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2008年3月14日

 夜空に浮かぶピラミッドやスフィンクスを背景に、富山・八尾のグループがおわらを踊る写真と記事が掲載された。幻想的な光景を演出した夜空をいま、スペースシャトルが飛び、ほどなく日本の宇宙実験棟「きぼう」が作られる

構想から二十年、約五千五百億円の巨費を投じ、飛行士の土井隆雄さんは五十三歳になった。宇宙飛行は夢をはぐくむが、いろんな事情で十四年も足踏みをした国際宇宙ステーション計画には、疑問の声も出始めている

専門家によると、予定された実験のいくつかは、すでに地上や航空機で実現してしまった。巨額の費用をかけ、宇宙にまで出かけてやる必要が減ってしまったという。加えて、頼みの米国が七年先に計画を打ち切るかもしれない

「歌われよ、わしゃ、はやす」と呼吸を合わせたはずの計画で、「はやし方」が舞台から引っ込んでしまっては、「きぼう」もしぼむ。手放しでは喜べないドッキング成功である

人類にとって偉大な一歩、という名ぜりふで月に降り立ったのが三十九年前。だが、「次の一歩」の容易ではないことを、途方もない授業料と引き換えに宇宙は教えてくれる。


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