スギ花粉“襲撃”の季節、マスクやゴーグルなどで防御しても、落とし穴は「洗濯物」−−。P&G清潔生活研究所が実施した実験で、花粉対策として一般に知られている「洗濯物をはたいて取り込む」ことに、実効性が薄いことがわかった。同研究所は、花粉症の人の洗濯物は部屋干しにするよう勧めている。
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同研究所では綿100%の試験布を使い、洗濯処理し濡れた状態の布に花粉(スギ)を付着させ、乾燥させた後に手で軽く払う程度の振動を加える実験をした。そこで花粉の残留率を調べたところ、試験布の花粉残留率は、81.8%で、ほとんどの花粉は落ちていないことがわかった。一方、乾いた布に花粉を付けて同様の実験を行ったところ、残留率は14.7%となり、濡れている状態でついた花粉は、乾燥した後に払っても、ほとんどが落ちないことが明らかになった。
さらに実験では、洗濯処理後の濡れた綿布に疑似花粉を付着させ、乾燥中の繊維の動きを観察した。すると、乾燥するにつれ、布の表面に張りついていた繊維が立ち上がるように動き、疑似花粉を巻き込む様子が確認された。同研究所では濡れた状態で花粉がついたまま乾燥させると、花粉が繊維に巻き込まれてしまい、花粉が落ちにくくなる可能性が考えられるとしている。こうした結果を受け、同研究所では花粉の時期は洗濯物に花粉がつかないよう、部屋干しなどの工夫が大切と結論づけた。
環境省の花粉飛散マップによると、3月7日現在ですでに35都府県で飛散が確認され、予測によると、今年のスギ及びヒノキ花粉の飛散量は「東日本で昨年の1.5倍から3倍、西日本で平年並み」という。【江刺弘子】
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