ペーパークラフトのロボット「コクブンジーV(ファイブ)」。肩や腰には瓦風の鎧(よろい)。手に持つ剣?は、寺社の塔の先端にある相輪(そうりん)だろうか。渋い。
実はこれ、総社市や総社商工会議所などでつくる「県立博物館を誘致する会」のPRグッズ制作のため、県立大デザイン学部の学生が考案した作品の一つ。モチーフはもちろん備中国分寺五重塔。吉備路の名所をロボット化する遊び心あふれた発想に引きつけられた。
同大で先日行われたグッズ発表会では、鬼や宝福寺をデザインに生かしたすごろく、絵本、かるた、カレンダーなども提案された。いずれも好評で、同会は実際に数点をグッズ化する予定だ。
「豊富な知識や情報を持つ大学の力は大きな魅力」という片岡聡一市長。同市は二月、連携強化へ同大と包括協定を締結した。人的交流や共同研究を地域発展に生かす狙いだ。大学にとっても知的財産を社会に還元することは地域に生きる役割を果たすことになろう。
全国の自治体と同様、厳しい財政状況の同市。特に二〇一二年ごろまでは、大規模事業の起債償還のピークが続く“冬の時代”。大学の持つ知識や情報に加え、学生の若い感性が光るアイデアも市の未来創生の大きな武器となる。
観光ポスターや特産品づくり、市事業のワークショップ…。いや、「コクブンジーV」のような、頭の固い大人が思いもつかないユニークな試みが学生から提案されるかもしれない。若い力が総社をさらに輝かせる。そんな取り組みに期待したい。 (総社支局・新田真浩)