ZENSHIN 2008/03/10(No2334 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2334号1面1)(2008/03/10 )

 3・16 世界金融大恐慌と世界戦争にのめり込む帝国主義なんかぶっ倒せ

 動労千葉08春闘ストと連帯し職場生産点から総決起しよう

 3・30三里塚現地闘争に全力を

“ストで闘うぞ” 動労千葉は春闘総決起集会を開き、闘う決意を固めた(2月29日 DC会館)=記事2面

 動労千葉は、検修職場を軸に3月14日、春闘第1波ストライキに立ち上がることを決定した。そうだ、今こそストで労働者の怒りを示す時だ。ストで自分たちのパワーを自覚しよう。ストで団結と組織拡大を実現しよう。08春闘は団結・ストライキ春闘だ。教育労働者の「日の丸・君が代」不起立―「40秒間のスト」決起が今、全国各地で貫徹されている。3・16全世界一斉デモまで1週間。東京・代々木公園を先頭に全国でイラク反戦5周年闘争に総決起しよう。

 最末期帝国主義の危機が爆発

 最末期帝国主義は、危機と崩壊の急坂を転げ落ちていっている。
 戦後の歴史の中で、帝国主義の世界経済がこれほど危機と混乱に陥り、対応能力を失った時はない。米サブプライムローン危機の爆発を引き金として、米帝の没落と世界金融大恐慌が完全に現実化しつつある。この中で国際帝国主義は分裂・ブロック化と争闘戦を激化させ、国内階級戦争を強めながら、イラク・アフガニスタン侵略戦争を突破口に世界戦争にのめり込んでいっている。
 数万・数十万の青年労働者や学生が、革命に賭けて決起する時が来た。帝国主義の時代は終わりだ! 革命をやろう! われわれ労働者階級こそ、資本主義の賃金奴隷制を廃止し、社会を根底から変革する階級だ。
 サブプライム関連の損失の拡大が止まらない。アメリカの金融大手10社は07年後半だけで1千億j(約10数兆円)の損失を出した。金融機関は、評価損が膨らみ続ける証券化商品を売りたくても買い手が見つからず、資金繰りのために優良資産を売りに出し、貸し渋りが拡大している。すべてが悪循環に陥る「地獄のスパイラル」だ。だが今はまだ序の口である。
 さらにモノラインという金融保証会社が経営難に陥っている。アメリカでは約10兆j(約1千数百兆円)の住宅ローンのうち、約6割が証券化されている。証券化して投資家に売ってしまえば住宅ローン会社はリスクがなくなる。数百の住宅ローンをプールして、それを小口の証券化商品とし、それをモノラインが保証する。すると低所得者層向けの住宅ローンが、いつの間にか高い格付けの証券化商品になるのだ。まさに詐欺!
 この証券化商品を世界中の銀行やファンドが買い漁っていたのだ。それが住宅価格の暴落で紙くず同然になっている。
 同時に、このモノラインの保証力が完全に信用されなくなった。信用維持のために、10兆円単位の追加融資が迫られている。地方自治体の資金調達にも影響が出始めた。教育や交通、水道などの公社の資金繰りの悪化も、いよいよ深刻だ。
 それだけではない。景気後退への懸念でドルが急落し始め、1j=100円割れの可能性さえでてきた。ドル安の加速で投機資金が原油市場へ流入し、原油価格が史上最高値を更新、1バーレル=104jをも超えた。
 そしてインフレだ。特に小麦粉や肉類、ガソリンなどの生活必需品が高騰し、労働者の生活を直撃している。賃下げ、失業に加えて、インフレの深刻化は革命を完全にはらむ事態だ。
 主要産業も軒並み縮小過程に入っている。住宅不況が家電、自動車に波及し、解雇と失業者が増大している。景気後退とインフレが同時に進むスタグフレーションへの突入も不可避の情勢だ。
 そもそも近年の帝国主義世界経済は、米の巨大な債券市場が世界の余剰資金を吸い込み、米帝が巨額の赤字を垂れ流しつつ、中国や産油国、日本などからモノを輸入することで引っ張ってきた。だがこんな世界的不均衡がいつまでも続くはずがない。今回の米住宅バブルの崩壊は、1929年をも上回る世界金融大恐慌の爆発の始まりだ。
 ブルジョアジーは「市場原理こそ万能」という新自由主義的イデオロギーで、全面的な民営化・規制緩和と労組破壊の攻撃を強行し、資本の活動の自由、搾取と収奪の限りを尽くしてきた。
 だが今や、この資本主義の運動の歯車が逆回転を始めたのである。「近代ブルジョア社会は、自分で地の底から呼びだした魔物をもはや制御できなくなった魔法使いに似ている」――この『共産党宣言』の指摘と同じことが、われわれの目の前で起きているのだ。
 金融機関に家を差し押さえられた労働者が、ホームレスになることを余儀なくされている。他方で、差し押さえられた住宅は競売で売れ残り、空家のままだ。ガソリンや灯油も、石油が枯渇したわけでもないのに投機で高値。年金だけが頼りの高齢者は暖をとる灯油も買えない。バイオ燃料ブームで穀物や飼料が高騰している。人間が食べるものを車や機械が奪っているのだ。職場は人が足りないのに、街には失業者があふれている。
 もはや資本主義は、一つの社会体制として完全に破産している。帝国主義を打倒しなければ、全世界の労働者階級と人民は生きていけないのだ。

 闘う労働組合が時代の先頭に

 最末期帝国主義の危機の爆発は、帝国主義間(大国間)の生き残りをかけた競争と争闘戦を激化させている。この中で「最弱の環」の日本帝国主義も、延命をかけた一大資本攻勢と生産体制の再編に踏み込んでいる。
日本経団連や政府は、労働生産性の伸び率の5割アップを叫んでいる。ふざけるな! こんな合理化と労働強化など絶対に容認できない。
96年〜05年の10年間の労働生産性の伸び率は平均1・6%。1・5倍だと年2・4%となり、10年で1・27倍の生産性アップということだ。こんなに働けるわけがない! そもそも、現状でさえどの職場も要員不足で、超勤や強労働など現場の犠牲で職場と生産が成り立っているのだ。
95年の日経連報告から10年、今や青年労働者の2人に1人が派遣やアルバイトなどの非正規雇用だ。サービス残業が常態化し、過労死・過労自殺が蔓延(まんえん)させられてきた。それをさらに、今後10年で27%も労働強化しようというのだ。冗談ではない!
日本経団連が昨年末に出した08年版経労委報告は、「企業の盛衰と従業員の生活は表裏一体の関係」「企業は労使の運命共同体」と言っている。とんでもないことだ。ブルジョアジーの危機を労働者が共有することなど、断じて必要ない。とっくに資本主義は命脈が尽きている。帝国主義は倒して当然、企業なんてつぶれて当然だ! 労働者が権力を取れば、立派に社会を運営できる。
帝国主義の危機は、労働者階級の武器であり好機だ。労働者はこの武器とチャンスを使って、革命をやる資本主義の墓掘り人なのだ。帝国主義の存続を前提とした運動ではなく、帝国主義打倒の闘いが今こそ必要だ。
1人ひとりの職場で今起きていることが、資本主義の世界的危機の表れなのだ。資本家たちは労働者を徹底的に犠牲にして生き残ろうとしている。労働者と資本家は非和解で、断じて「運命共同体」などではない。
労働者の怒りこそが正義だ。資本主義のもとでは生きられないという要求こそが、正当なのだ。われわれの職場の状況は大なり小なり同じだ。怒りの対象はさまざまでも本質的には同じだ。共通の敵との闘いである。
職場での資本との衝突は、資本家と労働者という二つの階級の衝突である。労働者は、自分の職場で資本と闘うことによって、無限の可能性を手に入れる。資本の壁や国境を越え、労働者として団結し、人間の共同性を奪還していくのだ。労働者同士が競争をやめて団結し、その団結が資本の競争と分断を上回った時に、革命となるのだ。
労働者と資本家は非和解だ。労働者は団結して資本と闘わなければ、生きることも、誇りを守ることもできない。この社会や職場を実際に動かしているのは、労働者だ。資本家は寄生しているにすぎない。しかも労働者は、資本主義社会を転覆して、新たな社会を建設する力をもっている。
労働組合は賃金奴隷制と闘い、その究極的廃止をめざして闘う労働者階級の組織だ。今こそ、闘う労働組合を時代の最前線に登場させよう。労働運動の力で革命をやろう! 
3月16日、イラク反戦5周年の全世界一斉デモに、職場・生産点から嵐のように総決起しよう。世界金融大恐慌と世界戦争の帝国主義なんか、世界革命でぶっ倒せ!
3・16大爆発の力で、3・30三里塚全国闘争を圧倒的に打ち抜こう。さらに6―7月サミット決戦へと進撃しよう。

-----------------------------------------------------------------

 日程 3月16日(日)全国各地の方針

◆東京 代々木公園
午後1時半/B地区野外ステージ
午後3時半/渋谷へデモ

◆札幌 街頭宣伝
◆ワーカーズアクション in 仙台
午後1時/仙台市勾当台公園・グリーンハウス前/集会後、仙台市内を大デモ
◆Workers Action in 福島
午後1時半/福島市市民会館201号
午後3時半からデモ
◆Workers Action in 新潟
午後1時半/万代市民会館403:404
午後3時45分からデモ
◆ワーカーズアクション in 富山
正午/富山市民プラザ前/集会後、デモ
◆3・16 春闘勝利! 東海総決起集会
午後1時半/名古屋市教育館(地下鉄東山線、名城線「栄」駅下車)
集会後、アメリカ領事館へデモ
呼びかけ/東海合同労組
◆ワーカーズアクション・カンサイ
午後2時/大阪・扇町公園(地下鉄堺筋線・扇町・JR環状線・天満)
午後4時からデモ 
◆ワーカーズアクション in 岡山
正午/石山公園(岡山市民会館北側)
◆ワーカーズアクション in 広島
午後1時/原爆ドーム前
午後2時半からデモ
◆福岡レジスタンス3・16行動
午後1時/学習会「イラク戦争はどこにいくのか?」
午後2時半/天神一斉街頭宣伝
◆イラク反戦全世界一斉行動 in 沖縄
午後4時/県庁前広場
集会後、国際通りをデモ
◆ワーカーズアクション徳島
午後3時から徳島駅前デモ
◆ワーカーズアクション in 善通寺
午後1時/善通寺市民会館
午後3時/陸自善通寺基地へデモ 抗議申し入れ
◆ワーカーズアクション in 松山
午後1時/坊ちゃん広場(松山市駅前)
集会後、銀天街・大街道をデモ

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号1面2)(2008/03/10 )

 3・16全世界一斉デモへ 青年労働者は訴える(4)

 医療労働者(関東) 天谷みゆき

 怒り組織しストライキだ

 労基法も協定も守らずにボーナスカットだ? 誰が欠員の現場まわしてると思ってるんだ。こんな人数でどうして現場を安全にまわせる? 「人手不足だから今日は隣のチームに入れ」「明日は別の病棟に応援に行け」って? 患者の顔も名前も病気も知らないで看護ができると思ってんの? で、事故が起きたら労働者のせいかよ(怒)。
 午前外来がノンストップで夕方までかかるってどれだけ過酷かわかるか。揚げ句の果てに「残業代は出さない。仕事のスピードは労働者の能力の問題」? あっそう。だったら超勤は拒否する。あんたが外来に残った患者の対応しなよ!
 「夜勤前の仮眠を取らず持ち帰り仕事をやれ」って言うけど、それが労働者にも患者にもどれだけ危険なことかわかってんの? 誰が夜じゅう携帯ナースコールを肌身離さず休憩なしで患者を守ってると思ってんの。夜勤ってのは、いすから立ち上がるだけで自分の心音が聞こえるくらいキツイんだ。夜中に自分の体重より重い患者さんの体の向きを変え、オムツを替えてまわって、「ナースコールを押したのにちっとも来ない!」と怒られて……これが夜勤。
 御用組合執行部、「政府の医療改悪のせい。経営者に罪はない。組織決定で闘わないんだ、従え。勝手に闘うな、団結破壊だ」って? キィィー! お前ら絶対許さない!
 御用組合が闘いをつぶしてまわっているから、資本家も政府も「医療改悪だ、増税だ、戦争だ」って好き放題やるんじゃないか。お前らこそが医療改悪を実現させている張本人だ! 選挙? 署名? 裁判? 現場で団結して闘わなかったら、資本家や政府にはそんなもん痛くもかゆくもない。労働者の怒りをそんなものに流し込むな。絶望を組織するだけだ!
 「闘わない」なんて組織決定に従えるか。そんなものは労働者を賃金奴隷としてしばりつける暴力装置だ。労働者が「そんな決定には従えない、闘おう」と呼びかけたら「御用だ!」とつぶしに来る。「従わないなら組合員権剥奪(はくだつ)だ」って、剥奪したけりゃ剥奪しろ。そんなもんにしがみついて闘わなかったら団結権もストライキ権もないのと一緒。
 「権利」をお前らに与えてもらっているから私に力があるわけじゃない! そもそも御用組合に与えられる権利なんて「資本家からこれだけのおこぼれもらえますよ権」。そんなのとっくに捨てました! 権利なんか与えられようが与えられまいが、団結して闘う。だって私、労働者って本当にすごいことを知ってしまったんだもの
 あらゆる現場を動かしているのは労働者。だから団結して闘えば勝てる! 資本と折り合いつけずに闘う団結だけが、資本の利害から解き放たれて、あらゆる「枠」を越えてつながることができる。隣の病院、その隣の病院、酸素ボンベを持ってくる業者、製薬会社、弁当工場……私につながるすべての労働者の職場での団結とつながる力を持つんだ。
 現場で闘うことは、自分の解放だけでなく戦争だって止められる力、社会を変える力を持つ。革命は絶対できる。労働者の団結した力こそ革命できる力なんだ。動労千葉の闘いと団結を見て私は確信しちゃったんだ。だから「闘おう」とガンガン呼びかけて、現場の怒りを向かうべきところに向けるために組織する。
 御用組合がやらないなら私が闘争方針を出す!
 現場には怒りがあふれている。現場をぶっ止めて、誰がこの職場をまわしているのかをはっきりさせてやりたい! 労働者の団結を見せつけて資本家を震え上がらせたい! ストライキすれば、する時、したい、しよう!
 全駐労もストライキ! 動労千葉もストライキ! 北教組もストライキ! 日教組本部が闘争方針を出さずとも、現場は「『君が代』強制に不起立を!」と40秒のストライキ! アメリカの移民労働者1000万人はメーデーでストライキ! そして今年は西海岸の全港湾を封鎖する!
 イラクの労働者がアメリカ軍の占領と爆撃の真っ直中で労働組合をつくり、石油、電気、港湾、鉄道、学校、工場で「占領軍撤退・民営化阻止」のストライキを、世界の最先頭で闘っている!
 戦争やりたいやつらと労働者を搾り取っているやつらは同じ資本家だ!
 スト、スト、スト、世界はストライキで紅潮している! 私もマジちょーストライキしたい!
 3・16はイラク戦争開始から5年、資本家どものみぞおちに食らわす、世界の労働者の団結ストライキパンチを組織する集会だ! みんな来い!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号1面3)(2008/03/10 )

 日程 3・30三里塚全国総決起集会

 暫定滑走路北延伸阻止 市東さんの農地を守ろう 憲法改悪絶対反対 成田を軍事基地にするな
 3・30三里塚全国総決起集会
 3月30日(日)正午
 成田市天神峰・反対同盟員所有地
 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号2面1)(2008/03/10 )

 動労千葉 春闘スト方針を決定

 スト貫徹へ総決起集会

 “労働運動復権の先頭に立つ”

 動労千葉は3月6日の執行委員会で、検修職場を軸にした春闘第1波ストを「3・15ダイ改」前に配置、13日以降いつでもストライキに突入できる闘争体制を確立するよう各支部に指令した。階級的労働運動復権の先頭に立つ動労千葉に続け。あらゆる職場で春闘ストに立とう!
 「08春闘勝利! 要員要求・運転保安確立・組織拡大!」を掲げた2月29日の春闘総決起集会には、勤務を終えた組合員が続々と駆けつけDC会館ホールをぎっしりと埋め“いよいよ春闘本番”の機運がみなぎった。
 動労千葉は24日の定期委員会で、@3万8000円の大幅賃上げ獲得、A8年連続ベアゼロ回答が続くJR貨物での「生活改善一時金」30万円獲得、B定年延長と65歳まで働ける労働条件確立などの春闘要求を決定し、全支部からの結集でこの日の集会を開催した。
 主催者あいさつに立った田中康宏動労千葉委員長は冒頭、「本日、厚生労働省と中央労働委員会に争議行為の予告通知をした。各支部で、いつでもストライキに入れる万全の闘争体制確立を」と訴えた。さらに田中委員長は08春闘の課題として、第一に日本における労働運動復権への動きが本格的に始まった中での重要な春闘になること、第二に本格的な不況とインフレへの突入の中で労働組合が時代の最前線に登場すべき時が来たこと、第三に国鉄分割・民営化以来最大のJR情勢の転換の中での春闘になることを指摘した。そして、「今求められているのは特別なことじゃない。『競争原理』と言われて労働者同士が最底辺に突き落としあうような競争を強いられてきた。一番大事なことは労働者同士が競争しないことだ。『敵は資本家だ! 労働者同士で競争しあうのはもうやめよう』と。これが団結だ。そして、労働者の団結とは、団結をつぶすやつらと闘うことだ。資本や腐った労組幹部たちと闘わない団結なんてうそっぱちだ。さらに一番大事なのは、闘うことをとおしてわれわれ自身が団結する力を取り戻すことだ。動労千葉も、幕張構内事故闘争や基地統廃合反対などさまざまな闘いをとおして、組合員一人ひとりが団結する力を取り戻してきた。これが最大の成果だ。こういう闘いをとおして労働運動を復権させよう」と、動労千葉の団結論の核心を提起した。
 続いて動労千葉争議団長の高石正博執行委員、貨物協議会事務長の清水匠執行委員が当面する決戦課題について特別報告。動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長が連帯のあいさつをした。
 基調報告に立った長田敏之書記長は、業務外注化・ライフサイクル・要員問題・1047名闘争を始めとする闘いの課題について明らかにした上で、「この6年間、民営化体制の矛盾の爆発を突いて会社を追いつめてきた。しかし根本的課題は何も解決していない。それを突破するための最大の闘いが組織拡大だ。電車だって機関車だって最初の一歩が大変なんだ。ひとたびコロンと動けば一気に行く条件が職場にはある。春闘と組織拡大を一体で推進して情勢を打開しよう」と述べた。
 いよいよ総決起集会のハイライト、各支部の代表が壇上に並んで決意を表明した。「動労千葉に加入した平成採の仲間を守るためにもライフサイクルを白紙撤回させよう。現場長をがんがん追及し職場から闘いを起こそう」「ライフサイクルは、全乗務員にかけられた攻撃だ。平成採の仲間は毎日不安な中でハンドルを握らせている。動労千葉こそ白紙撤回を掲げて先頭で闘おう」「写真を撮りにきた鉄道ファンから『動労千葉さん、頑張ってください』と激励を受けた。一般の人も後押ししてくれている」「外注化を止めるには組織拡大しかない。学習会、労働学校を重視して取り組む」「要員獲得にむけて全力で闘う」と決意を語った。
(写真 各支部代表が並び、08春闘勝利、スト貫徹にむけた決意を表明。全支部で組織拡大にむけた具体的取り組みが進んでいる【2月29日 千葉・DC会館】)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号2面3)(2008/03/10 )

 “給料半減、職員2/3をカット”

 橋下大阪府知事にスト突きつけよ

 3・16へ大阪の青年労働者は闘う

 私は働いて6年目になる自治体労働者です。
 今、毎日が希望にあふれています。この1年くらいで、私は資本主義への怒りのすべてを革命への情熱に転化できるようになりました。ただ怒りで行動していた自分、労働者への不信に襲われていた自分が日々変わっています。私がそうできるようになったのはたぶん、一緒に闘う労働者の仲間がどんどんでき、彼らが自分を変えてくれているからだと思います。
 仲間と職場をまるごと組織し、ストライキに立ちたい! ストは労働者階級の最強の団体行動です。あくなき搾取と戦争を続ける資本主義社会にゼネラルストライキでトドメをさそう!
(写真 “労働者は革命やるぞ!”大阪の街を力強くデモする関西の青年労働者【07年9・24労働者集会】)

 職種の壁、分断は打ち破れる

 2月末、「労働者の団結で職場を変えよう」と呼びかけ、大阪の二つの自治体から9人の青年労働者が集まりました。初対面の人も多くいます。
 その場で、「ここからみんなで始めたい。職場を変えるため一緒に組織者になってほしい」「労働者の階級的団結こそが社会を変え戦争を止める。3・16集会で一緒に壇上に立とう」と呼びかけました。
 呼びかけに対し、これまでも一緒に組合でがんばってきたAさんが「今日はいい演説やったな」と言ってくれ、集会では発言してくれることになりました。Aさんは今年、査定昇給の面談を拒否しました。組合執行部が「全員が面談を受けてできるだけ多く合格しよう」とキャンペーンする中、Aさんが解放感をもって語った「一緒に仕事をしている先輩よりも先に昇給するのは嫌だった。面談試験を受けなくて本当に良かった」という言葉に私は心底感動しています。労働者階級とは何かを分からせてくれるからです。
 Aさんや私がやっていることは、動労千葉の国鉄分割・民営化反対や北教組の主任手当拒否と同質の闘いです。職種の壁や差別・分断を打ち破る闘いです。職場にはほかにも面談を拒否する職員がたくさんいるし、誰も査定制度に納得していない。そこに確信を持って組織化をしていきたいと思います。
 また、参加したBさんは「上司が自分にばかり残業させてくる上、残業代をつけさせない。ストライキがしたい」と言い、その週末、3・16集会の街宣に来てくれました。Cさんからは「今の組合は腐っている。職場の要求で闘い、勝てるような組織化を一緒にやりたい」という声が上がりました。
 後日、参加者から次のメッセージが寄せられました。
 保育士のDさん。「病気をしても人が足らないから休めない。無理して出勤して子どもにうつしてしまったり……。責任感の強い人ほど無理をし続けている。このままでは仕事に殺されるだろう。こんな状況はあってはならない。絶対に変えなければならないと私は考える。仲間のために、子どもたちのために。ストライキで戦いたい」
 生活保護ケースワーカーのEさん。「市営住宅からのたたき出し、野宿労働者のたたき出し、生活保護の切り捨て……。そんなことをやるために公務員になったのではない! 自治体の赤字を作ったのは誰でもなく資本家階級だ。自治体労働者は先頭に立って、破綻(はたん)した資本家たちと闘うときだ。前首相の安倍は社保庁の仲間に対し『ゴミ』と言い放った。ならばストライキでみせつけてやろう。どちらが必要で、どちらが不必要なのかをみせつけてやろう」
 Fさん。「橋下知事は『大阪府職員は破産会社の従業員。民間なら給料半分で当然』と言っています。じゃあ、民間労働者が使い捨てにされる現状でいいのか? いま職場は、ただ目の前の業務をのりきるので必死です。でもみんな怒りもあるし、住民のための仕事を守りたいと思っています。だから団結を取り戻して闘おう。誰が業務を回してるのか、はっきり示すためにストライキを橋下につきつけよう!」
 Gさん。「働くって一体なんなのか。私は、人と人とが知恵を出し合って、いろんなことを築き上げていくことそのものだと考えています。でも今は、働くことが、人が機械として動かされるということに変わっている。世の中の、人を使ってお金をもうけている人。あなたのために働いてくれている人はコストじゃない。消耗品でもない。『社会を生きていく人』だということに早く気付いてください」

 ストライキ・ネットワーク

 そしてこの日、集まった仲間で「ストライキ・ネットワーク」を発足させました。みんなの思いを話し合って、正式名称は「ストライキをやれるくらい職場を組織化するためのネットワーク」です。ここから、みんなで悩みも知恵も共有しながら、本気になって職場に団結をつくっていきたいと思います。私たちにはその力があるから!
3・16集会は、闘う階級的労働運動の大きな通過点となります。自治体労働者も、民間の労働者もみんな集まって、国境を超える団結をつくろう!
(投稿/安藤 優)

−−−−−−−−−−−−−−

橋下府知事の許せぬ発言

【職員3分の2カット、分限免職】
「皆さんは破産会社の従業員。民間であれば職員の半数や3分の2のカットなど当たり前。給料削減、ボーナス削減、退職金削減も民間では当たり前です」(初登庁あいさつ)
「(改革意識が共有できない職員は)分限免職によって府庁を去ってもらう」(知事就任会見)

【ニートは拘留し、労役を課す】
「ニートは拘留の上、労役を課す」
「税金を払わないやつは生きる資格がない」

【核武装・徴兵制】
「日本の一番情けないところは単独で戦争ができないこと」
「日本は憲法を変えて核兵器を保有すべき」「男子皆兵制の復活」

【「日の丸・君が代」】
「『日の丸・君が代』に反対するなら卒業してからやれ」

【教育問題=体罰・厳しいしつけ】
「学校で教えるべきなのは読み書き、そろばんと目上の人間に対する礼儀だけでいい」
「(義務教育は)社会に出ると何の役にも立たない」

【買春はODA】
「買春は中国へのODAみたいなもの」(日本人団体による中国広東省での集団買春事件に関して)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号3面1)(2008/03/10 )

 卒業式前の処分を阻止

 根津さんの怒り都教委圧倒

 3月4日の都教委定例会において、不起立を貫く東京の教育労働者・根津公子さんへの「トレーナー処分」を3たび粉砕した。次回都教委は3月28日。卒業式前に根津さんを処分して不起立を封じようとした都教委の策動を完全に粉砕したのだ。根津さんを先頭にした闘いが切り開いた大勝利だ!
 定例会前日の3日午後、根津さんは支援者とともに都庁第2庁舎の教育庁を訪れた。勤務中に「『日の丸・君が代』に異議あり」と英語で書かれたトレーナーを着ていたことを「職務専念義務違反」「職務命令違反」にデッチあげようとしていることへの怒りが、全身にみなぎっている。
 「教育長か人事課長に会わせてください」と申し出る根津さんに対し、警備員を多数立たせてエレベーターホールから一歩も入れさせない。
 「2月7日にすでに公開質問状をお渡ししています。『答えないのが答えだ』などと言って処分を出すことは認められない。会わせてください」
 都教委職員は顔をこわばらせ「お会いしない」「お答えできない」と繰り返すばかりだ。
 根津さんは、新たに作成し持参した公開質問状を読み上げた。「回答を拒否したまま処分審査を強行するのは、結論先にありきで、当事者である私には到底承服できないことです」
 ところが人事部職員はこれを受け取ることをかたくなに拒否。さらに根津さんが置いていこうとすると「ゴミとして処理しますよ」と暴言を吐いた。「ゴミとは何だ! 今すぐ謝れ」。根津さんが語気鋭く迫った。
 教育情報課長は「今日は回答しない。希望は所管の方に伝えますよ」などとへらへらした態度で答えた。「ふざけるんじゃないわよ! 今すぐ持って行きなさい」と根津さんが一喝した。
 都教委職員は、卑劣なことに警備員を前面に立たせながらその場を逃げ出し、午後6時45分になると「閉庁時間」としてエレベーターホールの明かりを消した。暗闇の中で、「根津さんへの処分を絶対に許さないぞ!」と怒りのシュプレヒコールが響きわたった。
 この日の闘いをやりぬいて都庁1階ロビーで、怒りの形相で闘っていた根津さんが一転表情をほころばせ、参加者に感謝とねぎらいを述べた。
(写真 公開質問状を手に都教委職員に激しく詰め寄る根津公子さん【3月3日 都庁】)

 都教委定例会を大衆的弾劾

 翌4日は都教委の定例会。根津さんが事情聴取を受けてから3回目だ。
 支援者20人が傍聴に入った。議題は「子どもの体力低下」など。石原都知事の五輪招致のお先棒かつぎの内容に、怒りが高まる。「処分案件」に入ると傍聴者は退席を促された。こらえていた怒りが爆発した。「根津さんを処分するな!」という叫びが議場を圧した。
 教育庁前のエレベーターホールは、またしても警備員で「人の壁」をつくり威圧する態勢だ。「昨日の質問状を教育委員に渡したのか」という追及に対して、職員は「お答えできない」と繰り返すばかり。「こんな不誠実な対応するのは東京都だけだ」「教育委員会を即刻中止しろ!」
 この日関西から駆けつけ傍聴した学生Aさんは、「教育委員は子どもの体力低下を問題にして『有名選手を学校に招いて部活を見てもらおう』『東京五輪に参加するような生徒を育てよう』とか言っている。こんな連中が処分を出すなんて認められない」と怒りをあらわにした。
 卒業式前の処分はうち砕いた。闘いの広がりが都教委を圧倒している。この勝利を力に、「君が代」不起立の拡大で、処分攻撃を粉砕しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号3面2)(2008/03/10 )

 不起立闘争で 職場に団結を 全国からのアピール

 不起立で石原都教委を倒せ

 組合員の気持ちはひとつ一人からでも原則を貫く

 東京の教育労働者から訴え

 退路を断ち新たな一歩

 学校行事に「日の丸・君が代」が強制されることに反対してきた私は、ずっと不起立を続けてきました。なし崩しの攻撃で、私の勤務する区でも、「舞台正面の日の丸、ピアノ伴奏による君が代の斉唱」は形の上ではすでに定着してしまっています。しかし、これだけは譲れないと不起立、不斉唱の抵抗は今も続いています。
 03年「10・23都教委通達」が出された後も、その後の転勤先の職場でも私は不起立を続けてきました。組合の会議や大会、集会でもあらゆる機会に不起立を呼びかけてきました。
 昨年の職員会議で不起立宣言をした私は卒業式の2、3日前に校長室に呼ばれ、「君が代の後に式場に入れ」と言われました。私は断りました。式当日の朝、校長は「確認はしません」と言ってきました。そして前回も処分に至りませんでした。
 しかし同じ不起立という行為に対して、根津さんには累積で加重な処分が発動され、自分は黙認されている。これでいいのか。根津さんを見せしめ的に処分し、「次は解雇」をちらつかせている都教委にやりたい放題させていていいのか。不当な介入をしているのは都教委であって、根津さんは教員としての職責を堂々と果たしているのだ。黙っていたら都教委にくみすることになる。組合が「処分という不利益がある以上、不起立方針は出せない」と縮こまり、結果として根津さんを孤立に追いやっている現状を、組合員として看過していていいのか。
 自問自答しながら何日も考え抜いて「不起立宣言」をすることを決断しました。10月に都庁前で「不起立アピール」を配り、退路を断って新たな一歩を踏み出しました。
(写真 都立高の卒業式当日、労組交流センターが教育労働者に闘いを呼びかけ激励【3月4日 西高校】)

 青年労働者に闘い引きつぐ

 昨年若い同僚と話していてなるほどと思ったことがあります。「前の職場でも『君が代』の時に座っていた先生がいたが、黙って座っていたので、どうしてなのかわからなかった」と。それを思い出し、特に若い同僚に知ってほしいと考え、今年は職員会議に向けて資料を作成しました。「日の丸・君が代」が15年戦争で果たした役割、儀式的行事の狙い、戦後の「日の丸・君が代」復活の歴史など。それに昨年来の沖縄の闘い、アメリカの学校における軍国主義を止める活動の紹介などを盛り込み、8ページ仕立てでコンパクトにまとめました。歴史と時代認識を共有することが闘いの鍵だと思ったからです。職員会議ではそれを見てもらいながら発言しました。翌日ある同僚が教室に来て、「昨日は発言できなくてゴメン」と言ってくれました。手ごたえあり、黙っていてもしっかり伝わっているのです。
 東京では毎年自死に追いやられる新採が後を絶ちません。青年教育労働者の将来は、闘わなかったらワーキングプアか過労死かと言ってもけっして大げさではありません。その過酷な労働の結果が、子どもたちを戦争に駆り立てるとしたら、どうしてそれをよしとするでしょうか。
 戦争と民営化攻撃が強まる中で、「日の丸・君が代」の学校への強制が、新たな戦争に向けた攻撃であることがますます明らかになってきています。青年労働者にとってこそ、避けて通れない問題です。過去の戦争責任の問題ではなく、未来に向けて「ともに生きる」問題です。「生きさせろ」と立ちあがった青年労働者と向き合い、団塊の世代として青年労働者に不起立闘争を引き継ぎたいと考えています。

 都教委の側こそ危機だ

 処分を出し続けても、不起立闘争が継続し、毎年新しい不起立者が登場しています。このことに打撃を受け、追い詰められているのは都教委です。なぜ不起立の抵抗が続くのか。まさにそれが「教え子を戦場に送らない」闘いそのものだからです。だから処分の恫喝で不起立を根絶しようとしてもできないのです。
 今、根津さんに対して職場で着ているトレーナーのロゴを問題にしての処分が策動されています。焦りに駆られたあまりにもデタラメな処分策動です。都教委が「君が代不起立」を理由に解雇することをどれだけ恐れているかを示すものです。解雇を突きつけられてもひるまずに「不起立を続ける」と表明する根津さんの決起が、「10・23通達」を無力にしているのです。団結して不起立を拡大すれば、石原都教委を追い詰めることができます。この点が訴えの核心だと痛感します。
 不起立闘争は、日教組本部が一度として組織的に呼びかけたことのない闘いです。しかし現場組合員が連綿と階級的魂を貫いて継続してきました。ファシスト石原が「従わなければ処分」と強制したことに対して、全都の教育労働者が労働者としての誇りにかけて血と汗を流して発展させてきたものです。
 しかし許し難いことに日教組本部は、東京教組が呼びかけている「解雇させるな」署名の取り組みすらネグレクトし、不起立闘争を敵視し続けています。

 現場からの闘いが核心

 2月全国教研では、日教組本部は、全体会の中止とレポート排除で文科省や都教委に屈服した姿をさらけ出しました。東京教組から出された2人の被処分者と町田教組の支援闘争の報告の三つのレポートの取り下げを要求してきたのです。組合の名をもって被処分者を切り捨てたのです。東京教組三役は屈服的対応に終始しましたが、現場はとても納得がいかないと中央委員会で「レポートの原状回復を求める決議」をあげました。しかし日教組本部は現場組合員の当然の要求をまったく無視し続けました。
 ここであきらめてなるものか。教研初日の2月2日、全体会中止に伴って本部が招集した緊急会議に押しかけて、責任者への追及行動を貫徹しました。ビラ配布で事実経過を参加者にアピールし訴えました。全国から集まった組合員が事態を知り、次々と怒りの声をあげました。平和教育分科会では本部が排除したレポーターの発言を、参加者の団結で復活させたのです。
 労働者が現場から立ち上がれば事態は動かせる、本部が腐っても現場組合員の気持ちはひとつだということをあらためて確信しました。たとえ初めは一人からでも原則を貫いて決起すること、仲間を組織すること、激突を恐れず闘うこと、これが階級的労働運動をこじ開けていく核心だと体得しました。
 教科書検定意見撤回、基地撤去闘争の先頭に立つ沖縄高教組・沖教組、査定昇給制度導入に対して24年ぶりの1時間ストライキに決起し、組織的に不起立闘争を貫いている北教組に続き、全都・全国で「君が代不起立」の40秒のストライキで闘いましょう。「私たちってすごいかも!」の心意気で闘いましょう。それが解雇攻撃を打ち破る最大の力です。闘う日教組を再生していく道です。
 そして3月16日、イラク反戦5周年の全世界一斉デモを最先頭で闘い、労働者の団結で戦争を止めましょう。
 (岡村尚子)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号4面1)(2008/03/10 )

 3・30三里塚に全力結集しよう

 市東さんの農地を守りぬき改憲・成田軍事空港化阻止へ

 労農同盟の発展が勝利の道

 中村賢二

 今日の日本帝国主義の新自由主義政策は、「ロストジェネレーション」と呼ばれる2千万人の青年労働者の根源的な怒りをますます拡大している。民営化・労組破壊の攻撃とともに、農業・農民切り捨て攻撃が襲いかかっている。「生きさせろ」はまた農民自身の叫びなのだ。三里塚芝山連合空港反対同盟は、市東孝雄さんに対する違法・不当の土地取り上げ攻撃に対して猛然と決起し、全国農民総反乱の先頭に立とうとしている。プロレタリア革命の勝利を労農連帯の力でこじ開けよう。3・16闘争を大爆発させ、その力で3・30三里塚全国闘争大結集を実現しよう。

 「農地死守・実力闘争」貫き42年−不屈の歴史

 三里塚闘争は、市東孝雄さんに対する「農地法を利用した農地強奪」という前代未聞の攻撃に対し、全力で立ち向かいこれを粉砕してきた。この攻撃は文字どおり日帝の全体重をかけた反対同盟つぶしであったが、反対同盟と三里塚勢力はこれを打ち返し、決定的な勝利をもぎとってきた。金と暴力による脅しを使って市東さんをたたき出そうとする企みは逆に、「私の作る大根は1億円以上の価値がある」と確信をもって語る農民革命家を生みだしたのだ。そして「市東さんの農地を守れ!」の強固な陣形が形成された。
 (写真 「この土に一指もふれさせない!」新年デモの解散地で畑を手入れする市東孝雄さん【1月13日】)

 労農連帯の絆

 昨年の11・4労働者集会では、全国から結集した5700人の労働者を前に、反対同盟農民として初めて萩原進事務局次長が登壇した。萩原さんは「私たち三里塚の農民は、改憲と戦争の道を止めるために、再びすべての皆さんとひとつになって闘うときが来たことを訴えたい」「今こそ労働者と農民の分断を打ち破り、全世界の労働者、農民との連帯を求めて闘いぬく」と宣言し、労農連帯の新たな歴史的一歩が踏み出されたのだ。
 今年1月の動労千葉旗開きで北原鉱治事務局長は、「78年11月に動労千葉が『ジェット燃料貨車輸送阻止』『絶対反対』というスローガン列車を走らせた姿は決して忘れません。ここに労農連帯のすばらしさがあった。これからも動労千葉のみなさんと一緒に反対同盟は闘っていきたい」と労農連帯の一層の強化を強調した。
 「労農連帯」はまさに三里塚闘争のかけがえのない生命力である。そして革命の二文字が青年の心をとらえはじめた今、三里塚で育まれた労働者と農民の固い絆(きずな)は、国際連帯の力で相乗され飛躍の時を迎えたのだ。

 3原則を貫く

 三里塚闘争が42年間一貫して貫いてきたものは、「空港絶対反対」「農地死守・実力闘争」「一切の話し合い拒否」の原則である。
 1971年、今から37年前、反対同盟の大木よねさんが強制代執行で住居を破壊された。機動隊の暴力が農作業中のよねさんに襲いかかり、殴打し担ぎ上げ地べたに放り出した。「国際空港建設」という国策の遂行の前には一人の農民の命と生活を平気で踏みにじって恥じない国家権力の本性がむき出しになった。空港公団が用意したプレハブ住宅を拒否し、みんなの力で自前の住居を建設し、国家権力の横暴には絶対に屈しなかった! この鬼神もたじろぐ壮絶な闘いが敵に根底的な打撃を与え、圧倒した。歴代の政府は「強制的手段は使いません」と口にせざるを得なかった。そして実際に今日まで土地強奪の強制執行を粉砕してきた。
 日本階級闘争を戦闘的に牽引してきた実力闘争の推進は、権力との徹底非妥協の真髄であり、そこには大木よねさんの闘魂が貫かれていた。
 三里塚闘争が決定的な試練を迎えたのが、1983年の3・8分裂だ。

 3・8分裂で問われたもの

 これは反対同盟の3原則――「空港絶対反対」「農地死守・実力闘争」「一切の話し合い拒否」を守り貫く闘いであった。閣議決定から12年目、政府はたった1本の滑走路でのぶざまな開港を強制された。だが「開港」という現実の重圧と、金、暴力、陰謀を駆使した反対同盟切り崩し攻撃の前に、「実力闘争では勝てない。話し合いに応じて条件をとらないと負けてしまう」という敗北主義が生まれ、三里塚勢力に分裂が生じた。
 故戸村一作委員長は、1979年に病床からアピールした。「三里塚は、日々勝利している。そして必ず勝利する。このぶざまな空港をご覧なさい。われわれの戦いは目前で敵権力を圧倒している」「もっとも恐ろしいことは、農民が話し合いムードに誘われていくことだ。幸いなことに反対同盟はすでに動労千葉と労農同盟を結んでいる。労農コミューンの戦いとして地歩を占めていこう。三里塚と動労千葉の革命的連帯こそ勝利の道だと私は思う」
 反対同盟はこの3・8で「原則を投げ捨て闘いをやめよ」という敵の分裂攻撃にうち勝ち、まさに戸村委員長の遺訓を実現し、「空港絶対反対」の地歩を守りぬいた。その後われわれは、85年10・20三里塚十字路戦闘を機動隊せん滅戦としてやりぬき、88年の2期工事での強制収用発動の切迫に対しては千葉県収用委員会の解体戦に決起し、90年成田治安法による団結小屋撤去・封鎖の攻撃に対しては決死的な砦戦をたたきつけた。われわれはこの過程で、94年「円卓会議最終合意」にいたる脱落派の屈服を粉砕した。そしてついには収用法による強制収用の発動そのものを完全に破産に追い込んだ。
 原則を曲げない不屈の実力闘争こそ、三里塚の真骨頂なのである。

 同盟つぶし・生活破壊の「北延伸」工事許すな

 反戦と抵抗の砦・三里塚に対して、いま民営化・労組破壊と一体となった闘争圧殺攻撃が襲いかかっている。現地攻防は日に日に緊迫の度を深めている。
 昨年12月31日、国土交通省は、成田空港課と羽田再拡張室を統合して首都圏空港課を立ち上げる組織再編を発表した。これは「成田空港か羽田空港かではない。成田と羽田の一体的運用だ」と強調するアジアゲートウェイ戦略を推進する新部局だ。
 アジアゲートウェイ戦略とは何か。
 @アジア市場でのアメリカなどへの敗勢を巻き返すためのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)締結をにらんだ航空自由化と空路の充実=巨大空港整備。A全面的な航空自由化による「日本列島丸ごと民営化・規制緩和」。B「攻めの農業」と称する国内農業破壊政策。
 つまり、この30年間、三里塚の存在と闘いによって、巨大空港政策が頓挫(とんざ)させられてきた現実から、空港政策の全面的巻き返し策に出てきたのだ。
 現地では、2010年4月の「暫定滑走路北延伸」の開業目標に合わせて、無理に無理を重ねた誘導路建設などの突貫工事が進められている。それに伴って、天神峰・東峰の生活道路破壊が再び強行されようとしている。東峰区住民の安眠と健康を破壊する大騒音を伴なった深夜の工事を行うことも通告してきた。
 また、国土交通省・空港会社は、昨年末に打ち出した「年間飛行回数の1・5倍化=20万回から30万回」方針の具体化に乗りだしてきた。この攻撃は暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている市東孝雄さんの畑と現闘本部建物を何がなんでも強奪するものとして一層押しよせてくる。敵にとっては反対同盟を破壊し三里塚闘争をつぶす以外に選択の余地はない。
 だが、やれるものならやってみろ。追いつめられているのは敵の側、日本帝国主義なのだ。

 塩川一派の敵対許さず階級的労働運動推進を

 三里塚闘争は今や、直接に労働者階級の利害がかかった闘いとなった。
 すでに明白なように、市東さんの土地を収奪する攻撃は、戦後憲法体制の重要な構成要素である農地法それ自体の廃止に向けた攻撃であり、改憲攻撃の一環である。また市東さんの裁判ではっきりしたことは、司法反動の攻撃が「三権分立」の建て前もかなぐり捨てて「国益」を貫くために具体的に襲いかかっているということだ。
 “耕作者の権利の主張などもはや許さない! そんな農民はハローワークに行け! 裁判所は農地収奪の先頭に立て!”と日帝は叫んでいるのだ(戦前裁判所は地主を擁護して、抵抗する小作農民から耕作権をはく奪する強制執行を連発した)。市東さんへの農地取り上げ攻撃は、300万戸農家を「14万経営体」に向けて再編し切り捨てていくあり方そのものである。
 資本の利益を第一に置いた戦後農政の結果である農業破壊に、全国の農民の怒りは沸騰している。07年参議院選挙でそれは“地方の反乱”という形で開始された。
 日帝は農業完全自由化=国内農業破壊で対アジアFTA・EPAを促進しようとあがいているが、これは早晩アジア農業の総崩壊的危機をもたらす(すでに中国農業危機深刻化の一要因となっている)。
 反対同盟が体を張って42年にもわたって頑強に国策を阻止し続けてきた闘いは今こそ真価を発揮しようとしている。そして動労千葉との共闘を労農同盟として築いて闘ってきたことの中に三里塚勝利の展望がある。塩川一派は「自分たちも三里塚に取り組んでいる」と言いながら、労働者がその階級性をとことん貫くことを否定し、動労千葉労働運動に対するあざけりと敵対を露骨に表明する集団に成り下がった。三里塚闘争の歴史と現在を踏みにじるものだ。許すことはできない。
 農業破壊・農民切り捨てとの闘いは、第二のJR分割・民営化、教育関連法改悪、道州制を頂点とする地方自治破壊、郵政民営化、これらの4大産別をめぐる攻防・決戦と完全に一体の核心的闘いである。改憲攻撃との闘い帰趨(きすう)もここにかかっている。
 労農同盟を軸に、労働者・学生・農民・住民のすべての力を結集し政府・国交省・空港会社の攻撃を打ち破り、追いつめよう。成田の軍事基地化攻撃の強まりに対し「国民保護」と称する成田の戦争動員訓練を阻もう。市東さんの農地を守る運動をさらに大胆に拡大しよう。一坪共有地、現闘本部、市東さんの耕作地をめぐるすべての裁判に勝利しよう。
 沖縄での米海兵隊員の女子中学生への暴行。海上自衛隊イージス艦による漁船・清徳丸衝突、漁民2人の虐殺。
 八尾市による市民の年金・預金差し押さえ、住宅追い出し攻撃。まさに怒り、怒り、怒り! 怒りなくして語れないこの現実への実践的回答はどうあるべきか。
 3・16全世界一斉デモの巨大な爆発から、プロレタリア革命勝利への決意も固く3・30三里塚全国闘争に総決起しよう。“青年労働者の春闘”として3・30三里塚を闘おう。労農連帯の力で革命やろう!
 階級的労働運動と三里塚との結合に敵対する塩川一派を打倒し、新たな三里塚闘争の前進をかちとろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号5面1)(2008/03/10 )

 沖縄にうず巻く怒りを解き放て

 米軍基地全面撤去を掲げて3・16デモ-3・23県民大会へ

 革共同沖縄県委員会

12万人結集した07年9月29日の沖縄県民大会(宜野湾市)

 2月29日夜、衝撃的なニュースが流れた。2月10日に発生した米海兵隊員による女子中学生暴行事件について、被害者の女性が告訴を取り下げ米兵が釈放されたというのだ。われわれは、日米両帝国主義と仲井真自公県政、さらにはブルジョアマスコミが当該の女性とその家族を責め立て、「告訴を取り下げさせる」という卑劣きわまりない攻撃をかけてきたことを満身の怒りをこめて弾劾する! なぜ今、米兵による事件・事故の続発なのか! 米帝のイラク侵略戦争突入から5年、この理不尽な侵略戦争に駆り出され、自らの生死も選択できない極限状況下で事件や事故が引き起こされているのだ。だから沖縄の要求は米軍基地全面撤去であり、イラク・アフガニスタン侵略戦争阻止であり、基地との共存の拒絶なのだ。3・16全世界一斉イラク反戦デモの爆発から3・23沖縄県民大会へ! 全沖縄にうず巻く怒りを解き放とう。

 米侵略軍隊が引き起こす事件・事故

 米帝はイラク侵略戦争をやめろ! アフガニスタン侵略戦争をやめろ! 沖縄・韓国から即時撤退せよ! 全世界に展開している米軍はただちに撤退せよ!――全世界から数千万の労働者人民が闘いに立ち上がろうとしている。帝国主義打倒の革命が巻き起ころうとしているのだ。
 3・16全世界一斉デモはまさに決定的な闘いへと押し上げられた。3・16闘争の爆発こそが3・23県民大会への最大の連帯であり、また全国の3・16闘争の成功が3・23県民大会への結集の力となる。3・16全世界一斉デモを全国で爆発させ、沖縄と日本(本土)の労働者階級の連帯と団結をさらに発展させていこう!
 県議会と沖縄の全市町村41議会の抗議決議が上がる中、仲井真は一貫して全県的な怒りと闘いの広がりに対立させる形で、「被害者の心の回復を第一に考えたい」「(県民大会については)被害者およびご家族の心情や意向にも十分配慮することがまず第一だ」と言い続け、県庁に「謝罪」にきた米4軍調整官と握手をして自らが百パーセント米軍の立場に立つことを誓約した。
 「被害者の気持ちを考えろ」とは「当該を黙り込ませて何もなかったことにする」という支配階級(日米両帝国主義と仲井真県政)の階級意志そのものだった。沖縄自民党は県民大会実行委員会の準備会が「超党派」の県民大会を呼びかけたことに対して、「選挙(7月県議選)に利用される」などと理由にならない言動を繰り返して、告訴取り下げの前日である28日に県民大会不参加を決定したのだ。
 しかし、犯人の米兵がたとえ釈放されたとしても、事実を消し去ることはできない。「基地の島」の現実は何も変わりはしない。いやむしろこういう卑劣なやり方をしてきたやつらに、数倍する怒りをたたきつけてやらなければならない。彼女を踏みにじった日米両帝国主義と仲井真自公県政に労働者人民の怒りをたたきつけよう。

 沖縄で階級闘争の大激突が始まった

 沖縄の階級闘争は、3・23県民大会をめぐって昨年9・29県民大会を引き継ぎ発展させる決定的な局面を迎えた。3・23県民大会を呼びかけている準備会呼びかけ6団体は、昨年9・29県民大会を呼びかけ牽引(けんいん)した主要な団体である。そしてこの実行委員会の中心軸に座っているのが沖教組・高教組である。ここに95年10・21を超える新たな闘いの発展がある。95年の人民反乱とそれ以降の反動(大田県知事の「公告縦覧代行」と県知事からの引きずり下ろし)をのりこえる闘いがついに始まり、今そのさらなる発展か圧殺かという激烈な攻防が闘われている。重要な視点は、沖縄の階級闘争が07年を超える激動過程へと突入し発展していることである。
 その核心は、労働組合が闘いの中軸にしっかりと座っていることである。昨年の9・29県民大会は事実上のゼネスト状態に沖縄社会をたたき込んだ。沖縄社会の主人公は仲井真や自・公などではなく、沖縄の労働者階級であることを自らの闘いで証明して見せた。9・29県民大会の大結集を実現した自治労や沖教組・高教組、さらにはマスコミ労働者の闘い、また全駐労の2波にわたるストライキと、沖縄の労働運動が再び三たびその偉大な闘う姿を登場させつつある。それは「復帰」闘争をのりこえる沖縄の階級闘争の革命的激動期の到来を告げ知らせている。もはや革命でしか決着がつかない闘いが開始されたのである。
 今回の事件は、日米帝国主義や仲井真自公県政に昨年の「悪夢」の再来を突きつけた。それは彼らにとっては「革命の現実性」そのものである。追いつめられた彼らは、3・23県民大会を押しつぶし、9・29の地平そのものを逆転させようと、とんでもない卑劣な手段を使ってきたのである。
 「そっとしておいてほしい」という当該の言葉がわれわれの胸を締め付けることは事実だ。しかしわれわれは労働者階級の階級的責務として、その言葉も引き受けて闘うのでなければならない。彼女が一度は声を上げた、その声こそが当該の真の叫びであり、願いであること、それをどんなことがあっても実現することが労働者階級の進むべき道なのだ。

 労働者階級の団結した力で闘おう!

 日米両政府や米軍が繰り返す「綱紀粛正」「再発防止」などという言葉を信じる労働者人民は一人としていない。2月10日の事件以降も、酒に酔った米兵による飲酒運転や住宅侵入、さらに女性への暴行事件などが続発している。もはやタガがはずれたように、米軍は我が物顔で沖縄を踏みにじっている。「すべての基地を撤去せよ!」――これが沖縄の労働者階級人民の闘いの原点だ。
 沖縄の米軍基地こそが、沖縄と日本(本土)の労働者階級を分断し続けてきた存在だ。そしてこの沖縄の米軍基地が朝鮮へ、ベトナムへ、そしてイラクへと侵略戦争の出撃基地として機能してきたことが、アジア・中東の労働者階級人民と日本の労働者階級人民を分断し続けてきたのだ。
 「沖縄米軍基地撤去」010――それは沖縄と日本(本土)の労働者階級の団結のスローガンであり、全世界の労働者階級、被抑圧人民の団結のスローガンである。そういう意味で「沖縄は日本革命と世界革命の火薬庫」なのである。
 この団結は具体的な闘いの中から生み出されていく。3・16全世界一斉デモこそ、国際プロレタリアートの生きた団結を再生させていく闘いである。沖縄でも青年労働者が中心になって3・16の呼びかけが発せられている。3・16全世界一斉デモへ全国数万の労働者階級人民の決起を実現しよう。革共同沖縄県委員会はその最先頭で闘い、3・23県民大会の爆発を全国の同志とともに実現する。すべての労働者人民の皆さん、3・16全世界一斉デモへ全力で立ち上がろう! プロレタリア世界革命の勝利をここからともに切り開こう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2334号5面2)(2008/03/10 )

 辺野古からの報告

 続発する米軍犯罪に怒り 仲井真は基地建設の先兵

 辺野古で米兵が民家に侵入

 2月18日、地元紙の1面に衝撃的な事件が掲載された。当日未明、辺野古に隣接するキャンプ・シュワブ所属の21歳の米海兵隊員が泥酔し、辺野古区の民家に侵入、現行犯逮捕されたというのだ。2月10日に米兵による女子中学生暴行事件が引き起こされ、沖縄中が怒りに包まれている渦中での事件だった。
 「今まで沖縄県民は何度苦汁を飲まされてきたことか! 何度地獄を見せれば米軍は気が済むのか! 米軍基地は沖縄からすべて撤去すべき時だ。沖縄が怒るのは今しかない!」。翌日、キャンプ・シュワブのゲート前で開催された抗議集会には辺野古の命を守る会のオジイ・オバアたちもかけつけ、代表してマイクを握ったオジイは怒りを米軍にぶつけた。
 辺野古でも、米兵犯罪は実は何度も繰りかえされてきた。1978年には強盗に入った米兵によって50代の女性がブロックで撲殺される事件も起こっている。
 侵略の軍隊は「綱紀粛正」などありえない! 実際、今回の暴行事件を受けて在沖米軍は直後に全部隊に「倫理教育」を施したばかりだった。にもかかわらず、辺野古の事件は起き、17日には在沖米陸軍伍長がホテル内で21歳のフィリピン人女性を暴行するという事件を起こしている。
 長期にわたるアフガニスタンやイラクへの侵略戦争は確実に沖縄に赴任する米兵を人間的に堕落・腐敗させ「人殺しの機械」へと変えていく。基地内で「冷徹な殺人方法」について徹底的に体と精神にたたきこまれた米兵が、ゲートを一歩出た途端に「良き隣人」に変わることなど不可能だ。
(写真 新基地建設を阻む辺野古海辺の”テント村”)

 島ぐるみ闘争恐れる仲井真

 今回の一連の米兵犯罪によって見えてきたことがひとつある。米軍再編を推進し、辺野古に新基地を建設しようとしている米軍や政府はもとより、その先兵である仲井真知事やとりまきの沖縄の首長たち、振興策に群がる企業の連中は、この事件を契機に再び「島ぐるみ」闘争に火がつき、辺野古の基地建設が再び三たび粉砕されるのではないかとびくびくしているということだ。
 特に仲井真は事件の一報を聞くや「普天間移設に影響することはない」と発言し、基地撤去を要求する世論を「極端な暴論」と言いなし県民の怒りを買っている。被害者の安否と米軍への怒りよりも新基地建設の行く末の方が大事だと自己暴露してしまった。
 「9・29に続いて県民大会を開催せよ」という沖縄人民の当然の要求が米軍再編と日本政府、仲井真県政をぎりぎりと締め上げているのだ。続発する米軍犯罪への怒りは、必ず辺野古新基地建設を阻止する闘いへと発展していくに違いない。

 環境アセスをめぐる攻防

 現在、辺野古の新基地建設=沿岸案強行策動は環境影響評価(アセスメント)の入り口である方法書の受理をめぐる攻防の段階に入っている。
 沖縄県環境影響評価審査会の追加資料の協議が終了し、防衛局に提出する意見書が2月29日にまとめられた。
 仲井真県政は「普天間基地の3年以内の閉鎖状態」(「閉鎖」であって撤去ではないのに注意!)を掲げている。島袋名護市長は沿岸案合意後も基地本体の沖合移動を要望し続けている。両者は一見、日帝・防衛省と辺野古沿岸案をめぐって対立しているかのように振る舞ってきた。
 日帝・福田政権もまた名護市を振興策の給付対象からいったん外すなどの「恫喝」も行ってきた。しかし、実際には仲井真県政も島袋市長も1年にわたって辺野古沖=大浦湾全域で行われている法律違反の「現況調査」を黙認し、目の前に迫ったアセスについても容認する姿勢を崩していない。
 昨年8月、日帝・防衛省は県の合意を得ないまま、辺野古に関するアセスの方法書を一方的に送り付けた。海上自衛隊まで導入した辺野古における現況調査の強行に続き、「沖縄県の同意があろうがなかろうが、力ずくでも基地建設を貫徹する」という日帝の強硬姿勢が全面化した。
 仲井真知事は当初はアセス手続きを「保留」したが、結局はアセスに応じる表明を行い、「日帝・防衛省の基地づくりの先兵」であることを明確にした。
 もともと仲井真は沖縄ブルジョアジーの代表であるとともにゴリゴリの基地必要論者である。「防衛意識の高揚」「自衛隊への支援」を目的に各地域につくられている「防衛協会」の県代表まで務めている。「米軍再編は一刻も早く進められるべき」が口癖の知事だ。こんなやからは基地建設計画ともども打倒しなければならない。
 (大津五郎)

------------------------TOPへ---------------------------