ダムや河川事業などに使われる国の治水特別会計(治水特会)を使って開催してきた東京都内のイベントの一部について、国土交通省が中止を決めたことが分かった。中止されるのは、アニメキャラクターやテレビヒーローが出演するもので、特会から支出されたのは業務委託費3108万円。国交省は「治水PRより集客の狙いが強すぎた」と理由を説明している。
道路特定財源を原資とする道路整備特別会計(道路特会)の支出が問題化していることから、国交省が慎重な対応を取った。
イベントは今月16日に予定されている「荒川交流フェア」。国交省や板橋区などによる実行委員会が主催し、今年で11回目となる「東京・荒川市民マラソン」に合わせ、国交省が98年から開催してきた。
治水事業のPRと、マラソン会場の集客アップにつなげるために企画されたイベントで、予算は治水特会の河川事業費などから支出。国交省は昨年12月にも、企画運営業務として業者と随意契約を結んだ。
国交省関東地方整備局荒川下流河川事務所によると、中止するのはテレビの歌番組で人気が出たキャラクター「おしりかじり虫」やテレビの特撮ヒーロー「仮面ライダー電王」が出演するステージショー。サンバやソーラン節などの舞台や千人鍋なども中止した。荒川の自然紹介コーナーや災害体験車の展示などは計画通り行うという。
荒川下流河川事務所は「治水PRより集客目的が強すぎた。今後も同様のイベントを続けるかどうかについては本省の判断を待ちたい」と説明している。また、支払った委託費をどうするかについては、国交省と業者側が話し合うという。
道路特会をめぐる問題では、国交省の地方整備局がミュージカルの公演に3年間で約5億3000万円を支出したことが分かっている。先月の衆院予算委員会で冬柴鉄三国交相は「国民に不快感を与えるものはやめさせる」と答弁した。【高橋昌紀】
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