全地球測位システム(GPS)などを使い航空機が目的地まで最短ルートで飛行するシステムが13日から国内で初めて本格導入される。これまでの地上無線施設からの電波で位置確認しながらの飛行と比べ、飛行距離が短くなるため、運航時間の短縮や燃料費、二酸化炭素(CO2)の削減につながる。システムは、車なら道路幅に相当する航路の幅自体も狭くできるメリットがあることから、空の混雑の解消も期待される。【高橋昌紀】
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導入されるのは、羽田、大阪、福岡、函館、高松、長崎、大分、新潟の8空港をそれぞれ結ぶ航空路。現在、民間機が飛行する際は主に地上無線施設(約160カ所)が発信する電波で位置を確認している。このシステムでは、目的地に一直線に飛べなかった。新システムでは、GPSによる位置情報を航空機が搭載する高性能コンピューターが解析し、最短ルートを飛行できる。
国土交通省によると、国内航路151本のうち73本で導入される。これにより、羽田や大阪から福岡への飛行では、飛行距離で11キロから56キロ短縮できる。羽田−福岡で1時間55分の飛行時間が少なくとも1〜8分短縮できるという。導入に伴い、国交省は12年度には年間のCO2排出量で約16万トン、燃料費で約94億円削減できると試算している。
また、航路幅はこれまで最小で25キロあったが、システム導入で国際民間航空機関(ICAO)が求める国際基準(航路幅16キロ)に適合させることができた。国交省は他路線でも順次導入し、計画では、10年度中に高度約8800メートル以上はすべて、国際基準の航空路にする方針だ。
10年度中に羽田空港に4本目の滑走路が完成することから、同空港への発着便が4割増加するが、国交省保安企画課は「システムを活用し、空の混雑に対応したい」としている。
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