福岡市に、すべて手作り、ハンドメイドにこだわった靴を作っている職人さんがいます。
イタリアで修業を重ね、3年前に福岡市に店を構えました。
年齢はまだ30代と若いのですが、その技術を求めて、関東や関西からの注文も相次いでいます。
靴職人、清角豊さん(37)。
最初の型紙作りから最後の仕上げに至るまで、およそ230の工程をすべて手作りで仕上げていきます。
清角さんが、靴作りに目覚めたのは8年前、29歳のころでした。
大学卒業後、都市計画の調査会社に就職しましたが、1冊の本との出会いが人生を変えました。
元々物作りが好きだった清角さんは、仕事を辞め、職人になることを決意。
飛び込みで、イタリア・フィレンツェの靴職人のもとに弟子入りして、靴作りのノウハウを一から学びました。
4年間の修業のあと帰国、3年前、知人がいた福岡市に工房兼店舗を構えました。
清角さんの作る靴の技術の高さは口コミで広がり、東京や大阪からも、わざわざ靴を作りに来る客も増えてきました。
直方市の安永頼史さんも、清角さんの作る靴のファンの一人です。
清角さんが靴作りでこだわっているのは、お客さんとの会話です。
足の採寸だけでも、座った時、立った時など20項目以上図ります。
靴作りの基本は木型作り。
客の足の形を丁寧に木に移していきます。
例え1年かかっても、納得のいくものが出来るまで妥協はしません。
それからデザインを考え、型紙を作り、今度は平面から立体に形を変えていきます。
仮縫いを経て、やっと本縫い。
麻布をよって作った糸で、一針一針丁寧に縫っていきます。
キリで縫い目の穴を一つ一つ開け、その穴の両側から縫う力の要る仕事です。
1枚の牛の皮からできる高級靴は1足か2足、清角さんは数か月かけて1足を完成させます。
ちなみに清角さんの靴は1足およそ20万円。
手入れをきちんとすれば修理は可能で、一生ものの靴です。
安永さんが注文してから4か月が経ち、いよいよ靴が出来上がりました。
「靴作りに完璧ということはない」と清角さんはいいます。