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医師が危ない
第2部・過酷な現場
2008年03月07日付・夕刊

 (8)小爆発相次ぐ

夜中の緊急血管内手術が無事終わり、安堵(あんど)と疲れでまどろむ脳外科医(高知市池、高知医療センター) 高知医療センターの脳神経外科は、来る日も来る日も忙しかった。夜中の緊急手術もしょっちゅうで、秋に入ったばかりのまだ残暑厳しい時季なのに、まるで寒い季節を迎えたような状態。過酷というよりも残酷。そして取材十一日目、“時限爆弾”が破裂した。

 それは三連休の最終日の夕方。救急外来で日直勤務だった福井直樹医師(39)が、あと一時間で解放されようとしている時だった。

 「この連休もよく働きました。二日間とも帰宅は午前一時すぎだったから。今日は家族で食事に行くんです」。そんな話をしていた時、一本の電話が入った。

 郡部の病院からの転送依頼だった。九十×歳で頭に四センチの出血があるという。その日、その病院の脳外科医は休みだった。

 「そう言われても…。うちへ転送しても、方法としては内科治療しかないと思うんですがねえ。そちらで診てあげた方が…」

 手術のメリットがない状態の超高齢者に、やみくもにメスを入れても意味はない。遠く離れた医療センターまで看病に来るとなると家族の負担も大きい。同じ治療しかできないのなら地元の病院で診る方が患者も家族も幸せ、というのが福井医師の考えだ。

 結局、数分間のやりとりの後、転送を受け入れたものの、運ばれてきた患者に対してできることはなく、いら立ちの表情は隠せなかった。そして、福井医師の帰宅は午後十時を過ぎた。

 通り掛かった岡田憲二医師(36)に様子を話すと彼は同情した。「背負いすぎるとああなりますよね。実は福井先生も何度か辞表を出しているんです」

 例えば数年後に別の施設への異動が約束されていて、そこで新たな勉強ができるという夢でもあれば気力も持つが、展望もなく延々と激務が続いては、誰でも参る。

 「でも、森本先生も溝渕先生も含めて皆、ここに必要な人ばかり。特に福井先生は高知県の血管内手術のキーマンですから」

 旧高知医大卒業だが、出身は神奈川県。両親は故郷にいる。

 「向こうに帰られる可能性だってある。そうなると、高知の医療は大損害なんです。かといって、先輩の家庭の幸せは誰も保証ができない。これほど家に帰れなくては、奥さんも大変だし、子供さん(幼稚園児)にも泣かれるだろうし。それでも頑張っている。疲労が重なって今日のような場面が来たら、誰でも“爆発”しますよ」

 実はその数日前には福田真紀医師も“爆発”したという。救急車が続けざまに来て、病棟の患者の回診にも行けない。そのストレスに耐えられず、「もう、辞めたい」と漏らしたそうだ。

 にもかかわらず、連休二日目の午前四時には緊急手術で呼び出され、六時間の手術を森本雅徳部長(56)とともにした。

 そんな話を聞いて医局に顔を出すと、溝渕雅之医師(48)が岡山から戻ってきたところだった。子供(小学三年生)の運動会に参加するため行ったのだが、間に合わなかったという。彼も一週間前、家族が岡山から来ていたのにほとんど帰宅できず、「医療崩壊の次は家庭崩壊か」と嘆いていた。

 【写真】夜中の緊急血管内手術が無事終わり、安堵(あんど)と疲れでまどろむ脳外科医(高知市池、高知医療センター)

   ◇  ◇

 脳外科は誰も彼もが耐えていた。倒れないのが不思議なぐらいだった。

 だが話を聞くと、脳外科よりさらにすごい科があるという。心臓血管外科。月二百五十時間の残業を記録した時もあるという。

 「今の心臓外科の平均は二百時間、脳外科は百八十時間、その次が整形外科かな」と溝渕医師。ここよりまだ、激務の所があるのか。脳外科以外の部署ものぞいてみたくなった。

 ◇…………………◇

 感想、意見をお寄せください。電話番号を添えて手紙は〒780-8572 高知市本町3-2-15、「医師が危ない」担当へ。メールはeiin@kochinews.co.jp

=第2部おわり

 
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