ニュース私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に「違法サイト」からの動画・音楽のダウンロードが違法とされる方向が、私的録音録画小委員会で固まった。違法化への反対意見も踏まえながら、ユーザーが大きく不利益をこうむらない形で制度設計するとしている。2007年12月18日 14時42分 更新
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の第15回会合が12月18日に開かれ、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」からのダウンロード(※注:「ニコニコ動画」「YouTube」などでのストリーミング視聴は含まない)」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。(→詳細記事「反対意見多数でも『ダウンロード違法化』のなぜ」 ) 小委員会ではこれまで、30条の適用範囲について、権利者側、消費者側の意見が対立してきた。権利者側は「違法サイトからのダウンロードで多大な経済的損害を受けている。(現行法でも違法となっている)アップロードだけでなく、ダウンロードも違法にすべき」と主張。消費者側は「経済的不利益は実証されておらず、違法化することで、悪意のない一般ユーザーが潜在的な“犯罪者”とされる。現行法のままアップロードを取り締まれば十分なはず」などと主張してきた。 議論の経過をまとめた「中間整理」は権利者側の意見に重点が置かれており、「違法サイトからのダウンロードは違法化すべき、という意見が大勢となった」などと書かれていた。中間整理には、パブリックコメントが約7500件と「これまでにないほど多く」(文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長)寄せられ、そのうち半数以上が、「ダウンロード違法化」に対する反対意見を盛り込んだ、ネット上のひな型(MIAUが提案したもの)を活用したものだった(関連記事参照)。 文化庁の川瀬室長は「パブリックコメントなどでの反対意見を踏まえた上でも、違法複製物からの複製は30条の適用除外とするのは不可避」と話す。「いわゆる『違法着うた』や、ファイル交換ソフトを使った違法複製物のダウンロードなどによる『フリーライド』(ただ乗り)で、正規品への流通に影響が出ているのは事実。国際情勢から見ても、適用除外すべきだろう」 ただ「ユーザーの意見を無視したわけではない。ネットからの意見も踏まえたつもりだ」と強調。「違法化について、個人から多数の反対意見が出た。『違法サイトと知らずにダウンロードしてしまった場合、無意識に法を犯してしまうのでは』などといった不安は、十分理解できる。ユーザーの不利益にならないような制度設計をする」と話す。 ユーザー保護の施策として、委員会で文化庁が提出した資料では、法改正がなされた場合の周知徹底や、適法サイトを示すマークの普及などを提案。「知らずに違法サイトからダウンロードした」といった事態を避けられるよう、「権利者も政府も汗をかいて努力」し、合法サイトを簡単に見分けることができる仕組み作りをするという。 また法執行の面でも、ユーザーの一方的な不利益にはなりにくいと説く。「仮に、権利者が違法サイトからダウンロードしたユーザーに対して民事訴訟をするとしても、立証責任は権利者側にあり、権利者は実務上、利用者に警告した上で、それでも違法行為が続けば法的措置に踏み切ることになる。ユーザーが著しく不安定な立場に置かれる、ということはない」などと資料には記載されている。(→詳細記事「反対意見多数でも『ダウンロード違法化』のなぜ」 ) 関連記事
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