【ワシントン坂東賢治】米国務省は11日、世界190カ国余の人権状況をまとめた07年版の人権報告書を公表した。独裁政権下で組織的な人権侵害が行われている国として北朝鮮やミャンマー、イラン、シリア、ジンバブエ、キューバ、ベラルーシ、エリトリア、スーダン、ウズベキスタンの10カ国が列挙されたが、昨年まで含まれていた中国はこのリストから外された。
ライス米国務長官は2月の訪中の際、中国側と中断している米中人権対話の再開で原則合意した。ブッシュ大統領も8月の北京五輪開会式に参加する意向を示しており、中国に配慮を示した可能性がある。ただ、「中国の全体的な人権記録は依然劣悪だ」と指摘し、宗教や言論の自由の弾圧、インターネット規制の強化を指摘した。
ミャンマーに関しては昨年9月の反政府デモで「少なくとも30人が殺害された」と指摘し、「人権記録は年間を通じて悪化を続けた」と断じた。
また、北朝鮮については改めて日本などの拉致問題に言及し、拉致被害がルーマニアやタイにも及ぶことに初めて触れた。
毎日新聞 2008年3月12日 11時21分 (最終更新時間 3月12日 11時26分)