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「女性を輸入品のように考える韓国社会に責任」(下)

韓国人の夫がベトナム人妻を殺害、裁判所が自責の念を込めた判決

 裁判長は夫の無関心と、言葉が通じず意志の疎通ができないことに悩んでいたフアンマイさんが、死亡する前日に夫に対してベトナム語で書き綴った手紙の全文も公開した。

 「あなたは知っていますか。ベトナムではあれほどたくさん働いても着る物と食べる物をなんとか手に入れることができるだけでした。ですからわたしが韓国に来たとき、何か特別に望むことがあったわけではなく、ただあなたがわたしを理解してくれることだけを願っていました。温かくて幸せな夫婦の対話、生活の中でつらいことがあったときにお互いを信じて頼り合うことだけが希望でした。でもこれ以上何か書くことがあるでしょうか。あなたはこの文字を読むこともできないんですから」

 さらに裁判長は「ただ女性と結婚するということだけで、後のことについて何も真剣に考えていなかったチャン容疑者だけを責めることはできない」として韓国社会全体にも責任があると指摘し、「この場でわたしたちは21世紀の経済大国、文明国の虚像の中にとらわれている自分たちの内面における野蛮性を、胸が痛くとも告白しなければならない」「フアンマイさんの手紙のほうがはるかに大人らしく、だからこそわれわれは自分たちを深く恥ずべきものと感じさせる」と述べた。

 夫のチャン容疑者も後悔の思いを吐露し、「人間として、なぜこんなことをしてしまったのか。わたしは狂っていた」と語った。彼はこれまで集めた全財産1000万ウォン(約102万円)を国際結婚情報業者に支払い、ベトナムに行って単に「韓国女性と似ている」という理由だけでフアンマイさんを選んだ。しかしいつも酒びたりで、妻がいつか逃げ出すのではないかという不安を常に抱いていたという。

 キム・サンジュン裁判長は13日に行った電話インタビューで、「他国の女性を輸入品のように取り扱う乾ききった人間性と愚かさが破局を招いた。われわれ皆が彼女の家族に謝罪する機会があればいいのだが」と述べた。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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