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ベアー・スターンズ、株価急落も「財務状態は堅調」ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米証券大手ベアー・スターンズ(NYSE:BSC)は10日、株価は大幅に下落したものの財務状態は引き続き堅調だと言明した。米証券大手5社のうち最も規模が小さい同社は、信用市場での損失や、同社にとって重要な意味を持つ住宅ローン担保証券(MBS)のトレーディングの減少で、8カ月前から苦境に立っている。 同社株は10日、前週末比7.78ドル(11.10%)安の62.30ドルで引けた。同社が必要とする資金調達を続けることが可能なのかとの懸念が急速に高まり、こうした株価下落につながった。ただこの懸念に具体性はなく、同社も取引時間終了後に発表したプレスリリースで、こうした懸念には根拠がないとした。 このプレスリリースでアラン・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は「ベアー・スターンズのバランスシート、流動性、資本は引き続き堅調だ」と述べた。 金融会社は財務の健全性を取り立てて主張せざるを得ない状況を嫌う。だがベアーは昨年、傘下のヘッジファンド2社が複雑な仕組みの住宅ローン担保証券(MBS)による損失の膨らみで破たんしたことから、同様の宣言をする必要に迫られた。 いずれにせよ、このような宣言をする必要があるのは、ベアーを含む金融4社が四半期決算の発表を来週に控えウォール街が緊張を強いられていることを示唆している。貸し倒れが、サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)からレバレッジド・バイアウト(LBO、買収先企業の資産を担保とした借り入れによる買収)向けローンや商業用不動産などの分野に広がっているため、アナリストは評価損の追加計上が続出すると予想している。ベアーの決算発表は20日の取引時間開始前の予定。 ベアーの株価は3月だけで4分の1以上下落し、時価総額は約34億ドルが失われた。現在の時価総額は85億ドル弱で、米オートバイ大手のハーレーダビッドソン(NYSE:HOG)よりやや大きい程度。 オプションのトレーダーは、ベアーの株価はさらに下がると予想しており、62ドルをはるかに下回る行使価格でのプットオプションを競って買っている。 保有しているベアーの債券のデフォルト(債務不履行)に備えるためのコストは急増している。ロンドンの市場参加者によると、投資家は10日、ベアーの債券1000万ドル相当の保証を受けるために年間約69万5000ドルを支払う必要が生じ、それまでより20万ドル増えたという。 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ベアーの投資信託が発行した、信用度が「プライム」と「サブプライム」の中間の「オルトA(オルタナティブA)」の住宅ローン担保証券(MBS)数十本の格付けを引き下げた。信用度のより高い水準の借り手にまで延滞が広がり、住宅ローン関連の損失が終わりを迎えるのはまだ先になることを示している。 オルトAの住宅ローンの借り手は一般に、サブプライムより信用状態は良いものの、収入や資産の資料をすべて提出することなくローンを組むため、プライムとは区別される。ムーディーズによる格下げは、ベアー1社を対象としたもので、同社に重くのしかかった。 ムーディーズはベアーのオルトAトラストが15回にわたり発行した163本の債券の格付けを引き下げた。2005−07年に起債されたものが対象で、リスクによって格下げの程度はさまざま。格下げされたうち78本はさらに格下げの方向で見直すとされ、ほかの155本も初めて格下げする方向で見直しの対象になっている。 ムーディーズは声明で「格下げは全般に、延滞率、担保権実行率、REO率が予想を上回ったことを根拠としている」とした。REOは貸し手が差し押さえたものの未売却の物件。 米DJ記事一覧
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