給与増で医師確保 福島県立6病院と医大福島県と福島県立医大は新年度から、県立病院と医大病院などに勤務する医師の手当を見直し、給与所得を引き上げる。開業医や民間病院の勤務医に比べて劣る待遇を少しでも改善し、医師の流出防止と新たな医師確保につなげるのが狙い。県立医大は産婦人科や小児科、救急科など勤務条件が厳しい6診療科で、講師以下の若手医師に絞って加算分を厚くし、激務が敬遠される傾向に歯止めをかけたい考えだ。県は財政難のため新年度から3年間、県立病院なども含めた職員給与を3―5%削減するが、医師不足対策の観点から医師については所得総額を引き上げる必要があると判断。4月から基本給を削減する一方、初任給調整手当を一律に月額5万円上乗せ支給する。 県立医大はさらに、約280人いる医師のうち6診療科で診療を行う講師や助教、助手約50人を対象に、独自財源で特殊勤務手当を月9000―2万円引き上げる。 両手当の引き上げにより、講師の年収は約68万円、助教、助手の年収は約51万円が増額される。これに伴う医大側の支出増は年1000万円程度という。調整手当だけが上乗せされる教授の年収は16万円、助教授は37万円の増額となる。 一方、県病院局も6つの県立病院に勤める全医師67人を対象に、初任給調整手当に加え地域手当と診療手当も引き上げる。県立病院の勤務医の平均年収は宿日直手当を除いて1350万円。県内の公立病院平均の約1520万円と差があり、この差額約170万円を埋める引き上げ水準になる見通しだ。 病院経営の赤字が続く中、各種手当の引き上げは約1億1000万円の支出増となるが、県病院局は「医師が増えれば医業収益拡大にもつながる」(管理グループ)と判断した。病院局は当面、医師80人体制を目指している。 ただ、開業医などとの待遇格差は依然として大きく、手当拡充が医師確保に直結するかは不透明。県立医大の医師は教員のため、県立病院の医師よりも給与が低く、この格差は今回の改善でも埋まらない。
2008年03月12日水曜日
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