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2008-03-12 20:40:33

追い詰められたFED

テーマ:お仕事(?)がらみ

いつものことですが、筆者の個人的な意見です。念のため。


昨晩、FEDが新たな2000億ドル相当の流動性供給措置(Term Securities Lending Facilities、”TSLF”)を発表。
先週金曜日に、同じ2000億ドルの市場流動性供給を発表したばかりだったのに。
市場は、これを好感し、ダウは5年8ヶ月ぶりの上げを記録し。
日経も200円高で、終了。


でも。
実は今回、極めて恐ろしいことが起きていたのだ、と思う。


私は昨晩TSLFが発表された頃。
某Mさんと三茶の太樹苑で焼肉食べてて、マーケット見てなかったので。
間違っているかも知れないが。

今回の措置は、流動性対策という政策の仮面をかぶった、特定の会社の救済、だと思われ。
それも、金融システムのメルトダウンを防ぐため。
多分、資金繰りで破綻しかかるところまで行っていた、のかも。


というのも。
金曜日には、Barronsが、FannieやFreddieの信用力についての悲観的な記事を書き。
彼らのSolvency(支払い能力)が試されるかもしれない、と報じた。


それを受けてAgency Mortgage債の価格は急落。
対国債で、22年ぶりの最安値をつけ。
Non Agency MBSも、当然に急落。
売りが売りを呼び、証券会社は大量のRMBSを抱えるはめに。


それらのRMBSを担保にしてレポで資金繰りつけていた証券会社が。
急落で追証を迫られ。
資金繰りに、困難をきたし。


悪い噂は、今の市場では自己実現する性質を持っていて。
某社が吹っ飛ぶところまで行きかけた、というのが、事態の真相、のはず。
そうなっていたら。

かつての山一證券の破綻、どころではすまない、強烈なネガティブインパクトがあったはず。


ちょっと、妄想激しすぎるんじゃん、と思う人もいるかとは思うので、ちょっと解説。


連邦準備制度に加盟する預金取扱い金融機関へ流動性を供給するTAFと違って。
TSLFはプライマリーディーラー、すなわち証券会社(とマネーセンターバンク)への流動性の供給。



状況証拠その1: 銀行じゃなくて、証券会社が資金繰り支援の対象



内容は、2000億ドル、というか20兆円相当の米国債を。
エージェンシー債やモーゲージ債と引き換えに、貸してあげます、というもの。
そして、その貸してもらった米国債を担保に、どっかから金借りてくれ、ということ。


TAFには、Non Agency MBSは担保適格資産とされていなかったのだが。
今回のTSLFには、担保適格とされた。


何でこんなことするかというと。
エージェンシーすなわちFannieやFreddieの発行する債券や、モーゲージ債の担保価値が急落したので。
みんな、それらの債券を担保に金貸すのを、嫌がったから。
Non Agencyなんて、もっと嫌われて。

米国債であれば、そういった問題もなく。

あの会社ともう1社は、モーゲージ取引に強い会社として、知られていたからな…。



状況証拠その2: Non Agency MBSが適格担保として認められたこと



そして。
昨日のTSLFは、米国株式市場オープニングの前に発表され。
某社の株価は、TSLFの発表により、前日引け比10%近く上げて取引開始。
ところが。
セッション半ばに、前日引け比10%超、売られる、という怒濤の展開。
そして6年ぶりの安値をつけた後。
第2位の大株主が、株の買い増し検討、ということで切り返し。
引けは、1%高、というかほぼ変わらず。


といわれてもピンと来ない方へ。
じゃあ、日経が1200円高で始まって、1200円安まで売られて、ほぼ変わらずで引けたら、ビビるでしょ?
まあストップ高とかになるから、そんな値動きありえないけど。


そして某社のCDSスプレッドは、大きく縮まったものの。
それでも日本銘柄でシングルB格のJALよりも、ダブルB格のソフトバンクよりも、ワイド。



状況証拠その3: 極めて不自然な某社の株価の動きと、タイトニングしたものの引き続き非常にワイドなままの、CDSスプレッド



状況証拠を3つ並べてみると。
やはり、当初掲げた仮説が、正しかったような気がする。


だから。
安心している場合ではなくて。
あれだけ大規模なオペレーションを、米欧で連携して発表しなければならないほど、今回の事態が急を要していた+深刻だった、ということ。


そうじゃなきゃ、受け入れ担保のヘアカットレシオぐらい用意してから発表するって。


あの会社がもしGo underすることになれば。
想像するだに、恐ろしい。
担保契約が入っているとはいえ。
デリバティブの取引残高は、半端なく。


ひえー。


仮に、金融機関の資金繰りが楽になったとしても。
銀行(+エージェンシー)が、自己資本に対して膨らみすぎたバランスシートを削減しなければならない状況には、変わりなく。

ヘッジファンド・PEファンドが、過剰なレバレッジを下げなければならない状況には、変わりなく。


戻りは、売りなんじゃなかろうか。


まだまだ私は悲観的です。

コメント

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■まだまだですね

万年筆でコメントしたmurmursです。

今晩も先ほどNY入りで、
紺ガエルさんがおっしゃられているところと同じ証券会社について、危ないと噂されてました。今日も今のところ神経質な動きしていますが。

1月の緊急利下げの時も、某社救済色(証券ではないですね)が強かったと色んなところで言われてますね。

いずれにしても、まだまだ、ですね・・・。
そして、気がつけば、ドル円、ユーロドルともにTSLF発表以前のレベルまで24時間かけた行って来い。

毎晩毎晩、えらいことになっています・・・

■たしかに

例の会社のCDSも1年は1070ベーシスまでとんでましたし、正直、あそこがぶっ飛んだら、、と考えてみると、ガクブルです。そしてカーライルもえらいタイミングでこけてくれました。次はどこなんでございましょう。。。

■effective on march 29?

施行日は、3/29になってませんでしょうか。
それまではまず待てないでしょう。
とすれば、slap効果にすぎない。
すでに、CDSのcounterparty riskでは、保証でもなければ、相手してもらえない状況が続いていますし。
non agecy RMBSの価格は、あってないような? mark to model?というわけにも行かないでしょう。FEDでは、fair valueが計算しようがないでしょうし、そのためには、想定できるpast experincesのデータをもって、reasonable loss estimationができなくてはなりません。信用補完の状況を算定するために。
市場での、 price, if traded を、50~60とすれば、haircutというより、pledge valueできるのが、その価値しかないので、principal amountということはできないでしょう。それでも金がほしければするでしょう。
FEDからみて、いずれにして、等価交換は、pledgeのmarket valueをモニターできないから、経済的行為などといえるものではない。
いずれにしても、AAAだろうと、CDO, private label RMBS、monoline 保証ものは、オペ対象として妥当でないことになりませんか。CMBSも無理でしょう。
したがって、対象になるのは、agency REMICということ。それでも十分な救済の意味がありますが。

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