仕事の合間、素早く昼食をと出かけました。
職場のある高層ビル群の地下一、二階には数十店が並んでいます。その中の一つ、定食の店の列。少し待って入店したものの、混雑してなかなか食事にありつけません。
店も多いが、それ以上に客が多い。今月から約七年ぶりに東京で勤務していますが、何げない日常に、人やモノを集める東京都心の吸引力をあらためて感じます。
数年間で超高層ビルはずっと増え、さらに建設中のビルのクレーンも目立ちます。大規模再開発の工事や計画がめじろ押し。高層マンション群のオープン、新しい地下鉄の開業など、景気のいい話は枚挙にいとまがありません。
そこで思い出したのが先月、本社政治部デスクとして紙面に掲載した一人当たりの県民所得(二〇〇五年度)の記事。東京は断トツ全国一位で、前年度比の増加率は6%に上りました。建設ラッシュの状況も合わせ、新興国の高度成長をもほうふつさせます。
再び強まる東京一極集中の是正がぜひとも必要ですが、もう一つ、気になることが分かりました。一人当たりの県民所得の全国順位を過去にさかのぼって記者に調べてもらったところ、ここ十年ほどの岡山県の低迷がくっきりと表れました。八九年度から七年間十位台を維持し、広島を上回りもしましたが、最近は二十位台後半が定位置となっています。
数字が必ずしも住民の豊かさや満足度を表すとは限りません。ただ、落ち込みの理由は何か、きちんと分析した上での県政の展開が必要でしょう。
(東京支社・岡山一郎)