肺がんのため47歳で死去した音楽プロデューサーの上田現さんの告別式が13日、東京都新宿区の「千日谷会堂」で営まれ、上田さんが手がけた「ワダツミの木」でデビューした歌手の元ちとせさん(29)が涙ながら同曲を熱唱。上田さんが所属したスカバンド「レピッシュ」は、上田さん作詞作曲の「ハーメルン」を手向け、約1000人のファンとともに早すぎる死を悼んだ。
上田さんは、レピッシュでキーボードを担当し、87年に「パヤパヤ」でデビュー。ステージでは肩掛けのキーボードとサックスを手にステージを駆け回るパフォーマンスで「現ちゃん」と親しまれた。02年に脱退後、ソロやプロデューサーとして活動。07年にレピッシュ20周年を機に活動再開を発表していたが、腰痛として10月の東京公演以外は、キャンセルしていた。
上田さんは06年10月、末期の肺ガンを宣告されたが、「考えられないような満塁ホームランの試合をたくさん見てきた」と懸命に闘病を続けたという。妻理央さんは「最期の瞬間まで、壮絶な痛みに耐え戦った。(亡くなる直前)『僕はシリウスになる。いつも見守っている』と話してくれました。みなさんも空を見上げたとき、そこに現がいることを感じてください」とあいさつ。出棺時には「現ちゃんありがとう!」というファンの声が続き、大きな拍手で送られた。
元さんは涙ながらに「悲しいだけ。くやしいだけ」と語るのがやっとで、レピッシュのメンバーは、ボーカルのMAGUMIさんが「言葉にならない」といい、ドラムの雪好さんは「(亡くなる)3日前に危とくと聞き、急いで病院に駆けつけた。残念です」と言葉を詰まらせた。ベースのTATSUさん、ギターの狂市さんは無言で式場を後にした。
元「JUDY AND MARY」ギタリストのTAKUYAさんは「最初のバンドがレピッシュの弟バンドだった。スタジオとかに遊びに行ったりしていました。(昨年)10月の再結成を見に行ったのが最後」と涙を浮かべ、ロックバンド「Theピーズ」のボーカルの大木温之さんは「優しい先輩でした。ありがとう」、元バービーボーイズのベーシスト・エンリケさんは「昔イベントで一緒のステージに立ったことが懐かしい。信じられない気持ち」と声を震わせていた。【西村綾乃】
2008年3月13日