司法試験受験生へのメッセージ |
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 受験の鉄則 本ページは、受験生の皆様に私が受験時代に犯した失敗をしてもらいたくないために、思いつくことを書き留めておこうとして開いたものです。 なお、端的に私の言いたいことを知りたい方は、90年度版の「私の司法試験合格作戦」(エール出版)を見て下さい(余談になりますが、受験生に会ったときに、全く知らないから方々から先生の体験記は非常に参考になったと感謝されたことが度々あります。それなりに良いことが書いてあると思います)。 今回は、早期合格をするための鉄則を申し上げます。受験自体が趣味で、何年かかっても苦痛でない人はともかく、そうでない方は、以下の鉄則を常に頭に置いて下さい。 知識では勝負しないのは当然のことだが、論理的法律的思考力で勝負が決まるというのも大ウソであること 「法的思考力」などということばに騙されて袋小路に陥るのです。法的思考力」を強調している予備校に騙されてはいけません。営業政策上、司法試験が、実は、私が述べるような他愛のない試験であることを隠そうとしているのです。 何か「法的センス」とでもいうようなものを予備校で養わないと合格しないかのように思わせる陰謀です。注意しましょう。法的センスなんて冗談じゃない。数年の勉強でそんなことできるわけないでしょう。論理的に分かりやすい文章を書くことが重要なんですよ。 何を書くかではなく、どのように書くかで勝負すること この鉄則が私が言いたい最大のポイントです。後に詳述します。 当たり前の答案を「人とちょっと違ったように論理的に」書くこと 「ちょっと違ったように論理的に」これがポイントです。何が論理的かはまた詳述します。 答案練習の合格答案が本番の合格答案とは限らない。しかし、本番の合格答案は答案練習でも合格答案なりうる答案である 答案練習の模範答案は参考になりません。本番では合格答案になりえないものが多いからです。本番の合格答案はもっと単純なんですよ。 定義・立法趣旨からの論述をすること これ自体は、良く言われていることで、そのとおりです。しかし、そのことの具体的な意味・方法は予備校では教えてくれません。 合格レベルを頭においた勉強をすること やりすぎる人が多すぎる。私自身も、必要な知識以上の勉強をしてしまったと後悔しております。合格者のレベルは驚くぐらい低いものです。純粋な知識が問われるのが口述試験ですが、試験官は、あまりのレベルの低さに愕然とするそうです。ホント。 他人に答案を見て貰うこと 特に合格答案を他人にたくさん見て貰うこと 恥ずかしがってはいけません。 分からないことがあったら他人が分かっているかどうか確認すること 分からないことがあると悩んでしまうタイプの人は注意して下さい。分からないのは学説自体が矛盾していることが多いんですよ。分からないということが分かれば十分です。先へ進みましょう。 予備校などでは、「自分の頭で考えろ」と言って、悩むことを奨めるかのような講義をする人がいます。学者や趣味なら格別、合格を目指しているのであれば、悩む必要はありません。快晴の青空のように明快に頭に入ってくることだけが本番で役に立つ武器なのです。 難しいことはやらないこと 8のとおり、何が難しいことなのかが分かれば十分です。 試験場には軽武装で行くこと 普段の勉強では重装備でも、試験場(特に論文式)では、「これ一冊」と言えるくらいの軽武装で行きましょう。 私の方法論を読んでいただければ、その理由が分かって貰えると思います。 答案は出来る限り短く 特に書き出しの言葉から終了の言葉まで、無駄な一言(その言葉がなくても意味が通じる言葉)を入れてはいけません。 受験生は、この程度しか書いてないとあたりまえ過ぎて合格しないのではないかとの危惧感を持つようです。 論文式試験が終了したら必ず自分の答案を再現すること 受験回数の多い方は、特にこのことを守って下さい。 「再現できない」という方は問題です。再現できないような難しい答案を書いてはいけないのです。私の場合は、試験が終わった翌日にすべて答案を再現しました。驚く無かれ、どういう文章で1頁目を終えて、次の頁に移ったのかまで鮮明に記憶しておりました。というより、記憶できる程度の答案しか書かなかったのです。 まだまだ、申し上げたいことが有るのですが、追々記述しましょう。 次回は、どのように書けば良いのかを具体的に記述します。 付録 択一試験のポイント 私自身は択一試験は落ちた経験がなく、苦手としていませんでした。それだけに、論文試験ほど攻略法を考えたことがありませんので、皆様のお役にたてるかどうか分かりません。 ただ、以下がポイントであることは間違いありません。 正答率60パーセント程度の問題を全て解けば合格することを頭に置くこと。 知識的にはそれをクリアする程度の知識があれば良い。明らかに難しい問題は捨てること。もっとも長い問題と難しい問題とは一致しないから注意して下さい。 「残り二つ」まで選択肢を絞れる実力を付けること 残り二つまでしぼっても、どちらが正解か分からないときには、 多くの受験生が選ぶで有ろうと思われる方を選ぶこと そうすれば、選んだ方が間違いだったとしても致命傷にはならないからです。 その意味でも受験生の一般的レベルを知ることは重要です。 年を越したら、択一の問題を解きまくること この世に存在する択一問題は全て解いてやるくらいの気力で解きまくること。そうすれば、上の1〜3をクリアするだけの実力はつきます。 直前は択一模試を受けること 正答率60パーセント以上の問題を落としていないかどうか注意すること 体調万全で臨むこと 当然ですね。 |