分解性設計とリサイクルを世界規模で進めている先進的な企業の1つに、米Hewlett-Packard(HP、ヒューレット・パッカード)社がある。同社は、European Recycling Platform(欧州リサイクルプラットフォーム)(http://rbi.ims.ca/5410-556)の設立メンバーでもある。同プラットフォームは、欧州の大部分でWEEE指令の準拠判定に使用されることになる基準の骨子をまとめる作業を担当している。
HPは、45万3,592トン(10億ポンド)の電子廃棄物(プリンタカートリッジを含む)をリサイクルするという目標を2004年に立て、この数字を当初の予定より6ヶ月早い、昨年の夏に達成した。そして今度は、さらに10億ポンドを2010年までにリサイクルしようとしている。
HPの環境戦略委員会で議長を務めるJohn Frey氏は言う。「15年前には、リサイクルできる製品を設計しようという強い意識がすでにあった。その理由は、20年前から始めたリサイクル業務の中で、製品の組み立て方法がリサイクルに適しておらず、苦労をしていたからだ」
HPでは、分解しやすい設計には、より簡素な組み立て方法が必要だと考えている。
Frey氏は、「現在我々は、すべての工程で使用するねじの形状因子を共通化している。以前は、サブアセンブリの組み立てには十字穴つきねじを使い、メインアセンブリの組み立てには平頭ねじやトルクねじを使っていた。すると、分解作業の際に、作業者がドライバーの種類を何度も繰り返し交換しなければならないことがわかった」
デスクトップPCは、従来は5本のスクリューで固定されていた。「現在のビジネスPCの多くはラッチ式の固定方法を採用していて、ラッチを外して引っ張れば側面全体が外れるようになっている」(Frey氏)。バッテリーケースカバーは、今では独立した部品ではなく、バッテリー本体と機能を統合し、一体化されている。
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分解しやすく組み立てろ
[2008年01月号]リサイクル促進のため、製品の分解しやすさが
今後ますます重要になる
欧州連合(EU)の2つの新たな指令によって、企業はEU域内で販売する製品について、使用後まで責任を負わなければならなくなっている。2003年にRoHSとともにEU法として施行された廃電気電子機器指令(WEEE指令)は、一部加盟国がこれまで実施に対して消極的な姿勢を取っていたが、ここへ来て状況が変わり、その実効性がようやく高まってきた。
OEM企業やディストリビュータは、コンピュータ、家電製品、携帯電話、照明器具、医療機器など電子機器の使用済み廃棄物を回収し、材料を可能な限りリサイクルまたはリユース(再使用)することを義務づけられている。英国では、同指令が2007年7月1日に施行されたばかりだ(http://rbi.ims.ca/5410-553)。メーカーは、みずから製造した製品の回収とリサイクルにかかる費用を負担するために、手数料を支払っている。
すでにドイツなどの国では、メーカーが消費者から出た廃棄物を市町村の処理場から回収する責任を担っている。このシステムでは、メーカーが処理費用を抑えるため、製品のリサイクル性を可能な限り高めようと努力することになる。
米国内では、3つの州が廃電気製品に関する法令を公布し、その他の複数の州で法案が審議されている。その中でも、最も影響が大きいのがカリフォルニア州の法律だ。ここでは、消費者が購入時にリサイクル費用を負担しなければならず、OEMには製品改良の動機付けをしていない(http://rbi.ims.ca/5410-554)。
EUではまた、廃自動車指令(ELV指令)(http://rbi.ims.ca/5410-555)によるリサイクルの対象を、2015年までに75%から95%へ引き上げようとしている。リサイクル性を考慮した設計を後押しする別の要因としては、材料費の高騰がある。米General Motors(GM)社の購買部門を率いるBo Andersson氏は、アルミニウム、鋼、銅、亜鉛の価格の上昇は、“恐ろしいほど”だと言う。GMはリサイクルの取り組みでは他社を先行しているが、他のOEM企業にとっても経済的なメリットは大きくなりつつある。
HPの先進的な取り組み
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