2008年03月13日

揺れる中共文化部 ビョーク上海コンサートの詳報とタン・ウェイ(湯唯)出演ユニリーバCM放送禁止の件

仰々しいタイトルですが、メルマガの転載ですので安心汁。

ブログでのgdgd口調と違い、キリっと執筆しているふるまいさんは、絵に描いたやる夫のAAみたいですな。
§ 中 国 万 華 鏡 § 之 北京ごろごろ日記

長いので先に結論から申し上げますに
どう見てもビョーク師匠>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ストーンズです。
それと中国の洋楽ファンは迷惑千万って感じですか。
で、ふるまいさんも書かれていますが、結局ビョークを招聘した事自体が文化部の失態なのか否か?
公務員と謂えどもチョンボしたら即射殺される大中華ですので、事前のリサーチミスは考え難い。
常識的に帰結するのが、今まで招聘した強面のロックアーティストは押し並べて中共リクエストに従順だったから、ビョーク師匠もお約束通りにいい子を演じてくれるだろ。という予断というか油断というか。

英ガーディアンからのかなり鮮明な「チベット!チベット!」画像が上がっていましたのでご紹介。
しかしyoutubeでの反応が鈍いのは・・・所詮極東だという事ですかね。

Bjork - Declare Independnce for Tibet - Shanghai



そして濃厚セックスのタン・ウェイちゃん発禁騒動については、流石のおいらも中共脳を想起出来ません><

レコードチャイナがリリースした日本軍絡み↓
「日本軍」がらみで歴史の歪曲?当局がタン・ウェイの出演CM差し止めか―中国:レコードチャイナ
は、トニー・レオンP&GのCMがお咎めなしとの事で、明らかに矛盾している。
であれば合理的に考えるとですよ、中共の文化部のお偉いさんがP&Gと癒着してユニリーバ弾いてんじゃねーの?という邪推。
古今東西、親方日の丸(あっちは親方紅旗か)がそっちにエネルギー使うのはデフォだよね。

で問題の発禁CM(美人です^^)とセックルシーンについてはyoutubeで見つけましたので、一番下に貼付しておきますね。

個人的感想ですが中国産の映画女優って、日本人の感性に合いますな。。
日本に大挙来日している在留中国人と基本的な顔の造形が違うのが中国四千年の歴史ですか。




2008年3月13日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.470 Thursday Edition
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■ 『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』 第119回
「“チベット”と“台湾”」

□ ふるまいよしこ :北京在住・フリーランスライター



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■ 『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』          第119回
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「“チベット”と“台湾”」

ブラー、デビッド・ボウイ、エコベリー、クーラシェイカー、オーシャン・カラー
・シーン、ポール・ウェラー、パルプ、レディオヘッド、スーパーグラス、テキサス
……手元にあるオムニバスCD「ロング・ライブ・チベット」に参加したアーティス
トの面々である。1997年発行だから、なかにはちょいとお懐かしい顔ぶれもある
し、今となってはどんなアーティストだったのか、もう思い出せない人もいる。あ、
もちろん、アイスランドの「歌姫」ビョークも参加している。

すでにニュースなどでご存知と思うが、3月2日に上海国際体育センターで行われ
たコンサートで、そのビョークが予定されていなかった「ディクレア・インディペン
デンス(独立を宣言せよ)」を歌い、その中で「チベット、チベット!」と叫んだの
が中国で大騒ぎになっている。報道によると、その前に行われた日本公演では、彼女
はそこで「コソボ、コソボ!」と呼びかけたらしい。

もちろん、中国当局は大激怒。「中国政府は積極的に中国と外国文化の交流活動を
奨励し、支援し、多くの海外の優秀な文化製品とサービスの導入に努めてきた。絶対
的多数の外国芸術グループ、アーティストの訪中公演では自覚的に中国の『商業公演
管理条例』の関連規定が守られてきた。しかし、個別の人物が商業公演を利用して政
治『パフォーマンス』を行うことは、中国の法律法規に反し、中国人民の感情を傷つ
け、一人のパフォーマーとして持つべき職業道徳に反するものである」と、文化部
(文化関連担当のお役所)のスポークスマンは叱責した。

……やってくれましたねぇ、ビョーク。恥ずかしながら、わたしがビョークのコン
サートがあったのだと知ったのはこのニュースでだった。3月2日ごろといえば、
ちょっと仕事も一息ついていたし、中国に来ると知っていたらわたしも行きたかった
なぁ、残念。とはいえ、コンサートは上海のみ。ビョークは東京と大阪の公演を終え
てから、香港に赴き、首都北京には足を向けずにそのまま上海のコンサートを終えて
疾風のように去って行ったのである。

さらに香港のニュースによると、香港のコンサートのチケットは480香港ドルと
780香港ドル(1香港ドル=約13円)のみ、しかし上海のチケットはなんと最高
1600人民元、学生チケットを除いて最低でも300人民元(1人民元=約15円)
だったそうだ。香港ドルと人民元のレートはほぼ1対1だから、上海では良い席を取
るには香港の2倍以上のお金を出さなければならなかったことになる。基本的な消費
水準は香港よりも低い上海での、この金額の高さはお分かりいただけるだろう。

ここのところ、大物洋楽アーティストのコンサートはほぼ北京を通らずに上海で行
われている。リンキンパークしかり、ローリングストーンズしかり、ビョークしかり。
そのたびに北京からごっそりとミュージシャンや文化関連メディアの友人たちが上海
へと押しかけていく。

なぜ、上海なのか?

それはまず、上海には外国人も多く、高額なギャラでやってくる外国人ミュージ
シャンのコンサートでも入りが見込まれること。もちろん、上海が北京より総体的に
商業化が進んでいることも関係している。なんといっても北京は昔っから何かの公演
の際には必ず、主催関係者、関連役所、会場関係者、もろもろの関係機関に「贈票」
と呼ばれる無料チケットを配るという「習慣」がある。これは社会主義時代の名残だ
が、いろいろな意味で政治色の濃い北京では、その「習慣」は以前よりは薄まってき
ているとはいえ、まだまだ残っている。つまり、商業公演にとっては、これは水モノ
要因となる。

そして、そんな政治を中心とした社会体制のおかげで、北京ではお役所関係への許
可手続きがいろいろと面倒なことも理由だろう。たとえば、今年1月初めにコンサー
トを開いた中国ロックの雄、崔健(ツイ・ジエン)は、その許可が下りたのが昨年1
2月中旬で、チケット発売からコンサート当日までわずか20日余りしかなかったと
言っていた。もっと小型の劇場で行われた、ある外国モダンダンスチームの公開リハ
ーサルを見に行ったとき、そのリハーサルが終わった頃にやっと、その晩の本番の公
演許可証が届いたと主催者が汗を拭き拭き、教えてくれた。もちろん、許可証がなけ
れば、観客を入れての商業公演は行えない。

そんなだから、演目についても厳しいチェックが入る。今回のビョーク公演は上海
ではあったが、「予定されていなかった」楽曲を演奏したというのは我々にとっては
聞きなれない説明だが、決してウソではないはずだ。「ディクレア・インディペンデ
ンス」なんて、台湾やウィグルやチベットなどの多くの独立問題を抱える中国では一
番に×印がつけられるはずだ。実際にローリングストーンズの訪中公演では4曲を演
目からはずすよう具体的な指示があったと聞く(そして彼らはそれに従った)。

「ぼくらにとって今日、家のまん前で西側ポップスのコンサートが行われることがど
れだけ大変なことか、それが長年の努力によって勝ち取られたものなのだということ
なんて、ビョークは決して知らないだろう。あの一声が一部の指導者の肝を震わせ、
今後のコンサートの開催にまた大変な努力をしなければならなくなった。コンサート
で『都市管理者の暴力反対』て程度のことを叫ぶならなんともないってのに、なんで
また『チベット独立』なんだよ」(王小峰ブログ「不許聯想」・3月7日)

もともと西洋ポップスの評論家だった人気ブロガー、王小峰はこうつぶやいている。
そうなのだ。80年代から90年代にかけて、王小峰たちをはじめとした、西洋ポッ
プスやロックに目覚めた若者たちはどれほどその目でローリングストーンズやビート
ルズ(もちろん、その頃にはもうとっくに解散していたけれど)、マイケル・ジャク
ソンにマドンナたちのコンサートを見たいと渇望していたことか。それが21世紀に
なって、ローリング・ストーンズは来たし、エリック・クラプトンも来た。飛行機の
チケットを買ってすら見に行ける身分になったことを彼らは素直に喜んでいるのであ
る。

報道によると、中国当局関係者は「文化部はさらにきちんと調査し、法に基づいて
処理を行うとともに、今後海外からの訪中公演の文芸グループに厳しい検査を行い、
このような事件が再発するのを防いでいく」と明言している。つまり、王小峰が言う
ように、今後、海外アーティストのコンサート認可審査はもっと厳しくなることが予
想される。

それにしても、わたしの頭から疑問が消えない。というのは、誰がビョークの招聘
を許したのか。正式の招聘元は当然プロモーターなわけだが、実際に誰がビョークの
訪中公演を「許可した」のか、という点である。ビョークはファンなら誰もが知って
いる筋金入りのチベット独立支援者だ。ファンでなくてもインターネットで調べれば
簡単にその事実は出てくる。

実際のところ、中国はビョークのほかにも人気ロックバンドU2や俳優のリチャード
・ギアなどに対しても、独立支援者、あるいはダライ・ラマに近いという理由でこれ
まで訪中を許していない(というか、本人たちに訪中しようという気があるかどうか
も疑問だが)。先にダルフールにおける中国政府の態度に抗議してオリンピック芸術
顧問を降りると宣言したスピルバーグ監督に対しては、「監督がオリンピック観戦に
来るつもりがあれば拒みはしない」などと「来てほしい」的なメッセージを送ってい
るが、強硬なチベット独立支持者にはまだまだそこまで柔軟な態度を取る準備は出来
ていないはずだ。

なのに、ビョークのコンサートは認可が下りた。まさか、ビョークが誰だか知らず
に許可したなんてことはありえないわけで(もしありえたとしたら、それはそれで内
部で大問題になっているはずだ)、実際にコンサートが開けたということは認可申請
の時点でビョークの過去に目をつぶった人物がいるということだ。それはなぜなのか。
うっかりなのか、それとも意図的なものなのか。

もう一つ、調べてみると「ビョークがコンサートでチベット独立を叫んだ」という
ニュースはコンサートの翌々日4日になってニュースとして流れている。その理由と
して、さまざまなサイトに、実際にビョークが『チベット、チベット!』と叫んだ際、
「少なくとも半分以上の観客は彼女がなにを言っているのか聞き取れていなかった。
自分も4日夜になってインターネットで知った」という観客の声が転載されていた。
一方で、西洋人観客の「それまで盛り上がっていた観客が『チベット、チベット』で
雰囲気ががらりと変わり、途中で席を立つ客もいた」というまったく逆のコメントも
あちこちで紹介されている。

どちらを信じるかは人それぞれだが、その結果、かつてのサッカーアジアカップの
ときのように、インターネット上でネットサーファーたちの怒りの声を引き起こして
いる。実際にそこにいたわけではない連中によってネットからネットへと伝わり、
ビョークの行為を分析し、罵り、騒ぎは大きくなった。たぶん当局関係者もその反応
の鈍さからして、きちんと内部で報告を受けたのではなく、インターネット上の騒ぎ
でこの事実を知ったのではないか(最初にそれを流したのは外電だとも言われてい
る)。

インターネットの世界はすさまじい。ほんの小さなニュースがあっという間に人々
の注意を引く「話題」に変わっていく。

このビョークの「チベット」騒ぎが持ち上がったとほぼ同じ頃に、今度は日本でも
公開中の映画『ラスト、コーション』の主演女優、湯唯(タン・ウェイ)が出演した
化粧品コマーシャルが、テレビ放送を管理する国家広播電影電視総局(以下、広電局)
によって放送禁止となったという情報が駆け巡った。

『ラスト、コーション』は日中戦争時代の香港、上海を舞台にした映画で、中国の歴
史では「漢奸」と呼ばれる日本軍協力者と、その暗殺を狙うグループ(最初は学生た
ちの思いつき、後に中国抗日戦線機関によるプロフェッショナルなグループ)から送
り込まれた女性工作員の物語である。ちょうど、その当時を経験した女性作家、張愛
玲(チャン・アイリン)の原作をもとに、『グリーン・デスティニー』『ブローク
バック・マウンテン』でアカデミー賞を獲った、台湾出身の監督、アン・リー(李安)
が脚色した。

わたしも昨年末、台湾で観たが、リー監督は彼のこれまでの作品にも見られるとお
り、「美」と「人の情」をうまく描いていた。今作はその「美」と「情」の世界で描
かれるのが歴史上の悪人「漢奸」なのだから、華人観客たちの気持ちは穏やかではな
い。さらに、香港の人気俳優トニー・レオン(梁朝偉)と湯唯がこれまでの華人映画
には見られないほどの濃厚なベッドシーンを演じたことで注目された。結局、台湾、
香港では成人映画としてほぼノーカットで上映され、映画レート制がない中国では性
描写を中心に約12分間分がカットされて上映されたが、「完全版を見よう」と中国
国内から香港へ観客が押しかけて、これもまた話題になった(香港でいまだに上映が
続いているのは、中国国内からの観客のため、と言われている)。

3月7日に中国の新聞「北京晨報」が「湯唯封殺か?」のニュースを流すや否や、
大騒ぎになった。湯唯は『ラスト、コーション』以前はまったく知られていなかった
新人であり、海外で新人賞を次々に手にした後も目立った発言はしておらず、逆に言
えば、中国・香港・台湾の優れた映画関係者が集まった話題作で注目される女優とし
ては物足りないくらいの発言ばかりだ。だからこそ、当局によるコマーシャル封殺は
自然に『ラスト、コーション』に起因するものであることは確かと思われた。

一方、マスコミの問い合わせが殺到した広告主のユニリーバ関係者は最初は「具体
的に理由は知らされていないが、テレビから締め出されたのは事実」と認め、その後
1ヶ月ごとに更新されるテレビコマーシャル契約で、すでに契約したもの以外の契約
更新を各テレビ局に断られ始めていることを明らかにした。

「映画『ラスト、コーション』での湯唯の演技は確かに大胆で度を越しており、エロ
といわれても仕方がないところもあり、映画『ラスト、コーション』に対する厳格な
審査も正常な範囲である。しかし、なぜ、映画『ラスト、コーション』が上映され、
話題になっていた頃に手を下さず、ほぼそれが下火になった頃になって国家広播電影
電視総局は振り向きざまに銃を撃ったのだ? 規定違反の映画あるいは関係者に対す
る制約や封殺は理解できるが、分からないのは映画『ラスト、コーション』は集団に
よって生み出されたものであり、なぜ湯唯一人を封殺するのだ?」(「湯唯のコマー
シャル放映禁止、理由はなんだ」浙江オンライン・3月10日)

もちろん、映画自体の視点や描写に反対を貫く人の中には、先の香港で起こった人
気俳優エディソン・チャン(陳冠希)の「ベッドイン写真」に写っていた芸能人の全
面ボイコットとともに湯唯も封殺すべき、という声もある。ただ、上述したように、
映画自体を評価しなくても、一介の新人女優に明らかな理由も語らずに処罰を行う体
制に疑問を呈する声も多い。

「全国政治協商委員の(人気映画監督である)馮小剛は、『ボタンをいくつはずせば、
エロなんだ? 法律上の取り決めがないために、監督たちはぎりぎりのところを手探
りし、一歩間違えば感電することになる。現在の中国では大型政策映画は市場化に向
かっているが、制度面ではまだまだ計画経済時代にとどまっている』と語った。映画
のレート分け制度は市場のてこによって監督の尺度を測るもので、映画市場に最も見
合った政策だ。レート分けのない状態では監督たちの束縛は多く、彼らが思い切りハ
リウッドと競争をすることは根本的に不可能であり、中国映画の勢いにかげりをもた
らすものとなっている」(「湯唯封殺の噂で政協委員に映画ランク制度の声」紅網・
3月10日)

これまで「個人の自由」を理由に同性愛や夫婦スワップ、風俗ビデオなどについて
積極的な意見を発表してきている、性文化学者の李銀河女史も声を上げている。

「湯唯がどんな間違いを犯したというのだ? 『ラスト、コーション』を撮っただけ
ではないか? 映画の裸のシーンはわいせつ品と芸術品の区分にぴったりの例だ。わ
いせつ品と芸術品の区分とは、同じような裸のシーンに対してストーリーに必要な裸
は芸術品であり、ストーリー以外の裸をわいせつと定義するという違った分類が行わ
れるべきなのだ。広電局の圧力は不当だ。わたしは抗議の声を上げる。湯唯は非常に
勇敢な人物であり、彼女の芸術に対する貢献精神は賞賛され、人々の尊重を受けるべ
きである。皆が湯唯を支援し、湯唯を守り、湯唯を尊重するべきなのだ」(「湯唯が
なにをした?」李銀河ブログ・3月10日)

さらにビジネスウェブサイトの「アリババ」では広告主のユニリーバの声を伝えて
いる。

「湯唯が出演するポンズ化粧品のコマーシャルの内容自体には決して問題はない。と
いうのも、すでに各関連当局の認可を受けているからだ。ならば、もし『ラスト、コ
ーション』に出演したことが問題というのならば、さらに不合理だ。というのも、湯
唯は国内で上映された合法的な映画に出演しているのだから……曾錫文(同社グレー
トチャイナ地区副総裁)は、『もっと分からないのは、もし[ラスト、コーション]
が理由だというのであれば、トニー・レオンのコマーシャルはなぜ放送できるのだ?』
と憤る。消息筋によると、トニー・レオンはP&Gのコマーシャルに出演しており、
ユニリーバにとってP&Gはライバル会社なのだ」(「ユニリーバ:なぜトニー・レ
オンは無事なのか?」中国経済網・3月11日)

それはただ、映画の性描写と「漢奸」に対する視点の問題だったのだろうか? 考
えてみると深い入り組んだ内実がそこにあるような気がする。

アン・リー監督はこの作品で華人監督として初めてベネチア国際映画祭で2冠に輝
き、またすでにアカデミー賞の常連客となっている。間違いなく、現代華人社会を代
表するトップ監督だ。中国政府は国内出身のチャン・イーモウ(張芸謀)監督をアカ
デミーにどうにか送り込もうとあの手この手で躍起になっているが、チャン監督の作
品でデビューした中国出身の女優チャン・ツィイー(章子怡)が海外のファッション
雑誌の表紙を飾るようになったのは、リー監督の『グリーン・デスティニー』の功績
である。現状では、チャン監督(彼は北京オリンピックの開会式芸術監督でもある)
の海外における評価はリー監督にはかなわないと言ってもよいだろう。

さらに、リー監督は上述したように台湾出身で現在はアメリカで活動している。
『ラスト、コーション』は台湾でも大論争を巻き起こしたが、試写会で温かい拍手で
迎えられた彼は「なによりも台湾の観客に受け入れられるのが一番うれしい」と語っ
ていた。彼を「華人文化高揚の希望の星」と(無理やり?)見なしている中国政府は、
それについて何もコメントしなかった。

さらに湯唯の相手役である「漢奸」を演じたトニー・レオン(梁朝偉)は香港人で
あり、彼もまた海外各地で注目されている。湯唯演じた女性スパイがひそかに恋心を
抱く同級生かつ彼女がスパイとなっていく過程で重要な役割を演じる男性は、アメリ
カ国籍の台湾系人気ミュージシャン、王力宏(ワン・リーホン)が演じた。今回の事
件は広電局が問題シーンカットという方法で上映許可を行ったのに、さらに同局内の
別の関係者が懲罰を試みた結果、その「手が届く」範囲が中国国内出身の湯唯だけ
だったということではないか。

特に今は台湾総統選挙(3月22日)を控えた大事な時期だ。ここで、リー監督や
広く東南アジアで人気のトニー・レオンを制裁すれば、華人社会にはショックが走る
だろう。当然、以前中国の軍事威嚇によって大きく「台湾独立派」が票を伸ばした総
統選の二の舞になってはならない。

ビョークは世界的な人気歌手で「チベット!」と叫んでさっさと去っていった。ア
ン・リーもトニー・レオンも安泰。そして映画で裸体をさらし、共産党ではなく国民
党の工作員を演じた、大陸出身のおとなしいウサギちゃんがまな板に載せられた。う
がった見方かもしれないが、映画界、コマーシャル業界、さらには経済界にも通じる
分野において、中国はまだまだ「計画経済」社会どころか、「水モノたっぷり博打」
社会であることが証明された事件となった。

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ふるまいよしこ
フリーランスライター。北九州大学外国語学部中国学科卒。1987年から香港在住。
近年は香港と北京を往復しつつ、文化、芸術、庶民生活などの角度から浮かび上がる
中国社会の側面をリポートしている。著書に『香港玉手箱』(石風社)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883440397/jmm05-22
個人サイト:<http://wanzee.seesaa.net>
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JMM [Japan Mail Media] No.470 Thursday Edition
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【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】128,653部
【WEB】   <http://ryumurakami.jmm.co.jp/>




汤唯天价接拍新广告再现旗袍风情(ユニリーバCM)


《色戒》去点绿色纯净版 Lust, Caution(ラスト、コーションセックスシーン抜粋)


「ラスト、コーション 色|戒」公式サイト
あらすじ:
1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる美しき女スパイ、ワン・チアチーは、敵対する傀儡政権下特務機関の顔役、イーに近づき暗殺の機会を狙う。しかし、危険な逢瀬を重ねるうちに、いつしか彼女は虚無の匂いを漂わせるイーに魅かれ、イーもまた、純潔さと大胆さとを併せ持ったワンの不思議な魅力に埋没していった。二人は必然のごとく、そして死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しくお互いを求めあう。まるで互いの肉体を傷つけ合っている時だけが、リアルな生を感じているとでも言う様に…。だが、二人のスリリングで危険に満ちた禁断の愛は、時代の大きなうねりの中で運命的なラストへとなだれ込んで行くーー。

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アイリーン・チャン 南雲 智


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【ビョーク過去記事】
中国政府 ビョーク師匠に法的措置発動と戯言
ビョーク 上海コンサートで「チベット」連呼

  




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