金融不安を止められるのか2008年03月14日 サブプライム問題に端を発した米国金融不安はとどまるところを知らないようだ。住宅価格が下落する中、サブプライム関連証券はいまだ底値が見えず、それらを保有する金融機関も、損失を出し続けている。銀行は資産内容が悪化したファンド向け貸し出しの回収を進めており、返済資金確保のための資産の投げ売りが、価格下落を増幅するという悪循環が始まっている。 さらに信用不安は、ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)債など、これまで安全と考えられてきた資産にまで波及しつつある。そして、貸し出し市場では家計や企業向けに、また短期金融市場では金融機関向けに、貸し渋りが生じている。 FRBは大幅利下げによって、また政府・議会は財政刺激策の実行によって、迅速に対処してきた。しかし、それでこの金融不安を止められると考えている人は多くない。 住宅ローンの元本カットや破綻(はたん)処理の先延ばし、金利凍結など、さらなる対策も議論され始めている。たしかに、返済に行き詰まった家計の痛みは何がしか和らぐ。しかし一方で、金融機関の負担はさらに増えるし、機能不全に陥った金融システムを回復させることもできない。 結局、そう遠くない将来に、公的資金を使った金融システム対策が実施されることになるだろう。公的資金による資産購入や価格機能の回復、銀行の資本増強などが図られよう。また、資産時価評価の一時停止など、緊急避難的な対策が採られるかもしれない。 政府やFRBは、信用創造の中核たる銀行を含む金融システムを守ると約束することによって、金融不安を止めようとするだろう。それは金融危機下では正しい処方箋(せん)である。少なくともかつての日本のように「不良債権を抱えた銀行を積極的につぶすことによって金融危機を止める」などという議論にはならないはずだ。(山人) PR情報バックナンバー |
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