。「社会的企業育成法」については、駒崎さんのブログをご覧いただくとして、韓国について少し語ってみたい。
韓国の怖いところというか凄いところは、官民一体になった時の突破力にある。韓国語に「パリパリ」という言葉あって、「早く、早く」という意味だが、韓国人はとにかくスピードを重視する。僕の知る限り、空港の両替所での世界最速は韓国の仁川空港で、初めて韓国に行った時、両替しようとして1万円札を窓口に出した瞬間、手元にはすでに1万円相当のウォン紙幣が差し出されていてビックリした、というくらい早い。ノロマは無能と同義で、だから何かやると決めたら凄いスピードで徹底的にやってしまう。
僕が初めて韓国に行ったのは2001年のことで、1997年のアジア通貨危機の影響からIMF 管理に陥った韓国経済がV字回復を成し遂げ、世界有数のIT大国、世界一のブロードバンド大国としてブイブイ言わしていた頃。日本のIT企業がこぞって韓国のIT企業と業務提携していた。僕はその頃、とある大手企業のIT事業のコンサルタントをしていた関係で、提携先の韓国企業から、一度、韓国に来いといわれて訪問したのだが、IT企業の熱気ももちろんだが、明洞あたりの街の熱気が凄かった。つまり、国全体が沸いていたのだ。
韓国が短期間でIT大国になれた要因はいろいろあるが、僕が感心したのはその施策だ。当時から韓国では、家庭の主婦がキムチを買うのもネット通販を使うようになっていて、何故、そんなことになったかというと、小学校の連絡事項を全部メールなどネットで行うようにしたからだと。だから主婦も、インターネットを使えないと先生からの連絡も受け取れない状況になって、みんなパソコンを勉強し始めた。ソウルは大規模団地が林立しているが、パソコン会社が団地で無料のパソコン教室を開いて、そこでパソコンを売っていた。それで家庭にパソコンが入り込み、主婦もインターネットを使いこなすようになり、主婦向けのキムチ通販などのネット・ビジネスが素早く立ち上がったということらしい。
つまり、韓国政府は何かやると決めたら、横の連携をうまく取って、あっという間に状況を作ってしまう。もうひとつは、人材登用の考え方だ。
韓国では当時から、アジアの中華圏を中心として韓流ブームが起こっていたが、韓国政府はこれは基幹産業になると考えて、韓国コンテンツのさらなる振興を目的とした韓国文化コンテンツ振興院(略称KOCCA)を設立する。この時、初代院長として抜擢されたのが、あの映画「シュリ」のプロデューサーである。
「シュリ」という映画は、企画段階では韓国人にとっては目新しいテーマ性が無いという理由でお金が集まらなかったらしい。しかし、その商業性を見抜いて出資したのが、当時、サムスンで通信とコンテンツ関連業務を担当していた徐炳文氏だった。結果はご存じの通りだが、要するに、文化コンテンツを振興させるには、文化コンテンツに対する目利きをトップにするのが最も適当だろうという、至極まっとうな考え方で施策を実行する。
もちろん、韓国政府の施策にも失敗は多いし、今はマイナス面が目立ってきていて、だから「社会的企業育成法」みたいな法律も出来たのだろうが、世界的な潮流をかぎ分けて、そこに注力していく勢いみたいなものは、日本の政府より強いと思う。
官民一体になった突破力は、かつては日本のお家芸で、世界でも恐れられていたはずだが、今はそんな感じもなくなって、日本の政府も企業もノロマだと思われているのが現状ではないか? 少なくとも韓国人はそう思っている。僕は、いろいろな企業の人に、社会起業家の話をして回っているが、反応は鈍い。客観的な資料を見せてもピンと来ない。こんなところでも、日本人はいつからこんなノロマになったのだという、まあ、絶望はしませんがちょっと残念な気分になることも多い。
駒崎さんは上のブログ記事の最後をこう締めくくっている。
>隣人韓国の方々よ、危機感をありがとう。
まったく同感であります。
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