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【国際】

チベット「暴動で10人死亡」 新華社報道、ダライ・ラマを非難

2008年3月15日 夕刊

 【北京=平岩勇司】中国国営の新華社通信は15日、中国チベット自治区ラサで14日起きた騒乱について、「少なくとも10人の死亡が確認された」と伝えた。犠牲者は2軒のホテル従業員と2店舗の経営者らで、火災で焼死したという。外国人の死傷者はおらず、日本人旅行者3人を保護したとしている。15日午前のラサは大規模な衝突は起きていないという。

 また、同通信は自治区当局者の話として「暴動は(インドに亡命している)ダライ・ラマ14世の集団が組織的に策動した十分な証拠がある」と報じた。チベット仏教最高指導者が関与したと断定したことで、ダライ・ラマ14世側が反発し、抗議行動を拡大させる恐れがある。

 同通信は「警官隊は群衆を解散させるため、限定された量の催涙弾を使用し、威嚇発砲をせざるを得なかった」と伝え、鎮圧行為を正当化した。同自治区のシャンパプンツォク主席は同通信に「われわれは発砲していない。戒厳令も敷いていない」と述べている。

 同通信は騒乱の様子を詳細に報道。それによると、14日午後、可燃性の液体や石をリュックに詰め込んだ暴徒がラサ市内に集合。刀や鉄棒を持った群衆が衣料品や食品、携帯電話などを略奪し、火を放った。銀行、ホテル、スーパーの店舗など160カ所以上で火災が発生したという。「女性や子どもも区別せず、通行人に襲いかかった」としている。

 15日午前のラサは、焼けこげた各地の店舗から煙が立ち上っているという。ラサにいる日本人は本紙の電話取材に「前日は銃声らしき音を何度も聞いた。今朝も各地で警察官が検問をしている」と話した。

 自治区当局者は「関係部門が法に基づき有効な措置を取り、チベットの安定を完全に維持している」と説明。「ごく一部の者による陰謀は必ず失敗する」と警告した。

 

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