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どうなる? 後期高齢者 医療制度
2008/03/15の紙面より
【上】不安要因山積み
75歳以上の負担増も七十五歳以上のお年寄りを対象とする後期高齢者医療制度が四月から始まる。高齢者の負担増につながるとして、医療界からは反対の声が強い。与党は昨年の参院選敗北を受け、保険料負担の一部凍結を決めたが、野党側は廃止法案を衆院に提出するなど、国会では混迷の度を増している。一方、肝心のお年寄りへの周知は進んでいるとはいえない。施行を直前に控え、不安定要因は山積したままだ。「難しいなあ…。とりあえず保険料が年金から天引きされるってことだろうかなあ…」。鳥取市内に住む女性(81)は、市の出前説明会で話を聞きながら頭の中を整理した。 年金から天引き■七十五歳以上の高齢者はこれまで加入していた国民健康保険などから新制度に移る。県内では約八万五千人が対象。一人ずつ負担する保険料は原則として年金から天引きされる。七十四歳以下の人は、七十五歳の誕生日に加入することになる。自営業で生計を立ててきた夫と、働きに出ていた女性の年金は合わせて月十四万円ほど。「貯えがありゃあいいけど、ないですけえ。毎月ぎりぎりですよ」。現在の国保料に比べて保険料がどうなるのかが気掛かりだ。 保険料は前年の所得に応じて一人ずつ算出、所得の低い人は減額措置がある。鳥取県後期高齢者医療広域連合の試算によると、保険料は平均で年額五万四千円。一部の自治体を除いて大きく変わらないとしている。個人への通知は四月にある。 女性は年明けに初めて制度を知り驚いた。近所の会話でも話題に上った。「ちゃんと市の人に来てもらって、内容を詳しく聞かないけんでな」「わしは息子の扶養に入っとるけえ、関係なかろう?」「何言いよる、みんな払わないけんだで」 新たに1万人■これまで会社員の子どもの扶養家族として保険料が免除されていた人には新たに負担が生じる。こうした人は県内で一万人を超える。ただし、新制度加入後の二年間は軽減される。また二〇〇八年度は急激な負担増を避けるため、年額二千円とする措置が取られた。女性の夫は認知症気味で近くの診療所と総合病院にかかっていて、どこへ行くにも付き添わないといけない。これからどんな治療が受けられるのか。窓口負担がどうなるのか、不安は尽きない。 関係者は「四月に窓口で混乱が起こることはないだろう」と口をそろえる。窓口負担は、一般の人が一割、現役並み所得者は三割でこれまでと同じだからだ。診療内容も大きな変化はないとする。しかし、鳥取県医師会の富長将人副会長(医療保険担当)は「公費負担を増やさないと成り立たなくなるだろう」と制度の先行きを危ぶむ。 出前説明会では、出席者から「どうして一番医療費がかかるわしらだけを分けた医療制度にするですか」と、導入へ疑問の声が上がった。 ■インデックス
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