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「きぼう」建設見守る 空調受注の川西航空機器
国際宇宙ステーションで米スペースシャトル「エンデバー」の乗組員による日本実験棟「きぼう」建設に向けた作業を、兵庫県川西市の小さな町工場の従業員らが固唾(かたず)をのんで見守っている。航空宇宙関連機材の設計・製造会社「川西航空機器工業」で、今年5月の第2便で運ばれる船内実験室の空調設備を開発した。従業員わずか68人だが、深田政宏社長(69)は「町工場の技術が宇宙で花開く日が待ち遠しい」と話している。
日本初の有人宇宙施設「きぼう」は地上で不可能な生物実験などを行う。3便に分けて打ち上げられ、今回の第1便の後、第2便は5月に船内実験室を、第3便が来春に船外実験プラットホームを輸送する。
同社が製造したのは、船内実験室の空調設備。アルミニウムやステンレスを0・01ミリ単位で加工して約4年かけて作り上げ、平成18年3月に米航空宇宙局(NASA)に納入した。
もとは航空機部品メーカー。ヘリコプターのドア開閉システムの設計で注目を集め、その技術を買われて三菱重工業を通じてNASAから依頼を受けた。スペースシャトル内で使われ、マウスなどの生き物が入った実験用の金属製収納箱も開発、活用されている。
空調設備の開発では、風が送られる際の音の調整に力を入れた。宇宙空間が仕事場となる研究者は、音がないと不安になるが、研究の効率を保つために大きな音も嫌う。このため空気の送風口に取り付ける羽の角度を1枚ずつ微調整。約10カ月かけて、わずかに聞こえる程度という「適音」をつくり出した。
きぼう完成後は年1回、資材を送る補給船が打ち上げられる予定で、同社はその空調設備の製造も請け負うという。
従業員らは現在、打ち上げ後の作業の様子をNASAから配信される映像で連日見守っており、深田社長は「日本のものづくりを支える町工場の高い技術力を知ってもらえれば」と、第2便の打ち上げに期待している。