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【グローバルインタビュー】英皇太子は北京五輪開会式に出ない (1/3ページ)
英オリンピック委員会(BOA)が、北京五輪の代表選手に「人権問題など政治的発言は慎む」との契約書に署名を求めるという方針を、批判を受けて即座に撤回した。人権団体、「フリー・チベット・キャンペーン」(本部・ロンドン)のアン・ホームズ代表代行は産経新聞と会見、「BOAの当初方針は恥ずべきことだが、批判しないことが対中ビジネスの対価なのだから驚かない。人権問題に関し発言の自由が認められない現状は不名誉な限り」と語った。(ロンドン 木村正人)
−−BOAの今回の対応についてどう思うか
「米国など他の国々では、代表選手に発言や行動の自由が与えられている。結果的に規制方針は撤回されたものの、BOAが代表選手の発言を規制しようとしたことは、誠に恥ずべきことだ」
−−チャールズ英皇太子の個人秘書が「皇太子は北京五輪の開会式に出席しない」との返書を、「フリー・チベット・キャンペーン」に出しているという。その経緯は?
「現在の駐英中国大使が、皇太子に北京五輪の開会式に出席するよう説得を試みる使命を帯びて接近している、と昨年末に英紙が報じた。皇太子はこれまで中国の人権問題に批判的で、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世やチベットの人たちとの友情を長く保ってきた。記事に驚いて確認のため皇太子の御所に書簡を出した。その中で、駐英中国大使の“微笑作戦”に対するわれわれの関心を伝えた」
−−それに対する返書にはどう書かれていたか
「皇太子は長らくチベットに関心を持ち、ダライ・ラマ14世と数回にわたって会談していることや、皇太子は北京五輪の開会式には出席しないことなどが書かれていた」
−−チャールズ皇太子の真意は何だったのか
「返書には出席しない理由は書かれていなかった。チベット問題の理解者である皇太子が開会式に出席することになっていたら、中国の宣伝工作が勝利を収めることになっていた。賢明な皇太子はそれを自覚していたのだろう。皇太子の気持ちを代弁するわけにはいかないが、皇太子が開会式に出席しないことが世界的論争を起こしたのは確かだ。中国政府は招待していないと言うだろう」