現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>テレビ・ラジオ> 記事 東京大空襲を見つめる TBS系と日テレ系で特番2008年03月07日15時01分 敗色濃厚な63年前の太平洋戦争末期。3月10日に日付が変わった直後から、東京の下町を300余りの米軍爆撃機B29が襲い、32万発の焼夷(しょうい)弾を投下。強風で火炎の風が吹き、2時間半の爆撃で10万人の命が奪われた。この東京大空襲を題材にした特別番組を、TBS系と日本テレビ系で放送する。 ●CG駆使「惨状伝える最後の時」 TBSは10日に「3月10日〜東京大空襲 語られなかった33枚の真実」を放送する。現存する空襲後の地上写真33枚を撮影した警視庁の写真係・石川光陽の人間ドラマに、この空襲の意味を日米で集めた資料や証言、現地取材などで解き明かそうとしたドキュメンタリーを織り交ぜる。 制作のきっかけは1年ほど前の報道番組。被害者や遺族が国を相手に起こした東京大空襲訴訟を取り上げ、その取材報告を、島田喜広プロデューサーは聞いた。「知っていたつもりだが、想像を超えていた」 隅田川の言問橋には両岸から人が押し寄せ、身動きできずに群衆が炎に包まれた。水を求めた人が集まったプールの悲惨な光景。火が収まって残された、黒こげのおびただしい数の遺体。「現実に目を背けないで」という体験者の言葉に応え、今回は、見ようによっては残酷すぎる光景も、ためらわずに描いた。 ドラマと記録映像の混成について、島田プロデューサーは「連合国軍総司令部(GHQ)からネガを守った石川さんは、伝えるのが仕事である私たちの先駆者。ドラマによってその情の部分を、ドキュメンタリーでは惨劇の現実を映し、全容を伝えたかった」。 日本テレビは17、18日の2夜連続で大型ドラマ「東京大空襲」を放送する。心臓の病で徴兵されなかった青年と、彼と将来を誓った看護師、強制連行された朝鮮人青年とひそかに愛を育むもう1人の看護師。4人を軸に、愛と命をずたずたにされた人たちを通して平和の貴さを描く。フィクションだが、綿密な取材で「あったであろう」ストーリーを展開する。 病弱な身を思い悩む青年を演じる藤原竜也は25歳。はるか昔の出来事のはずだが「僕の感覚では、たった63年しかたっていない。芝居が本業だけど、こういう事を伝え、残すことも大事なんだと、日に日に思いを強くしている」と話す。 どんな状況下で戦争が起き、惨劇が繰り返されたのか。出演した舞台作品で、違った視点で戦争に触れたこともある。「まだまだ勉強は足りないけれど、僕がそうであるように、このドラマで真実とは何かを考えるきっかけをつかんでくれる人が一人でも増えたら。そう思わずにいられない」 死者の数は膨大だが、広島や長崎への原爆投下や、沖縄戦に比べて映像化の機会の少ない東京大空襲。二つの番組の制作者は「今が、実態を映像で伝える最良で最後の時」と考える。 日本テレビの佐藤敦プロデューサーは「CGの技術が進み、映像で残っていない惨状をかなり再現できる。ただ、それがどれだけ真実に近いかを監修できる人たちが、どんどん亡くなっている」と憂えた。 PR情報この記事の関連情報文化・芸能
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