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チベット デモ激化 中国当局出動 14人死亡情報

2008年03月15日03時02分

 中国チベット自治区ラサで14日、共産党・政府に対する僧侶や市民の抗議行動が激化し、中心部の商店街から出火、武装警察隊などが鎮圧に当たり、混乱が広がっている。在京チベット関係者によると、治安当局との衝突で14日だけで少なくとも14人が死亡、100人以上が負傷したとの情報がある。日中関係筋によると、中国政府は15日から外国人と一般の中国人の自治区入りを禁じる措置をとるという。

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14日、商店などが燃やされたラサ中心部の観光名所ジョカン寺(大昭寺)前の広場=ロイター。警察の車両などがひっくり返されている

 中国筋は14日夜、すでに中国の武装警察などが出動していることを確認。「制圧するには数日間を要する」との見方を示した。ラサから東京のチベット関係者に入った情報によると市内の一部チベット寺院の周囲に多数の僧侶の遺体があり、漢族が経営する商店を中心に襲撃も起きている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、チベット亡命政府があるインド北部ダラムサラから得た話として、鎮圧行動による犠牲者の中に16歳の少女が含まれているとの情報があると伝えた。

 今回のチベットでの抗議行動は、戒厳令が敷かれた89年の騒乱以来最大の規模になった。外国メディアだけでなく中国の国営新華社通信も報じた。

 抗議デモが激化した背景には、8月の北京五輪に向けて国際社会のチベット支援が広がることへの期待があるとみられる。五輪成功を至上命題とする党指導部には強烈な打撃となりそうだ。

 新華社の英文配信によると、14日午後に主要道路2カ所や旧市街の中心部にある大昭寺付近の商店、路上の複数の車両が放火され、市内は煙に包まれた。

 北京の米国大使館によると、現地にいる米国人から「銃声を聞いた」との報告が入ったという。また、海外の複数の人権団体は、ラサに駐屯する中国軍が出動して鎮圧にあたっているとの情報を伝えている。

 北京では14日夜、米CNNテレビによるチベット報道の映像が遮断された。ラサ市内の電話も一部の施設で通話しにくい状態になっている。89年の「ラサ暴動」では、軍や武装警察が出動し、市民に向けて発砲。当時の当局発表で市民と当局の双方に死者16人、負傷者100人以上を出した。

    ◇

 米ホワイトハウスのフラトー副報道官は14日、事態に「遺憾の意」を表明。「中国当局はチベットの文化を尊重しなければならない」と記者団に語った。米国務省のマコーマック報道官は14日、ラント駐中国米大使が中国政府高官と会い、武力による鎮圧をせず、「自制した行動」をとるよう申し入れたことを明らかにした。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世も同日、ダラムサラで「中国指導部に、武力の行使をやめるように求める」との声明を出した。

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