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2008年3月13日

 鎌倉時代の説話集「沙石集(しゃせきしゅう)」が、石川県公立高校入試の国語問題に出題された。酒を買いに行かされた僧の話である

持って帰った酒瓶に水草が浮いている。飲むと水である。どうしたと問うと、瓶を池に落としたので、その近くの水を汲んで来たから大丈夫と言うのだった。「かえすがえす不思議なり」と、とぼけたオチが面白い

沙石集は落語の元にもなった古典で、酒を水で薄めて売る尼さんの話もある。「これは酒というより水ではないか」と責められる。そこで尼は開き直る。「酒に水を入れると罪になるので、水に酒を入れました」

さて、わが永田町寄席・ねじれ亭の新作落語は笑うに笑えない。仕込み上々の酒が出たのに「飲めぬ」といい、代わりを持ってこいと突き返す。代わりの酒が前より薄味?と分かっていても、飲めぬものは飲めぬと突っ張る

昨今人気の「ちりとてちん」は、くさった豆腐を酒の肴(さかな)にする上方落語の演題だ。まずいと言えず無理に食べるのが話のオチである。ねじれ亭の否決話も無理が見え見え。かえすがえすも不思議と言うか、バカバカしい一席。かくして、貧乏長屋の貧乏が続く。


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