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「でたらめトップ」に精神を破壊されるサラリーマン
【ビジネス特報】
精神を病むサラリーマンが増えている。
その理由として、社会経済生産性本部は、仕事がハードになったとか、責任が重くなったのに権限が小さい…など、いろんな理由をつけている。しかし、最大の理由は、弱い立場の部下に、無茶な目標や仕事を与えたり、自分のミスの責任を押しつける「でたらめ上司」が増えたからだと思う。(2006.08.16紙面掲載)
なぜ増えたかというと、同様の「でたらめトップ」が増えたからである。その証拠に、会社の80%以上、すなわちトップのほとんどが、「会社の業績が悪いのは、社員が怠けているからだ」と決めつける成果主義や、「能力開発は社員がやれ」と説くコンピテンシー論に飛びついた。
そして、「限界を超す高い目標にチャレンジすることで、能力が飛躍的に高まり、現状をブレークスルーする革新的な成果をあげることができる」といった精神論を楯に、高い目標設定を強制し、追い立てる。あげくは、大きな成果をあげるか、そうみせかけるのが上手な社員以外は、怠慢かつ無能な人間だと決めつける。これでは、誠実な社員の意欲と誇りが踏みにじられ、精神がゆがめられ、破壊されていって当然である。しかも、トップは、「他社もやるからうちもやる」と思うだけで、自分がいかにひどいことをやっているかに思い至らない。
■上司が「責任絶対性の原則」を守ればメンタルヘルス問題は改善する
本当にメンタルヘルスが大事と考えるなら、トップ、そしてミドルが、皆、組織原則のイロハである、「部下の行動の結果責任を負う」という「責任絶対性の原則」をきちんと実行すればよい。そして、部下を熱心に指導教育し、部下が困難な問題に直面したときに一緒になって戦えば、仕事がハードでも、精神を病むサラリーマンは、急減するであろう。
しかし、業績不振の責任を社員に押しつけるような人事制度に、その副作用の有無すら考えずに飛びつくトップに、それを求めても、ないものねだりであろう。
では、どうすべきか。精神を破壊するか、責任転嫁にサラリーマンを追いやるような制度を採用するトップや人事スタッフの結果責任を、一致団結して追求すべきだ。特に、彼らが好きな目標管理を、彼ら自身に率先垂範してもらい、精神的に異常をきたす社員数の減少目標を定め、それが未達の場合は減給や更迭と決めるべきと思う。
■自分たちで対抗する意思と能力がなければアウトだ
最近、サラリーマンは、会社がいじめてはならない、子羊のようなか弱い存在であるかのように位置づけられているように感じる。これは、そういった問題と対決すべき労働組合が弱体化し、なめきられているためであろうが、自分たちで何とかしょうという意思と行動がなければ、でたらめなトップや人事スタッフに 翻弄(ほんろう)され、彼らの不始末のしわ寄せをくらうに決まっている。それは、かわいそうにと同情されるような危機を、自分たちで、招き寄せているようなものである。映画の寅さんではないが、「同情されればおしまいよ」だ。
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トラックバック時間: 2007年08月01日 01:29