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誤解を招く著作権規定にユーザー激怒=ミクシィの利用規約改定

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誤解を招く著作権規定にユーザー激怒=ミクシィの利用規約改定
mixiの入り口。記者限定ですが、PJニュースのコミュもあります。
【PJ 2008年03月13日】− mixiが、利用規約改正に揺れている。3月3日に公表された新しい利用規約の一部について、ユーザーが猛反発しているためだ。この騒ぎで同社の株価も大幅に下落し、2月29日に124万円だった株価が、利用規約改正案が公表されて2日間で22万円安となり、12日の終値では88万9千円になっている。株式市場全体が下げた時期でもあるが、これだけの下げは、mixiの株価チャートでも目立つ。

 4月1日に実施予定の規約改正で大きな問題となっているのは、「日記等の情報の使用許諾等」について定めた部分で、「本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利を許諾するものとします 」という文言だ。

 従来の規約には、ユーザーの著作物である日記について、明確な著作権規定がなかった。ただし、動画については「mixi動画利用規約」で、ユーザーが動画を投稿した際にmixi側に使用を許諾する旨の規定がある。この使用許諾規定が、新規約では日記にも適用されることになり、ユーザーの許可なく日記が書籍化されるのではないか、などの懸念が一気に広まった。

 日記の書籍化は、ユーザーにとって脅威だ。mixiは、既存ユーザーからの招待で参加できる「クローズ」なコミュニケーションサイトで、自分の書いた日記がmixiのユーザーにのみ公開されることになっている。さらに、ユーザー全員に公開する日記なのか、一部のユーザーに公開する日記なのかを設定することができるため、ユーザー自身が日記の公開範囲を決められるシステムになっている。その日記が、mixiの判断で、mixiに加入していない一般市民にも公開される可能性があるとなれば、大騒ぎになるのは当然だ。

 ほとんどのブログサービスでは、mixiの新規約に近い著作権規定が定められている。例えば、ライブドアブログ規約の該当部分を引用すると、「利用者が著作したウェブログとそれに付随するコメント及びトラックバックは当該ウェブログを著作した利用者に著作権が発生するものとします。但し、宣伝、利用促進、出版、マーケティング等を目的としウェブログサービスの著作物を使用する場合、利用者は弊社に対し、当該著作物を著作権法の規定に基づき無償利用することを期間無制限で非独占的に許諾し、かつ弊社及び弊社の指定する者に対し著作者人格権を行使しないものとします」となっている。

 これらの一般的なブログサービスの規約と比較すると、mixi新規約では、1.ユーザーの著作権を明示していない、2.ユーザーの著作物をmixiが利用できる範囲が明示されていない、という問題点がある。加えて、mixiは、(建前上は)ブログよりも公開範囲を制限したコミュニケーションサイトであるのだから、ブログサービスの規約よりも高度で具体的な著作権規定があって然(しか)るべきである。

 このような問題点について、mixiは7日、著作権のユーザー帰属を明記する改正案を検討していることを明らかにし、日記の利用範囲として想定している具体的な事例を示した。示された想定利用範囲とは、「サーバーに日記データを格納する際にデータ形式等の改変すること」「日記データを複製して複数のサーバーに格納すること」「日記等の情報が他のユーザーによって閲覧される場合に情報を送信すること」であり、ユーザーの了承なく書籍化することはないと明言している。ただ、例示された事例は、著作権法第20条に挙げられている「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」に該当すると考えられ、規定を設ける必要はないように思われる。

 今回の混乱の責任は、どのようにでも解釈できる文言を規約に書いてしまったmixiにある。ただ、規約の改正にはまだ2週間程度の時間があり、mixiも改正案の練り直しを行っているとのことなので、この著作権許諾規定については、ユーザーの懸念を払拭できる具体的規定に書き直されることを期待する。

 著作権許諾規定ほどの騒ぎにはなっていないが、もう一つ、とんでもない文言がある。こちらのほうが大きな問題かもしれない。

 「本利用規約及びその他の利用規約等の規定の一部が法令に基づいて無効と判断されても、本利用規約及びその他の利用規約等のその他の規定は有効とします。」「利用規約等の規定の一部があるユーザーとの関係で無効とされ、又は取り消された場合でも、利用規約等はその他のユーザーとの関係では有効とします」(第21条)

 前段はいい。問題は後段の位置づけだ。ユーザーの一人が規約の一部無効を確認する訴訟を提起し、規約の一部無効が判決された場合、前段では「該当部分を無効とする」と規定しながら、後段では「そのユーザーに対してだけ該当部分が無効」と規定している。つまり、「規約無効を主張したいのなら、それぞれのユーザーが裁判を提起してください」と言っている。これは、判例の法的効力を否定したもので、全く認められない。ユーザーに訴えられれば、この部分が無効と判決されるだろう。その判決も、訴えたユーザーだけに有効だというのか。ジョークにもならない話だ。

 多くのユーザーの支持を受けて急成長したmixiだが、ユーザーの支持を失えば、それ以上の速さで衰退する。そのことをmixiは当然よくわかっているはずで、今回の騒ぎもmixiの平謝りで収束していくだろう。収束させなければ、ただ消滅していくだけだ。ネットでの新事業を開拓してきたmixiがネット上での著作権意識の高まりに気付いていなかったのならば、もはやITベンチャーのトップランナーではないことを自ら証明したことになるのかもしれない【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小林亮一【 宮城県 】
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