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2007年10月10日 (水)

泣けるCSR

昨日の記事で、本業としてのCSRについて語ったわけですが、

リンク: Global Good Newsなブログ: CSRは本業でやれ.

HP事例の続き。

インドの農村では近年、自殺者が相次ぎ、夫を亡くし幼い子供を抱えた未亡人が急増しているのだが、昨日の記事で紹介したヒューレット・パッカードの事例では、このような貧しい女性を主な対象として、写真撮影とプリントの技術を教え、写真屋さん商売のノウハウを教え、必要な機材を提供し(ローン返済するのだが)、彼女たちが自立できる環境を提供している。

もともとは、各種証明書用の写真ニーズを想定して考えられたビジネス・モデルだが、実際に商売を始めて見ると、多くの人が証明写真以上に撮りたがったのは、家族の写真だったという。

世界中のどんな貧しい人たちも、家族の写真には金を払う。

「フラット化する世界」でこの件を読んだ僕は、不覚にも泣いた。ビジネス書を読んで泣いたのはたぶん、初めてだったと思う。

経済のグローバル化については功罪あると思っていて、そのことは追々書くつもりだが、インドの農村で自殺者が急増しているのは、明らかにグローバリズムの暗黒面であろう。それで夫を亡くした女性が始めた写真屋さんで、多くの人たちが家族の写真を撮る。家族の幸福な時間をそこに焼き付ける。なんとも複雑な気持ちにもなるが、HPはやはり、良いことをしたと思う。

他人様の幸福の価値を決めつけるのは不遜なことだけれど、世界中のどんな国、どんな文化に生きていても、家族が何かを共有できることが幸福であることは変わらない。家族が共有できるモノや時間を提供する仕事は、やはりハッピーな仕事なのだと思う。

バングラディシュやインドなどで携帯電話による電話屋さん事業を展開するグラミンフォン・モデル事業も、中近東あたりに出稼ぎに行っている父親と、地元に残った妻や子供たちに、電話による会話という家族の共有時間を提供している。

これもまた、泣ける話だ。

本気のCSRは泣ける話を生む。メディアももっと、このような泣ける話を伝えるべきではないかと思う。そうすれば、企業ももっと本気でCSRに取り組むようになるのではないかと思う。

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