2008年03月08日

誰が「戦後」を作ったのか

　私は今までに右派の立場から戦後の保守派を批判するような言説を何回か書いてきた。探せばもっとあるかもしれないが、「戦後保守批判」、「保守の戦後史」、「伝統なき保守と、古くさい進歩と」などがあるだろう。これらの記事では戦後保守がいかに「保守らしくない」思想や行動をとってきたかを批判したものだ。今日の記事もこの系列に属する。

　戦後の「保守」とされた人は基本的に戦前の数少ない親英米派を主体とした。吉田茂がその典型である。彼らは基本的に戦前に関して批判的であり、むしろアメリカと強調することをその主張の重点とした。
　「民族」とか「愛国」という言葉はむしろ左派のものであり、共産党に指導された左派は「天皇は民族の裏切り者」であるとして、その廃絶を狙ったのであった。しかし日本の民族、歴史において大きな比重を占める天皇家を「民族」の名の下で廃絶させようとするのはいささか無理があったようにも思われる。自然、経済復興がなされ、また新左翼の力が強くなると同時に当の共産党自身もこれら民族感情に訴えかける手法をやめることになる。
　保守派においても、結局「反共」であるという点でしか彼らの「保守性」を認められないような状況もあった。彼らは当初日本国憲法を原則(ここで原則、と言うのは「日本国憲法」の複雑な誕生の経緯からである)支持する形をとっていたのである。
　もっとも、公職追放が解除されると同時に保守派も少しずつ「保守らしさ」を取り戻して行き、昭和三十年ごろ(俗に言う「五十五年体制」の成立期)には「自主憲法」を掲げる自由民主党が発足し、当時の改憲案は九条の改正のみならず県知事の任命制や参議院の推薦議員化、男女平等の見直し、言論出版の自由の制限(主に共産関連においてと思われる)、天皇の元首化なども検討材料とされていた。
　しかしそれもまた現行憲法の部分改正でしかなく、また、アメリカの要請という要素が強かった。アメリカ発のアメリカ憲法の改正で、どうして日本の自主独立が担保できようか。

　ましてやその後の自由民主党は岸内閣の瓦解後憲法に関して封印し、経済活動に力を注ぐことになった。国の根本に関する主張は急速に弱弱しくなり、平成の今となっては憲法九条の改正を言うのが精一杯の情勢となっている。その道を選択したのはほかならぬ自由民主党である。

　戦後左派が言説をころころ変え、結局今に至っては安直な反国家、反日本の部分しか残らなくなっているのは周知のとおりだが、基本的に保守派に関しても、アメリカにすりより、自主の形を忘れ、外交においてもアメリカの虎の威を借る狐のような行動しかできていない。

　戦後という醜悪な時代を作った責任を、単に左派に擦り付けるのは不当といわなければならない。自民党こそ戦後を作ったのだ。

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この記事へのコメント

1. Posted by 柳生昴    2008年03月09日 08:33
耕さん
アメリカへ留学した方が良いよ。
大学院に行ってから外資系の会社に勤めるのも良いかも知れない？
昨日ＮＨＫで日本の教育の討論番組をやっていたが
榊原英資という教授が
「日本の若者はディベート力が大変に弱い・・・」
と言っていた。
外国で見聞を広めなさい。
維新の元勲たちもそうしただろう？
　
農民はアメリカに行きながら
英語が出来なくて・日本に帰ってから日本の新聞を読んで記事を書いていた。ありゃダメだよ・・・
　
日本人の最大の欠点は
「島国根性」だ。
討論やディベートを嫌い・仲良しグループに閉じ篭る。
これでは進歩がない・・・
2. Posted by 柳生昴    2008年03月09日 08:35
君も三輪や浪人などの「鎖国派blogger」とのリンクを貼って何になるのか？
「真実を語るブログ」とか「清廉会」とか
大言壮語は特アに任せておいたらどうか？
まぁ、汚い言葉で語る三輪などがキレイごとを言うのは片腹痛いが
「水清くして魚住まず」
ということを忘れてはいけない。
　
だが私もこれからは
あまりblogを書かないことにするよ。
君のところや清廉？会にもコメントしない。
え？「ホッ」とした・・・？
それじゃぁ君も大したこと無いぞ！
ぜんぜんしないわけではないがね・・・油断するなよ！
明日からは金儲けに精進して
100万円ぐらい新風に寄付できるようにしたい。
私の役目はそこにあると分かったのだ。
あと「www・・・」というのは
軽薄だから・やめろ！
3. Posted by ＲＯＭ太郎    2008年03月09日 20:05
エントリとは無関係ですが。
>柳生さん
初めてレスさせていただきます。
いろんなところでニアミスしてますね（笑）
私は貴方とお会いしたことはありませんが。
実像はとても面倒見の良い、人の良いおじさん（失礼）ではないかと思っています。
理由ですか？
このブログでの貴方のコメントは人間味があって、実に暖かい。
それに。
耕さんが貴方を根っからは嫌っていないどころか、むしろ親しみを感じているようにも見えるからです。
耕さんにもお会いしたことはないのですが、私がひそかに大成して欲しいと願っている若者の一人です。
4. Posted by ＲＯＭ太郎    2008年03月09日 20:06
柳生さん
もっと肩の力を抜かれたらどうでしょう。
「あまりblogを書かないことにするよ」なんて、らしくないですよ。
貴方のブログにはファンもたくさんいらっしゃるんでしょう？
「三輪〜」なんて見出しは外して、唯我独尊の柳生節を堂々と続けられれば良いのにと思います。
そりゃあ、私も時々「トンデモ」と思う内容もありますよ「太陽の帝国」。
でも、それが貴方のネット上のキャラならそれでいいんじゃないですか？

柳生さん
カミングアウトします。
私はあなたのブログに一度だけ投稿したことがあります。
「空き缶は蹴るのみ」というお返事をいただきましたが、書き込んだ内容は本音のつもりです。
（当時「空き缶」というHNでゴミウヨク焼却党の管理人に毎日のように噛み付いていましたので）
ブログをやっていない私が言っても説得力がないですが。
「たかがブログ」じゃないですか。
（お読みいただけましたら幸いです）
5. Posted by ＲＯＭ太郎    2008年03月09日 20:08
耕さん
変なコメント書き込んですみませんでした。
ここ数日でいろんなところに、足跡を残してきました。
実は明日から入院です（身体の部品交換 - サイボーグか、おい？）。
一ケ月か、もっと先かわかりませんが。
無事、帰還できたら、真っ先に此処でご報告させていただきますね。
6. Posted by ＲＯＭ太郎    2008年03月09日 20:37
柳生さんへのレスで一箇所、誤認がありました。
太陽の帝国の見出し「三輪〜」はすでに外されてましたね。失礼しました。
7. Posted by 柳生昴    2008年03月10日 00:26
ＲＯＭ太郎・さま
私には子どもが居ませんので耕さんが息子のようなものです（いや？年齢的には孫かな？）。
私が息子に望むのは「強く逞しく生き残る」ことです。
清く美しく生きても・弱くては何にもなりません。
日本の将来も同じです。
「獅子は我が子を千尋の谷底に突き落とす」
心境でしょうかね？
将来ある若人を鍛えるのが私の役目と思っています。
耕さんは３つの大学院を受けて２つ合格し・もう１つは結果待ちですが将来有望な学究の徒であることは確かです。
しかし
天才というものは「女性にもモテる」ものですから彼を天才とはまだ呼べません。
8. Posted by 柳生昴    2008年03月10日 00:49
ＲＯＭ太郎・さま
「空き缶は蹴るのみ！」は覚えております。
ただblogは・あまり長いと読むほうが飽きてしまいますから・あえてフォローはしておりません。
それで極端な表現と取られるのでしょうが・全部の記事は10回は読み直して一応は自信を持って送り出しております。
　
まぁ、耕さんたちが理想主義に走るのは分かるのですよ。私も若いときは同じでしたから・・・
しかし私は職場で先輩たちから鍛えられて「理論より実行」を身につけるに従って給料も上がって行きました。
　
私は例えれば「新風・国際派」なのでしょうが
現実の世界は
「国境を無くす」「国家・国民を無くして地球市民」
という方が学界やマスコミなどではずっとずっと多数派です。
私はまだまだ「皇室のためには命を投げ出せる」人間なのに
耕さんたちがその私を敵と見ているようでは「本当の敵・左翼」には到底・勝てません！
9. Posted by きょーちゃん    2008年03月10日 00:56
ROM太郎さんへ

入院というのを拝見し、大変心配しています。
どうかすっかりよくなりますように、明日神社でお祈りします。
大変でしょうがまたコメントされるのを楽しみにしていますね。

柳生昴さんへ

柳生さんが耕さんを大切に思われているのは私もとても感じます。ですから、耕さんが自分で信じてされている道も信じて見守って頂けたら、もっと心が通じ合うんじゃないかなっていつも思っています。
それから、耕さんの良さは普通の女の子じゃわからないでしょうね。というか、モテないこと無いと思います、前お会いしましたけど･･･。私は耕さんのような超まじめ君がとても好きですよ。
（↑気に障ったらごめんなさい＞耕さん）
10. Posted by ＲＯＭ太郎    2008年03月10日 03:29
>柳生さん
丁寧なレスをありがとうございました。
きょーちゃんからのコメントも、よろしくです（笑）

>きょーちゃん
ご心配いただき、ありがとうございます（ビックリしました）。なーに、すぐ戻って来ますって。

エントリですが、保守と自民党と憲法、耕さんらしいメッタ切りで痛快です。
思い切りアバウトな喩えで恐縮ですが、現行憲法を料理に例えるなら
「アメリカ風に即席で集めた食材を、ドイツ流儀で料理し、色んな調味料を使って無理やり日本人の味覚に合わせようとしている」
これでは、おなかを壊さない方がおかしい。

どうにも眠れず、また来てしまいました（汗）。
生まれて初めて身体にメスを入れるのですが、嫌なもんですね。
ていうか、正直言って、ちとばかり怖いです・・（アハッ）


11. Posted by 農民    2008年03月10日 10:08
ＲＯＭ太郎さん

入院手術ですか…一ヶ月後にまた元気に戻って来て下さい。

僕も数年前、体の中の一部を膿ませてしまい治療に２週間、切除に１０日入院しましたが時間をゆっくり使えると考えれば、それもまた悪くは無いですよ。

病院行く前に古本屋で買い物していくのをお勧めします(笑)
12. Posted by 柳生昴    2008年03月10日 17:07
ROM太郎さん
お大事に・・・
「I'll be back！」
と元気に帰ってくるのをお待ちしております。
ターミネーターのように・・・
　
蝦夷一揆の謀反人：農民！
ご公儀の命により外様諸藩の動静を探索いたすのが公儀隠密としての拙者のお役目じゃ！
控えい！この印籠が見えぬか！？
恐れ入ったか？
「ご皇室に忠誠を誓い
反日で謀反人である日本共産党に投票しないと誓えば」
ご公儀にも情けのご沙汰があるぞ。
さもなくば
お庭番より刺客を送り
あるいは切腹を申しつけ・お家断絶
オロシャへの遠島のお裁きあるべし！
以後・神妙に控え居ることを申し渡す。
　
　お目付け：竹中平蔵之守さま配下・柳生昴之守十兵衛
13. Posted by 耕    2008年03月10日 23:38
ＲＯＭ太郎さん

お体をお大事になさってください。
古本屋に行くことを私もお勧めします。

柳生さん

「Ｉ’ll　be　back」というのは「俺は戻ってくる」ということであり、帰ってきたときに言う言葉じゃないですよ(笑)。

ところで「ご公儀」に歯向かうな、ということであれば、確実に自民党に行かれたほうがよろしいかと…。「新風・国際派」なのではなく「自民党・竹中派」じゃないですかね。

あと、私は留学はおろか海外旅行にも行きたくないですね。これは性格的なものですが…。
14. Posted by 柳生昴    2008年03月11日 00:07
「I'll be back！」と言って元気に手術に行ってきてくれ！
という意味だよ。
まぁ「・・・」を入れるべきだったがね・・・
　
冗談も分からぬほど余裕が無いのでは１流の学者にはなれぬよ。
「海外旅行にも行きたくない」？
あきれた！
それでよく明治史を研究する気になったものだ！
「明治維新はいらなかった！」
とでも言うのか！？
15. Posted by 柳生昴    2008年03月11日 01:05
耕さん
なめ猫♪　ちゃんを知っているね？
近藤将勝　君
彼も君と同年代だよ。
福岡工業大学・22歳だったかな？
既に「正論12月号」に記事を書いている。
謙虚に現実を直視し・見聞を広め・反省を怠らないようにしないと
彼にどんどん置いて行かれるよ。
16. Posted by 公儀隠密：柳生    2008年03月12日 20:54
耕さん
平成19年４月の統一地方選で新風は
北海道２人・東京１人の計３名の自民党員を支持している。当選は東京のみ。
他に保守系無所属６名を支持あるいは推薦して大阪・広島で当選を果たしている。
山口では「新党地球の福祉」１名を支持。
これらは・すべて党員か・党友だ。
新風と自民党：両方の党員ということだ。
　
この反対に
「新風党員で同時に共産党員」
などは１人も居ない！
そもそも新風は「自民党が頼りない」から結党した。
自民党と新風はもともと「友党」なのだ。
これが分からない農民は
「政治センスが無い！」
というのだよ。
17. Posted by 柳生昴    2008年03月12日 22:34
「共産党が頼りないから」
では絶対ない！
共産党は頼りない方が良いのだ！
さらに
消えて無くなった方が良いのだ！
それが新風の基本的な考えだ。
分か〜った！？
君も農民なみの政治センスでは困るよ。

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