消防庁の「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」(座長・有賀徹昭和大学病院副院長)は3月11日、救急医療機関が設置しているベッドの空き状況などを消防本部に知らせる救急医療情報システムのリアルタイムでの更新や、救急搬送の検証の場として都道府県のメディカルコントロール協議会の活用を提案するなどの内容を盛り込んだ中間報告案に大筋で合意した。
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相次ぐ救急患者受け入れ困難の問題を受け、同部会は昨年12月に発足。消防機関と医療機関のスムーズな連携を実現するため、救急医療情報システムの問題点や救急患者の医療機関の受け入れ状況について実態調査をしながら議論してきた。今月21日に開催する救急業務高度化推進検討会に中間報告書を提出する予定。
ベッドの空き状況や医師態勢などを消防機関に知らせる救急医療情報システムについて、リアルタイムで情報を更新している医療機関は11%にとどまり、消防本部の過半数が、「リアルタイムの情報でないため信頼性が低い」などを理由にシステムを活用していない実態が2月に公表した調査で明らかになっていた。
このため報告書案では、リアルタイムで情報を更新できるようにするために、システム管理者に更新状況のチェックや事後検証などを求めた。隣り合う都道府県とシステムを相互利用して県境にいる患者の搬送に役立てることや、周産期医療情報システムとの連携も提案した。
厚生労働省が来年度に立ち上げる「救急患者受け入れコーディネーター」にも触れた。地域の救急医療に詳しい医師をコーディネーターとして救命救急センターなどに配置するもので、報告書ではコーディネーターの権限や具体的な業務内容を明確化し、連絡体制が有効に機能しているかを事後検証するなど有効活用するよう求めた。
■救急搬送検証にMC協議会を
救急搬送の検証の場として都道府県メディカルコントロール(MC)協議会の活用を提案。検証を深めるために、救急隊が作成する救急活動記録票に、照会した医療機関と受け入れられなかった理由、対応相手の職業などの記録を追加するべきとした。医療機関には受け入れを照会した救急隊名や時間、受け入れられなかった理由などを残すことが必要とした。
MC協議会の活用については、委員から「MC協議会が提案の場と言い切ってよい」、「具体的な検証は地域MC協議会になるだろう」など、積極的な活用を求める意見が出た。
■「MCには荷が重過ぎる」の声も
今回、大筋了承された報告書案をめぐっては、6日に開かれた消防庁のメディカルコントロール作業部会でも意見が交わされた。救急搬送を検証する場としてMC協議会が挙がった点について、懸念を示す意見が相次いでいた。MC協議会の設置の根拠が消防庁の課長通知にすぎず、権限や構成員も不明瞭な部分が多いため、「MC協議会が救急搬送の検証を担うには荷が重過ぎる」などの意見が多勢を占めていた。全国に約250あるMC協議会の活動に温度差があるとの指摘もあることから、協議会の活動の活性化のために昨年に全国MC協議会連絡会が発足するなど、活動自体の底上げの議論が緒についたばかりだ。
これについて消防庁はCBニュースに対し、「もともとMC協議会には救急搬送体制や救急医療体制の検証についての役割がある」と話し、MC協議会が検証の場を担っていくことが妥当との見方を示した。
更新:2008/03/12 16:31 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。