インターネットの掲示板で「殺害予告」をする悪質ないたずらが各地で相次いでいる。今月初め、福岡市内の小学6年男児(12)は「県内の小学生を殺してみる」と書き込み、軽犯罪法違反の非行事実で児童相談所に通告された。2月には関東地区の小学4年女児(10)が同様の事件を起こしたばかり。識者は「子どもにインターネットの危険性を教えなければ、事件は続く」と情報化時代に対応した教育の重要性を訴えている。 (社会部・安部鉄也)
■他の事件模倣
「注目を浴びようと思った。冗談で済むことと、済まないことがあることが分かった」。児童相談所に通告された福岡市内の男児は、県警の調べにこう話したという。
男児は「千葉の女子小学生を殺しちゃいます」と書き込んだ男(23)が威力業務妨害罪で起訴された事件をまねて、1日昼、自宅のパソコンから書き込みをしていた。
県警から情報提供を受けた学校現場は緊迫。一部の小学校は「万一の事態」に備え、集団下校などの対策に追われた。「いわゆる模倣犯。いたずらでやっており、男児に犯罪の意識は希薄だった」と県警幹部は嘆く。
■家庭で野放し
「子どもがパソコンや携帯電話でインターネットを自由に利用できるのは世界中で日本だけ。事件が相次いでも不思議ではない」。群馬大社会情報学部の下田博次教授(情報メディア論)は警鐘を鳴らす。
下田教授によると、米国では有害サイトへの接続を自動的に制限する「フィルタリング」を設定した上で、居間で親と一緒にネットを利用するのが一般的。しかし、日本の場合、多くの家庭で野放しなのが実態だ。
特定非営利活動法人「子どもとメディア」(福岡市)の古野陽一常務理事も「ネットの危険性に対する保護者の無自覚が最大の要因」と言い切る。保護者は子どものネット利用の実態を知らないか、知ってても無関心。トラブルになって初めて気付くケースも少なくないという。
■事件を教訓に
事件を受け、福岡県教委や福岡市教委は7日、各小中学校に、無責任な書き込みは犯罪になることを子どもに指導するよう通知。保護者への啓発も求めた。
教育評論家の尾木直樹氏は「学校は事件を教訓にネットを利用する際のモラル教育に力を入れるべきだ」と話す。
ネット犯罪に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)も、子どもに現実の世界とネットの仮想現実との違いを教え込む必要性を挙げ「できる限り『本物』に触れさせる機会を与えてほしい」と訴えている。
=2008/03/13付 西日本新聞朝刊=
■他の事件模倣
「注目を浴びようと思った。冗談で済むことと、済まないことがあることが分かった」。児童相談所に通告された福岡市内の男児は、県警の調べにこう話したという。
男児は「千葉の女子小学生を殺しちゃいます」と書き込んだ男(23)が威力業務妨害罪で起訴された事件をまねて、1日昼、自宅のパソコンから書き込みをしていた。
県警から情報提供を受けた学校現場は緊迫。一部の小学校は「万一の事態」に備え、集団下校などの対策に追われた。「いわゆる模倣犯。いたずらでやっており、男児に犯罪の意識は希薄だった」と県警幹部は嘆く。
■家庭で野放し
「子どもがパソコンや携帯電話でインターネットを自由に利用できるのは世界中で日本だけ。事件が相次いでも不思議ではない」。群馬大社会情報学部の下田博次教授(情報メディア論)は警鐘を鳴らす。
下田教授によると、米国では有害サイトへの接続を自動的に制限する「フィルタリング」を設定した上で、居間で親と一緒にネットを利用するのが一般的。しかし、日本の場合、多くの家庭で野放しなのが実態だ。
特定非営利活動法人「子どもとメディア」(福岡市)の古野陽一常務理事も「ネットの危険性に対する保護者の無自覚が最大の要因」と言い切る。保護者は子どものネット利用の実態を知らないか、知ってても無関心。トラブルになって初めて気付くケースも少なくないという。
■事件を教訓に
事件を受け、福岡県教委や福岡市教委は7日、各小中学校に、無責任な書き込みは犯罪になることを子どもに指導するよう通知。保護者への啓発も求めた。
教育評論家の尾木直樹氏は「学校は事件を教訓にネットを利用する際のモラル教育に力を入れるべきだ」と話す。
ネット犯罪に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)も、子どもに現実の世界とネットの仮想現実との違いを教え込む必要性を挙げ「できる限り『本物』に触れさせる機会を与えてほしい」と訴えている。
=2008/03/13付 西日本新聞朝刊=