◇安全願う直筆色紙「尊い命」--佐藤市長に贈呈、支援呼びかけ
交通事故で右足を失いながらも「事故撲滅」を訴えて全国行脚を続ける那覇市の西村亙(わたる)さん(82)が13日、新宮市を訪れた。佐藤春陽市長と対面し直筆の色紙「尊い命」を贈り、支援を呼びかけた。
西村さんは北海道生まれ。名古屋市の自動車整備工場を退職後に帰郷。北海道の交通事故死者数が全国ワースト1と知り、「事故のない社会を」と訴える全国キャンペーンを思い立った。88年6月から活動を始め、オートバイで全国各地を巡回していた。
ところが、04年に北海道で乗用車に追突され転倒し、右足を切断する事故に遭った。一時は全国行脚をあきらめかけたが、昨年に普通自動車免許を取得。軽乗用車に車椅子を載せて、キャンペーンを再開した。東北地方から南下し三重県を経て新宮市に入った。
車は左足でアクセルやブレーキの操作ができる障害者用で、1日の走行距離は約100キロ。コンビニエンスストアの駐車場で寝起きすることもあり、これまでに37道県を回った。
西村さんは、自らの事故でいっそう撲滅への気持ちが強まったといい、「事故をなくすにはドライバーの安全運転をしようという強い意志が大事。命がある限り続けたい」と話した。【神門稔】
毎日新聞 2008年3月14日