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【三重】

若手医師の流出防げ 県が新構想、研修プログラム支援へ

2008年3月14日

 医師不足を解消しようと、県は、遠隔地の病院に勤務する若手医師の流出を防ぐ新たな仕組みについて、四月から本格的な検討を始めることにした。二〇〇九年度からの実施を目指す。勤務医の研修や待遇の改善を目指す病院を県が支援。敬遠されがちな遠隔地病院の魅力をアップさせることで、医師を引き留めようという作戦だ。

 この仕組みは、医師定着支援システム「三重バディホスピタルシステム(仮称)」。十二日の県医療審議会地域医療対策部会で示した。県は県内の若手医師らの聞き取り調査などを基に「遠隔地病院が敬遠されるのは、研修プログラムの質が要因」と分析。「若手医師らにとって遠隔地病院での勤務がプラスとなるように」と考え、新システムを編み出した。

 構想によると、多くの医師を抱える都市部の病院と、医師不足に悩む遠隔地の病院がバディ(相棒)となり、研修医らが双方の病院を積極的に行き交い、充実した研修ができるようなプログラムづくりを目指す。

 県は、プログラムが実現するよう双方の病院に補助金などで応援することを考えている。国内外のベテラン指導医を招く費用を負担するほか、勤務医の給与引き上げや学会参加費を補助したりすることも検討している。

 県はこれまでも医師不足対策として三重大などと連携し、研修医らを一定期間、遠隔地病院に派遣するなどしてきた。県医療対策室は「新たに入ってくる医師を増やしても、流出を防ぐ手だてがなければ根本的に改善しない」と指摘。「病院の質が上がれば、システム以外での医師募集や指導医の引き留めにも効果が期待できる」と力を込める。

 医療審部会では、委員から「県はどのくらいの予算を組むのかを明らかにしないと、システムは絵に描いたもちのように思える」との指摘も。県側は「意見を踏まえて検討を進めていきたい」と述べるにとどまった。

 (平井一敏)

 

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