経口投与のアレルギー免疫療法(滴下剤または錠剤)がアレルギー性喘息の小児での症状緩和に有効、かつ薬物療法を減らすこともできることが示され、医学誌「Chest」3月号に掲載された。報告を行ったイタリア、ジェノア医科大学のGiorgio Walter Canonica博士は「(経口の)免疫療法は有効かつ安全であり、投与が容易で患者にも受け入れられやすい」と述べている。
米国で「アレルギー注射(allergy shot)」と呼ばれるアレルギー免疫療法(減感作療法)は、ワクチンに似た作用によって効果を発揮するもので、花粉やダニ類などの無害な物質に過剰反応しないよう免疫システムを再教育するもの。効果は高いものの、通常は週に1〜2回の注射を3〜6カ月受ける必要があるため、小児には好まれない。ヨーロッパでは経口免疫療法が利用可能だが、米国ではまだ米国食品医薬品局(FDA)の認可が得られていない。
今回の研究は、喘息患児の舌下(経口)免疫療法について調べた研究9件をレビュー(再検討)したもので、アレルギー性喘息と診断された3〜18歳の小児計441人が対象。アレルギー性喘息は、イエダニ、花粉、カビなどのアレルゲンへの曝露により喘息症状が誘発されるものである。232人が経口免疫療法、209人がプラセボ(偽薬)の投与を受けた。服薬スケジュールはさまざまであったが、維持期には滴下または錠剤により週3回の投与を実施。研究の平均期間は12カ月であった。
その結果、舌下免疫療法(SLIT)を受けた患児は喘息症状が有意に少なく、薬物療法も少なくてすむことがわかった。ただし肺機能を調べた研究が少なく、SLITが肺機能に有意な効果を及ぼすかどうかについては、今回評価できなかった。
Canonica氏によると、SLITとアレルギー注射を直接比較した別の研究では、いずれも同等の効果が認められているという。米ピッツバーグ小児病院(ペンシルベニア州)のAndrew MacGinnitie博士によると、SLITはアレルギー注射に比べて忍容性がよく、まれに重篤な反応が認められるものの、注射の場合よりもずっと少ないという。さらに、注射と異なりSLITには自宅で投与できるという大きな利点があることも指摘。「免疫療法はアレルギー反応の原因に向けた唯一の方法であり、経口療法は喘息患児にとって、新しく期待のもてる治療法である」と述べている。
原文
[2008年3月4日/HealthDay News]
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