熟練の技 一足の靴にこめて
熟練の技 一足の靴にこめて 12/11 19:31

福岡市に、すべて手作り、ハンドメイドにこだわった靴を作っている職人さんがいます。

イタリアで修業を重ね、3年前に福岡市に店を構えました。

年齢はまだ30代と若いのですが、その技術を求めて、関東や関西からの注文も相次いでいます。

靴職人、清角豊さん(37)。

最初の型紙作りから最後の仕上げに至るまで、およそ230の工程をすべて手作りで仕上げていきます。

清角さんが、靴作りに目覚めたのは8年前、29歳のころでした。

大学卒業後、都市計画の調査会社に就職しましたが、1冊の本との出会いが人生を変えました。

元々物作りが好きだった清角さんは、仕事を辞め、職人になることを決意。

飛び込みで、イタリア・フィレンツェの靴職人のもとに弟子入りして、靴作りのノウハウを一から学びました。

4年間の修業のあと帰国、3年前、知人がいた福岡市に工房兼店舗を構えました。

清角さんの作る靴の技術の高さは口コミで広がり、東京や大阪からも、わざわざ靴を作りに来る客も増えてきました。

直方市の安永頼史さんも、清角さんの作る靴のファンの一人です。

清角さんが靴作りでこだわっているのは、お客さんとの会話です。

足の採寸だけでも、座った時、立った時など20項目以上図ります。

靴作りの基本は木型作り。

客の足の形を丁寧に木に移していきます。

例え1年かかっても、納得のいくものが出来るまで妥協はしません。

それからデザインを考え、型紙を作り、今度は平面から立体に形を変えていきます。

仮縫いを経て、やっと本縫い。

麻布をよって作った糸で、一針一針丁寧に縫っていきます。

キリで縫い目の穴を一つ一つ開け、その穴の両側から縫う力の要る仕事です。

1枚の牛の皮からできる高級靴は1足か2足、清角さんは数か月かけて1足を完成させます。

ちなみに清角さんの靴は1足およそ20万円。

手入れをきちんとすれば修理は可能で、一生ものの靴です。

安永さんが注文してから4か月が経ち、いよいよ靴が出来上がりました。

「靴作りに完璧ということはない」と清角さんはいいます。