伊那中央行政組合の小坂樫男組合長・伊那市長らは13日、県庁を訪れ、村井仁知事に対し、伊那中央病院(伊那市)の救命救急センター指定を改めて求めるとともに、県派遣医師の異動に伴い救急医療担当医師が3人に減る同病院への医師確保を要望した。村井知事はセンター指定について「機能評価を改めて行い、実態を整理することが必要」と述べ、上伊那地域の実態調査を行う考えを示した。
同地域では昭和伊南総合病院(駒ケ根市)が救命救急センターの指定を受けているが、医師不足が深刻。小坂市長は「事実上、伊那中央が地域の救急医療を担っている」と指定を求めた。
渡辺庸子・県衛生部長は「調整には、各方面への十分な説明が必要」と慎重な姿勢を示す一方、会談後の取材に対して、地域内の状況を把握するため、今月中にも昭和伊南へ出向く意向を示した。
村井知事は、南信地方の救命救急センター指定を昭和伊南、諏訪日赤(諏訪市)、飯田市立(飯田市)の3カ所に分散して指定した前県政の手法を「調整不足のまま決めてしまい、後遺症が残ってしまった」と指摘。調整は困難との見方を示しながらも「現状をほぐし、整理する必要がある」と述べた。
医師確保に対しては「できるだけの努力はしているが、どうしようもない状況。病院内のやりくりで何とかしのいでもらいたい」と理解を求めた。
小坂市長はセンター指定について「以前から状況に進展が見られない」と早急な対応を要望。医師確保にも「現状でも医師は過酷な勤務を強いられており、3人ではもたない。上伊那の救急医療体制は崩壊してしまう」と訴えた。