昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の分娩(ぶんべん)取り扱い休止に対応するため、伊那中央病院(伊那市)で分娩室増設など施設拡充工事が進み、17日から使用を始める。昭和伊南は19日以降は予約の外来のみとなり、上伊那で分娩を取り扱う公立病院は伊那中央だけとなる。
施設拡充工事は、分娩件数の増加に対応する目的で、陣痛室1室を改修して分娩室を1増の4室確保する。これにより陣痛室が2床減るため既存の4床に加え、4人病床1室を陣痛室としても活用できるよう位置付ける。
カルテ作成など行う記録室が手狭なため、分娩室隣りの更衣室を廃止して拡張。新生児の連れ去り防止など安全対策で周辺2カ所にドアを取り付け、テレビカメラ4台も設置する。
総事業費は医療機器を含めて約2000万円。
12日は分娩台1台が搬入され、保育器なども備えた、新たな分娩室が整備された。
来年度は産婦人科の外来患者の増加に対応するため外来診療棟を増築する。
伊那中央は3月から里帰り出産の受け入れを中止しているが、伊南地区からの受診者増加で3月の分娩は97件、4月は98件を見込み、前年同期比で10件程度増えている。4月からは常勤の産科医を1人増員し、5人体制で対応する。
病院を運営する伊那中央行政組合長でもある小坂樫男伊那市長は市議会3月定例会一般質問で、里帰り出産について「特別な事情」があり、病院で対応可能な場合に限って受け入れたい意向を示しており、関係者で具体的な条件を検討している。