大腸(結腸)癌(がん)の多くはポリープから発生すると考えられているが、いわゆる非ポリープ型(平坦型または陥没型)の病変も癌になりやすいことが示され、米国医師会誌「JAMA」3月5日号で報告された。
米国退役軍人局パロアルト・ヘルスケアシステム(カリフォルニア州)のRoy Soetikno博士は、この知見を道路の横断になぞらえ、「人は通りを渡るとき左右を確かめても地面の穴に注意することはないが、医師はこのような穴も含めてあらゆるものに注意すべきことが今回の研究で示された」と述べている。
幸い、最新の大腸内視鏡検査技術を用いれば非ポリープ型病変の発見および切除が可能だというが、CT画像をコンピューターで再構築し、あたかも内視鏡検査のような三次元画像を提供するバーチャル(仮想)大腸内視鏡検査は、まだそこまで感度が高くないという。これまで専門家の間では、非ポリープ型病変は主に日系人にみられるものだと考えられており、米国の医師はこのような病変を検出する訓練を受けていない。Soetikno氏らは、このような病変を高い確率で検出できるよう、日本の内視鏡検査施設の専門家により特別な訓練を受けた。
この最新の知識を用いて、研究グループは、標準的な大腸内視鏡検査が予定されていた退役軍人1,819人を対象に、非ポリープ型病変を検出する検査を実施。参加者は平均64歳、95%が男性で、79%が白人であった。その結果、764人(42%)に1つ以上の病変が発見された。170人(9.35%)に非ポリープ型病変があり、81人にはポリープと非ポリープ型病変の両方が認められた。一般のスクリーニングでポリープが見つかる確率は約30%で、非ポリープ型病変が発見される確率の5倍の高さだというが、今回の研究では、非ポリープ型病変が癌性である確率(odds)がポリープの9.78倍と、非常に高いことが判明した。
一般に、非ポリープ型病変は内視鏡検査時に切除できるが、検査を受けた施設にその技術がない場合、再度処置を受ける必要がある。また、病変が完全に平坦な場合、より熟達した施設で除去を受ける必要があるとSoetikno氏はいう。この知見は大腸内視鏡検査の有用性を否定するものではなく、「十分な訓練を受けた内視鏡技師による高度な検査の必要性を強調するものである」と付け加えている。
原文
[2008年3月4日/HealthDay News]
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