民生協議会報告
2007年10月19日
臨時議案 ドクターヘリについてのご報告
民生協議会が開かれ、予定してあった議案のほかに臨時議案として 【 ドクターヘリ 】 について報告がありました。新聞などでも、取り上げられているドクターヘリ導入ですが、青森県立中央病院と八戸市立市民病院のどちらに配備するべきかが現在最大の論点になっています。
皆さんはどう思われるでしょうか。
まず、ドクターヘリとは
@ ドクターヘリとは
“空飛ぶ救命室”と呼ばれ、救急救急処置を必要とする患者が発生した医療現場等に救急医療に精通した医師及び看護師を迅速に到達させ、可能なかぎり速やかに適切な救急処置が開始されるようにするために用いられる救急医療専用ヘリコプター。
A なぜ、必要か
救急患者には適切な救急処置が短時間で開始されないと、一命に関わる場合が少なくない。ドクターヘリはそのような患者に対していち早く適切な救急医療を提供するために必要な手段。半径50キロ圏内なら15分以内で現場に到着し患者に対する初期治療までの時間を大幅に短縮できる。ドイツでは導入20年間で交通事故死者数が3分の1に減少。
B ドクターヘリの機体
ドクターヘリの機体は、患者に必要な医療機器を搭載している。また、飛行中及び、離陸着陸時に患者・医療スタッフ・運行スタッフの安全を確保するためにドクターヘリには2基のエンジンを搭載している。比較的小型で救急現場の近くに離着陸場所を確保しやすいようになっている。
ドクターヘリ特別措置法とは
正式名称 【 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法 】。
H19.6.19に衆議院本会議にて可決成立。H19.6.27公布。
救急医療ヘリコプターを用いた救命・後遺症の軽減等のため、救急医療ヘリコプターを用いた救急医療の全国的な確保をするための法律。
〜 内 容 〜 |
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消防機関・海上保安庁その他関係機関との連携・協力 | |||
僻地における救急医療の確保 | |||
都道府県の区域を越えた連携・協力体制の整備 | |||
国は予算の範囲内において、都道府県に対し救急医療ヘリコプターを用いた救急医療の提供に要する費用の一部を補助することができる | |||
経 過
2007/07/10 | 第1回青森県救急・災害医療対策協議会開催 | |||
第1回青森県救急・災害医療対策協議会開催 | ||||
2007/10/03 | 第2回青森県救急・災害医療対策協議会開催 | |||
導入時期は来年度末(20年度)か 再来年初め(21年度)とすることが決定。 |
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配備病院については絞りきれないままドクターヘリの検討は打ち切り。 県が最終判断。 |
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〜 協議会での問題点 〜 | ||||
@ | 事務局(県)が“【ドクターヘリ】は青森県のみの運用”とする旨を 会議冒頭で説明した。 |
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三圏域連携懇談会への牽制。 | ||||
特措法では県域を超えた連携を謳っている。 | ||||
A | 事務局(県)が医師数・県内カバー率など青森県立中央病院を 有利と思わせる資料を提出したこと。 |
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地域性を重要視した資料で医学的見地及び運用体制の 客観的な比較検討資料なし。 |
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B | 青森県立中央病院への配置を支持する発言。 | |||
事務局として不適切な運用。 | ||||
C | 協議会は救急医療の係る専門的な見地から判断すべきであるにも 関わらず、地域性や医師数のみを判断基準にしようと誘導。 |
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費用問題・費用対策効果・運用体制などの諸課題を検討 しないまま終了。 |
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2007/10/12 | 臨時市長記者会見 | |||
協議会での検討事項に対する八戸市の考え方について説明。 | ||||
基地病院の決定にあたっては様々な角度から総合的に判断 していくことを期待。今後、県当局に八戸市の考え方を伝えたい。 |
八戸市の考え方
@ | 基地病院としての体制について | |
ヘリポートが隣接してある八戸市立病院に対し、青森県立中央病院は敷地内にヘリポートを確保することが困難であることから、 他の場所への移動はタクシーで行う予定であるなど具体性に欠けた説明。 運用上も疑問。 | ||
A | 県の中央にあり全域をカバーできる | |
県の示した人口カバー率には、人口密集地の救急車搬送可能区域も加算されている。 ドクターヘリは近隣に病院・診療所がない地域(過疎地域や山間地等)への出動を想定するべきである。 | ||
ドクターヘリ1機では、県内全域をカバーできない。フライトナースとの併用が必要。 | ||
B | 医師数(脳神経外科・麻酔医等)が多い | |
現場での初期治療が重要であり、救急専門医師数が議論されるべき。 | ||
※ | 365日、救急専門医、看護師が通報から2分程度で離陸できる態勢になければならないことから、救急専門医師が7名以上必要。 | |
C | 冬期間の運行について | |
北海道札幌市のドクターヘリ導入病院では、要請件数346件(年間)中、積雪による天候不良で 未出動だった件数が40件(11.5%)。札幌より積雪の多い青森市では、未出動件数の割合は15%以上であることが予想される。 | ||
D | 費用問題 | |
青森中央病院はヘリポート土地購入費用及びヘリポート設置費、積雪仕様の格納庫建設費のほか、 ICU確保のための改築費用、その他ドクターヘリ対応救急専門医及び、看護師の確保など4億円以上の 支出が予想されるが、八戸市立市民病院は格納庫設置費用程度。 | ||
E | 隣県での使用 | |
特措法には県境を越えた運用が明記されており、また、県境地域では日常的に県境を越えた交流があり、 医療についても相互補完している。救急医療の現場で青森県民ではないという理由で断ることがあってはならない。 | ||
F | 県内医療機関における機能分担 | |
医師不足が懸念されている本県において、住民に良質かつ適切な医療を効果的に提供するためには、 医療機関における機能分担体制の確保が図られるべき。 |
今回の民生協議会での意見・発言等
- ドクターヘリ導入済19都道府県のうち、17都道府県は、中央部ではなく、
県境に配備している。 - ドクターヘリは時速250〜300kmで運行するため、青森市⇔八戸市間40kmは15分で走行可能。タクシーで医師や傷病者が移動している間に埋められる時間ではないか。
- 事務局で中心になっている人物は公平な判断ができているのか。
最後に
民間ヘリコプターを使用するという話についてですが、日本には、約800機の民間ヘリコプターがあります。保有数では世界でトップ5にはいるにも関わらず、救急医療用として使用されているのはわずか10機、9つの道県だけにとどまっています。さらに、全国に69機ある消防防災ヘリを活用した救急も1機あたり年間出動回数36回と、救急医療体制としては日本はまだまだ遅れています。今回、“ドクターヘリ特別措置法”が公布されたことにより、ヘリコプターによる救急医療体制の整備が早急にそして、最良のカタチで実現されなければいけません。県内にとどまることなく、近隣県、そして、青森県は土地面積だけではなく、津軽海峡・日本海・そして太平洋海上で起きた事故にも対応できなければなりません。“防ぎ得た死”を回避するために公平かつ公正な判断を望みます。