米金融大手シティグループは11日、国内初の三角合併方式で1月に完全子会社化した日興コーディアルグループと09年末までに行う事業統合計画を発表した。個人向けの日興コーディアル証券と法人向けの日興シティグループ証券を1年以内に統合し、証券部門を一本化することなどが柱。傘下の銀行、証券を整理して効率化を進め、日興の国内営業力とシティの幅広い海外拠点網を融合させた総合金融サービスを強化する狙いだ。
双方の持ち株会社を今年5月に合併して「日興シティホールディングス(HD)」を設立。さらにシティバンク銀行と日興シティ信託銀行を09年末に新持ち株会社の傘下に置き、銀行部門も将来的に統合する見通しだ。日興の子会社で投資銀行業務を担う日興プリンシパル・インベストメンツは米シティの傘下に移管する。
新たな持ち株会社の会長兼社長には、シティ日本法人のダグラス・ピーターソン最高経営責任者(CEO)が就任。持ち株会社の名誉会長には塩川正十郎元財務相が就き、新設する「独立諮問委員会」の委員になる。
同日会見したピーターソンCEOは「日本に完全にコミットするシティの姿勢は変わらない」と強調した。しかし、シティは米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題による巨額損失を計上し、経営の立て直しが大きな課題となっている。日興買収に1兆円以上を投じた日本でも、消費者金融事業の売却が取りざたされ、国内事業の先行きは不透明だ。
シティは日興シティ証券の従業員の1割に当たる170人を削減する方針だが、サブプライム損失が拡大した場合、日本でも一層のリストラや事業売却が求められる可能性もある。
一方、米国市場でシティ株価の10日終値は節目の20ドル(約2040円)を割り込んだ。1月の株式交換に応じた株主は含み損を抱えたことになるが、ピーターソンCEOは「株主には今後もグローバルに企業情報を提供する」と述べるにとどめた。【松尾良】
毎日新聞 2008年3月11日 19時27分 (最終更新時間 3月11日 19時28分)