2008年3月5日
TDB景気動向調査(特別企画):中国製品・サービスに関する企業の意識調査 |
取引のある企業の8割が品質に懸念 〜4社に1社が中国以外の新興国への転換を視野に〜 |
はじめに
2007年の貿易額で中国が米国を抜き日本の最大の貿易相手国となるなど、中国との経済的結びつきが強まるなか、食品の品質問題などに関する報道が相次ぐなど、中国の製品やサービスに対する関心はこれまで以上に高まっている。
そこで帝国データバンクでは、中国製品・サービスに関する企業の意識について調査を実施した。
調査期間は2008年2月20日〜3月2日。
調査対象は全国2万887社で、有効回答企業数は1万66社(回答率48.2%)。
調査結果
中国製品・サービスの品質、取引のある企業の8割が懸念
中国製品・サービスの品質に対する懸念について尋ねたところ、懸念が「ある」と回答した企業は、1万66社中6,131社、構成比60.9%となった。一方、懸念は「ない」との回答は同19.1%(1,923社)となった。ただ、直接的または間接的に取引を行っている企業(4,080社)に限ると、79.8%(3,254社)が品質に懸念を感じており、実際に取引のある企業の間では品質に強い危機感を持っていることが示された。
企業からは、「サンプルは良いが量産にはいると全く別のものがくることもあり、遠方にいてのQC(品質管理)は難しい」(鉄鋼・非鉄・鉱業、神奈川県)といった声が挙がる一方、「価格に見合った技術・品質」(服飾品卸売、東京都)との声も聞かれた。
これを業界別にみると、『農・林・水産』(同71.4%、20社)や『製造』(同66.4%、1,951社)、『小売』(同66.0%、289社)、『卸売』(64.6%、2,083社)などが高水準となり、中国との取引機会の多い業界で懸念を持っている様子がうかがえる。
品質以外の懸念材料、「安全性」が74.8%で最多、信頼できる点は「価格」が2割超で突出
品質以外で懸念を感じていることでは、「安全性」(同74.8%、7,526社、複数回答、以下同)や「商習慣の違い」(同61.0%、6,137社)、「中国政府の対応」(同59.0%、5,938社)、「知的財産権等の権利関係」(同54.4%、5,479社)、「技術」(同51.9%、5,226社)が上位に挙げられた。 一方、信頼できる点では「価格」(同20.8%、2,091社)が2割を超えていたほかは総じて低く、価格への信認が突出している。 具体的には、「こちら側のチェック機能さえしっかりしていれば、何ら問題はない」(貸事務所業、群馬県)との声が聞かれた一方で、「中国人技術者は継続性・文化の違いを認識して活用しないといけない」(情報サービス、愛知県)や「現状は懸念材料を抱えたまま相互理解を深めていくしか手はない」(出版・印刷、北海道)との声も挙がった。
懸念への対応策、取引のある企業では「チェック体制の強化」が最多、4社に1社が今後、中国以外への切り替えを視野
中国製品・サービスへの懸念に対して現在行っている対応策を尋ねたところ、現在、中国と取引がある企業(4,080社)のうち、同55.1%(2,250社、複数回答、以下同)が「チェック体制の強化」と回答し、最多となった。次いで、「国内製品を重視(切り替え)」(同21.1%、860社)、「内製化」(同11.6%、474社)、「他の新興国を重視(切り替え)」(同11.1%、452社)となった。 今後、検討する対応策では「他の新興国を重視(切り替え)」(同23.5%、958社)が最多となり、およそ4社に1社が中国以外の新興国への切り替えを視野に入れていることが明らかとなった。次いで、「チェック体制の強化」(同22.9%、935社)、「国内製品を重視(切り替え)」(同21.9%、892社)が上位に挙げられた。 具体的には、「価格面に魅力があるが、製造過程・製品・納期の面で信頼できないので、今後は他国製品に徐々に転換する可能性がある」(木材・竹材卸売、埼玉県)、「現地での品質管理強化と輸入時の自主検査強化を行っている」(飲食料品・飼料製造、広島県)との声が聞かれた。そのほか、「中国製品というだけで過剰に反応・拒否するのではなく、自らの目で確かめ自己防衛する意識を高めることが重要」(電気機械製造、鳥取県)との指摘もみられた。 日中両国間の相互依存関係が深まり、現地での品質確認と信頼関係の構築が喫緊の課題となっているなか、問題の改善には「先方とのコミュニケーションの強化」(建材卸売、岐阜県)などを通じて「日本(国民、経済、市場)への信頼感をより高めること」(建設、東京都)が重要である。
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