福岡県田川郡内の公立中学校で、一部生徒による“授業妨害”が続き、校長と教頭が心労で体調を崩し休職や自宅療養する事態となった。管理職不在を避けるため、校長は今月1日に後任が着任した。生徒たちは2月末まで約1年間、校内の一室に“隔離”されていたが、現在は指導が事実上及ばない状態にあり、教育委員会は「混乱のおそれがある」として卒業式の14日、県警に警備の要請を検討している。
教委によると、これらの生徒は2、3年生の計8人。廊下の窓や校長室のロッカーを壊すなどの器物損壊や教師への威嚇行為を繰り返した。また、校内を徘徊(はいかい)しては訪れた保護者につばを吐きかけたり、2階渡り廊下から放尿したこともあったという。
学校側は生徒たちを美術準備室に個別断続的に“隔離”したが、生徒はテレビゲームや電熱器、ラジカセなどを自宅から持ち込み、喫煙や飲食するなど事実上のたまり場となったため、2月末に準備室は閉鎖された。現在も生徒たちは登校しているという。
この間、教頭は昨年末に約1カ月間休養し、2月下旬から現在まで自宅療養中。校長も2月上旬から病欠し、今月1日から休職した。ともに心労で体調を崩したという。
所管する自治体の教育長は生徒たちの行動について「原因は分からない」と話す。教育長によると、学校側は生徒らの親に話し合いを求め、生徒が一度は学校や親の注意を聞いても、仲間で群れると再び荒れ出したりするといい、結果的には改善できなかったいう。
校長の病欠を受けて、教委は事故防止のため職員6人を連日学校に派遣。一部保護者も週1回、校内のたばこの吸い殻などを拾う活動を始めた。しかし、実態に憤る保護者は少なくなく、2月末の緊急保護者会では「生徒らを出席停止にしてほしい」との要望も出た。また、4月に入学する新1年生数人は、親類宅などから通う形で隣接自治体の中学校への進学を決めているという。
1年生の保護者という40代の主婦は「校内は吸い殻が散乱しているし、荒れているのは事実。子供が巻き込まれないか心配でたまらない」と話した。
教育長は「信頼される公立学校という責務を全うできず、深く反省している。正常化に向けて地域の協力もあおぎ、生徒の生活指導を徹底して、全力で立て直したい」と話している。【林田雅浩】
毎日新聞 2008年3月13日 2時30分 (最終更新時間 3月13日 11時15分)