国際派学生はどこに行く?
模擬国連というものを運営している大学生がいると聞いて、おもしろそうなので紹介してもらった。
模擬国連の詳細についてはウェブサイトをみていただくとして、
リンク: [JMUNS] Japan Model United Nations Society.
簡単に紹介すれば、
「模擬国連」とは、参加者一人一人が世界各国の大使となり、実際の国連会議で扱われている問題を話し合うことによって、国連会議を再現し、国際問題の難しさを理解すると共に、問題の解決策を探ろうとするディベートです。
ということらしいです。
1923年にハーバード大学で開催されたのをきっかけに、今では世界中の大学や高校で実施されていて、日本では1983年、上智大学にて当時、同校教授だった緒方貞子さんが顧問となってスタートしたとのことです。
僕が興味をもったのは、このような活動をやってる大学生ってどんな感じなのか?ということと、彼らが置かれている状況について。このようなことは、実際に会って話をしてみないと分からないので、食事に誘ってみたら来てくれた。
来てくれたのは、委員長のS君。ガッシリした体躯と人懐こい笑顔がナイスな某大学3年生である。個人的には「少年兵」問題に関心があって、来年あたり休学してアフリカで活動したいと考えていて、将来はNGOで働きたいという。僕はこのような若い人は嫌いではない。
で、模擬国連のような活動をしている学生に対して、日本の企業はどのような評価をしているか?ということと、活動支援に対して積極的なのか?ということが一番の関心だったのだが、幹部クラスの就職状況はけっこういいとのこと。大手商社など、一流企業に就職していく人も多いらしくて、日本の企業もこのような学生をちゃんと評価していることが分かって一安心。
しかし、学生側に人気のある企業は、外資系コンサルティング会社や金融系企業ということで、給与が高いというのも魅力だが、やはり海外で活躍できそうというイメージが人気を高めているという。雑誌などでも、最近の東大生は官僚にならずに外資のコンサルや金融会社に就職したがるという話が伝えられているが、優秀でやる気のある学生全般の傾向であることが分かった。
当たり前の話だが、このような学生は、自分の可能性を広げてくれるという意味での将来性をに一番期待する。バブル期の超売り手市場の頃に、都市銀行や大手商社と並んで、JR東海の人気が高かったが、雑誌のインタビューでその秘密を聞かれた当時の社長が、「鉄道の仕事にはまだまだ夢があるし、将来性もあることを学生に訴えているだけですよ」と答えていた。まさに正解。学生獲得の王道であり、鉄則だろう。
僕もバブル期には、さあざまな企業のリクルート戦略を依頼されて、その企業の本業が何であるか、どのような将来性があるかを学生に伝える戦略を提案していたが、当時は学生に対する接待攻勢みたいなことが学生獲得の有効な方法と考える人も多くて、そんなことより学生受けするイベントやセミナーを考えてくれという企業も多かった。でも、そんなことをして集めた学生がその後どうなったかは、歴史が証明している。売り手市場の時こそ、本業の魅力を伝えるべきなのだ。
あの頃、就職セミナーに招かれて講演することも多かったが、学生に対しても同じことを語っていて、「最近は経営の多角化を売りにする企業も多いが、そんなことに惑わされずに本業のポテンシャルを見抜いて、そこに自分の夢を重ねることが出来るかどうか。そこをポイントにして就職先を決めてください」ということを常に訴えていた。このようなセミナーでは数名の講師が話をすることも多かったが、セミナー後のアンケートでは評価トップを得ることが多かった。学生はバカではないのだ。
最近は引きこもり傾向が強まっている感のある日本だが、模擬国連の学生たちのように、海外に視野を拡げて将来を考える若い人たちには期待したい。心配なのは、そのような人たちが自分の将来を重ね合わせる対象が、外資系企業だということ。日本の企業だってポテンシャルのある企業も多いのだが、ちゃんと学生に伝わってないように思える。
ちなみに、模擬国連の活動を支援してくれている企業は?という質問の答えが「コカ・コーラです」。やはり外資系なのか。
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