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僧侶に公然と暴力 緊迫するチベット
【北京=福島香織】1959年のチベット民族蜂起から丸49年を迎えた中国チベット自治区ラサでは、僧侶・尼僧らが政治犯として拘留中の僧侶の釈放などを訴えるデモなどがあり、首謀者とされる僧侶など数人が公安当局に拘束された。観光都市ラサ市中心での衆人環視の中、神聖なる僧侶へ公然と暴力が振るわれ、地元では強い緊張が走っている。
米短波放送・自由アジア放送などによれば、10日、ジョカン寺近くの土産物街バルコで僧侶や尼僧を含む10人あまりのチベット族がチベットの旗をふり、ビラを配りながら抗議活動を行ったところ、武装警察が殴るなど暴力で抗議活動を鎮圧。聖職者への突然の暴力に、パニック状態になりバルコは一時封鎖された。またこの日、300人の僧侶が参加してデプン寺からジョカン寺までデモ行進する計画があったが、市中心10キロの地点で武装警察に鎮圧され50人以上が連行されたという。
中国外務省は11日に、デモを阻止し僧侶ら数人を拘束した事実を確認。「僧侶は一握りの民衆にそそのかされて違法行為をした」として法に従って処罰する方針を示した。国営新華社通信は、チベット当局者の話として、「デモは説得によって解散させられた」としているが、ラサ在住チベット族が産経新聞に対して送ろうとしたメールはすべて届いておらず、携帯電話ショートメッセージなどで「事情はよくない」「妨害されている」などと検閲をさけるための短いローマ字文面などで緊迫した状況を訴えている。
一方、新疆独立を主張するウイグル族への圧力も強化されており、新疆ウイグル自治区ウルムチ発の旅客機ハイジャック未遂事件なども発生。五輪が近づくにつれ、国内の民族問題はむしろきな臭さを漂わせている。