福井県は新年度から嶺南地域でサバの蓄養事業に乗り出す。定置網で捕れる小さいサバをいけすで養殖し、脂の乗ったサバに育て出荷する。安定供給でき、価格的にも小サバの3―5倍になるなど、サバの漁獲量が低調に推移する中、漁業関係者らの期待も大きい。
定置網で捕獲された小サバ(200―300グラム)の価格は1匹300円程度と安いが、500グラムの大きさでは約800円、1キロを超えると約1500円にもなるという。
福井県では「鯖街道」や「鯖のへしこ」「浜焼き鯖」などサバがブランド化されつつある。養殖に関しては、県立大海洋生物資源学科の青海忠久教授が研究を進めており、技術的にも確立。さらに、卵からの育成に比べ、手間も省けることから蓄養に注目した。
蓄養では、200グラム―300グラムのサバを県が漁業者から購入し、4、5軒の養殖業者に蓄養を委託する。養殖業者は沖合のいけすで、県水産試験場の職員や水産業改良普及指導員らの指導を受けながら2―3カ月間育成し、500グラム以上になったら出荷する。県水産課では「単に大きくするだけならやさしいが、脂が乗りすぎないようにえさの管理などを研究しながら進めたい」としている。
初年度は2000匹を育てる方針で、2010年度には4000匹まで増やしたいとしている。県は小サバの買い取り、蓄養委託の費用を合わせ事業費570万円見込んでおり、1匹当たりのコストは約2000円と算出する。
県では1匹2000円以上で販売していくために小浜商工会議所や高浜町商工会などと連携して、新メニュー開発などを支援していく。次年度以降のコストダウンや付加価値を付けた販売が課題とみている。
大分の「関サバ」をはじめ、全国に”ブランドサバ”が増加し、地域間競争も予想される。県水産課の安達辰典課長は「本県には鯖街道があったことなどからも昔からサバは特産品だった。蓄養で地域ブランドの復活を目指したい」と話している。