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消費者庁?

2008年03月13日

 昨年末、薬害肝炎問題で崩壊寸前まで追い込まれた福田政権は、議員立法で辛うじて急場をしのいだ。味をしめた首相は、「生活者、消費者が主役へと転換する」と言い出し、「消費者庁」の創設に乗った。民主党は対抗案として、オンブズマン設置法案を提出しようとしている。

 だが、消費者庁などという二流の官庁が機能するはずもなく、オンブズマンという個人の能力に依存するような仕組みが強大な特殊利権集団である官僚群に対抗できるものでもない。また、守るべきは消費者・生活者だけではない。他にも、警察による冤罪や「踏み字」強要、偽装請負や二重派遣といった労働問題など国民の人権への脅威が増大し続けているのである。

 この国の憲法が保障する権利は実際にはほとんど空手形に過ぎず、義務の方は酷薄な徴税システムが整備されている。「一利を興すは一害を除くに如(し)かず」というが、今必要なのは社会保険庁や厚生労働省のような国民の権利を擁護し得ない組織を排除すべきなのである。破綻(はたん)企業の再生をあまた経験し、不良組織の処理に実績を積んだ人材には困らないはずである。

 その上で「国民の基本的人権を脅かし、またその恐れのある商品や役務を排除し、その供給者たる行政機構や業者を処罰する法律」を制定し、この法律を実行に移すスーパー官庁を創設すべきである。この法律は機能不全の省庁の改廃や統合、幹部の処罰を規定し、「国民擁護省(仮称)」の大臣はプライムミニスターに次ぐスーパーミニスターとして広範な処罰権限を持ち、幹部は他省庁や民間からの公募制とする必要がある。

 無謬(むびゅう)性神話なるフィクションにあぐらをかく官僚に恐怖感を与えない限り改革などは進まず、国民の不信は増大し、支持率30%そこそこの政権の安定性は更に損なわれる。(四知)

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